皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ぷちレコードさん |
|
---|---|
平均点: 6.32点 | 書評数: 242件 |
No.4 | 5点 | 本格的 死人と狂人たち- 鳥飼否宇 | 2024/11/21 22:16 |
---|---|---|---|
興奮すればするほど、頭脳が明晰になるという数学科助教授の増田は、若い女性の性行動を統計学的に研究するために、隣室の女子大生の性生活を覗き見る日々を過ごす。彼女の絶頂に至るまでの時間を計測することで、男女の恋愛パターンを数値化しようという試みだったが、折しも彼が近所で起きた殺人事件の容疑者となり、中断せざるを得なくなる。自らの容疑を晴らすためにも、そして研究を続けるためにも、この事件を解決せねばならない。
基本的に変態ミステリなのだが、主人公も奇人ではあるが真摯な学者ゆえの知性が滲み出てくる。グラフ、図版、レジュメ、地図を本文中に駆使し、アカデミックなミステリの可能性を模索しているところも楽しい。 |
No.3 | 6点 | パンダ探偵- 鳥飼否宇 | 2024/03/04 22:12 |
---|---|---|---|
動物たちが言葉を話し、社会活動を営むようになった世界のミステリ。
連続誘拐、大量千草消失、要人密室殺人の謎が描かれ、いずれも獣の特性を活かした意外な動機や仕掛けが愉しめると同時に、パンダらしい愛らしさでも歓待してくれる。そこに獣の言動を通じて人間の愚かさが見えるというから堪らない。 探偵役は、ライオンと虎を両親に持つライガーのタイゴ。第一話で被害者の一人であったパンダのナンナンは、第二話では新米探偵としてタイゴの相棒となり、第三話では独り立ちの兆しもみせる。今後も続くのではという期待もあるがどうだろうか。 |
No.2 | 7点 | 隠蔽人類- 鳥飼否宇 | 2023/10/10 22:42 |
---|---|---|---|
第一話の舞台は南米アマゾンの奥地。かつてアメリカの冒険家が一度だけ接触したというキズキ族を再発見しようと現地に向かった日本の調査隊の物語である。彼らはそれらしき民族との接触に成功し、調査も進めたが、とんでもないデータを検出してしまう。その後、首斬り殺人が発生し、という目まぐるしい展開の第一話は、消去法で殺人犯を特定していくミステリとして一応は決着するのだが、ラストが破壊的。
これをやって先が続くのかというほどなのだが、第二話であっさりと受け止め、密室を巡る謎解きに仕立て上げる。が、結末でまたも大いなる衝撃だ。第三話でクレッシェンドにクレッシェンドを重ね、第四話では驚愕の大ツイストが襲う。そして第五話の巨大なる衝撃。ホラ話って愉しい。 |
No.1 | 6点 | 紅城奇譚- 鳥飼否宇 | 2020/08/05 19:36 |
---|---|---|---|
舞台は戦国時代。血で血を洗う決戦が繰り広げられ、政略結婚や下克上が当たり前であった時代の地方の一戦国大名の没落に焦点を当て、その時代だからこそ成り立つ逆説と奇想を際立たせている。 |