皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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ROM大臣さん |
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平均点: 6.07点 | 書評数: 149件 |
No.2 | 7点 | 流れは、いつか海へと- ウォルター・モズリイ | 2022/08/26 12:36 |
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元刑事の私立探偵オリヴァーが、十数年前に刑事を辞めざるを得なくなった彼自身の冤罪の解明と、死刑宣告された黒人ジャーナリストの無実の証明に奔走する。
過去と現在を巧みに往復しながら、二つの事件を掘り下げて緊迫感を高め、予測できない着地点へと向かう。特にオリヴァーの相棒の時計職人で元犯罪者メルの肖像が出色。メルと共に行う戦慄と恐怖と昂奮の探索と闘争がたまらなく面白い。 決して一様ではない罪悪の認識と正義の捉え方もいいし、節々で示される人生・社会観念も新たな思索を促す。 |
No.1 | 6点 | ブルー・ドレスの女- ウォルター・モズリイ | 2022/07/25 14:12 |
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物語は仕事を失い、何とか収入の道をと考えていたイージーが、ある日事件に巻き込まれ、抜き差しならない状況に追い詰められ、最後はそれを解決する、というもの。時は一九四八年で、まだ黒人が人間扱いされていなかった時代である。
主人公は謎の女に恋心を抱き、そして束の間の桃源郷を味わった後、想いははかなくついえ去るという一種のラブ・ストーリーである。ミステリの核としての「謎」はこれまでにも登場するパターンであり、どこかで予想がつくのであるが、主人公の一途な思いが陳腐化を危ういところで押し止めている。 |