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ぷちレコードさん
平均点: 6.32点 書評数: 208件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.6 7点 雷神- 道尾秀介 2023/09/11 22:52
埼玉で父と一緒に小料理屋を切り盛りする藤原幸人の一家が不幸に見舞われるシーンから始まる。四歳の娘・夕見がマンションのベランダの淵に置いた植木鉢が落下、それが原因で起きた事故で妻の悦子が亡くなる。
物語は本編だが、その十五年後、父の小料理屋を継いだ幸人のもとへ、娘の秘密ネタに金を要求する男が現れるところから動き出す。幸人は十五年前の事故の原因を夕見に明かしていなかったのだ。やがて脅迫者らしき男が店に来るに及んで、幸人はついに過去と向き合うことを決意。実は、彼はさらなる秘密を抱えていた。
冒頭の脅迫者の出現から、それを軸に話が動いていくのかと思いきや、次第に三十年前の羽田上村の事件へとスライドしていく。幸人たちによって羽田上村の人間関係が明かされていくあたりは、本格ミステリと社会派ミステリの読みどころを見事に融合させており、さすがと思わせる。

No.5 7点 シャドウ- 道尾秀介 2021/11/05 22:11
登場人物は精神医学の医師や研究者数名とその家族。精神障害が核となっている構図が第一章で分かる。複数の登場人物の視点によって物語が語られるという一見ありふれた手法を逆手に取り、終幕近くになって事件の全貌が明らかになるとともに、一挙にカタストロフィへとなだれ込んでいく展開は圧巻。

No.4 6点 スタフ staph- 道尾秀介 2021/06/17 22:22
肩肘はって頑張る女性とその甥。その甥が巻き込まれる少し変わった事件。
全く先の見えない展開に、衝撃のどんでん返しに驚くが、そこからさらに待ち受ける衝撃の真相に唖然とさせられる。
最後にこの物語の本当の狙いに気づいた時は、胸を締め付けられるほどの切なさを感じた。

No.3 4点 向日葵の咲かない夏- 道尾秀介 2020/12/22 17:20
肝となる世界設定がご都合主義的。しかも探偵役の造形は、この不思議な世界にあってさえ不自然極まりない。新本格黎明期に出たある名作の異形譚という印象が拭えない。

No.2 5点 貘の檻- 道尾秀介 2020/10/07 19:21
横溝テイストにあふれた舞台設定に加え、地下水路、農作業のしるべとなる山の残雪の形、薬物、写真など多彩な道具立てを駆使し、人物の造形にも怠りのない精緻な本格ミステリ。

No.1 6点 透明カメレオン- 道尾秀介 2020/05/05 20:10
読みどころの集合体といって過言ではない本作だが、特に素晴らしいのは、物語を用いてフィクションが人にもたらす特別な効能を描いる点にある。偽りとは必ずしも卑怯であり害をなすものではなく、創作とは現実よりも劣る絵空事をただ濫造する行為ではない。
現実を前にしたとき、偽りが折れそうな心を支え、創作が一歩踏み出す力をもたらすこともある。そうした真理を、本作は笑いと涙を交えて教えてくれている。

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ぷちレコードさん
ひとこと
中学生の頃、ミステリにはまった。でも続いたのは3年間ぐらい。今また、ミステリにはまりつつある。やっぱりミステリは最高だ。
好きな作家
採点傾向
平均点: 6.32点   採点数: 208件
採点の多い作家(TOP10)
伊坂幸太郎(11)
東野圭吾(8)
道尾秀介(6)
芦辺拓(5)
米澤穂信(5)
歌野晶午(5)
知念実希人(3)
恩田陸(3)
芦沢央(3)
貴志祐介(3)