皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ぷちレコードさん |
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平均点: 6.31点 | 書評数: 252件 |
No.3 | 5点 | いつかの人質- 芦沢央 | 2023/07/30 22:21 |
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三歳の時に連れ去られた宮下愛子は、ほどなく自宅に戻れたものの、その時の怪我で視力を失ってしまう。それでも、両親の庇護のもと、健やかに育っていた愛子だったが、初めて親の介助なしに友人同士で出掛けたアイドルのコンサート会場から、またしても何者かに連れ去られてしまう。折しも、それは十二年前、愛子を連れ去った犯人の娘で、今は漫画家となっている江間優奈が、夫の礼遠とともに宮下家を訪れた後のことだった。
愛子の誘拐事件を追う過程で、優奈が失踪していることが明らかになる。物語は、愛子を誘拐した犯人捜し、礼遠の優奈捜しを並行して描いていく。二つの謎がたどり着く先は、何処なのか。メインのストーリーはミステリなのだが、根底にあるのは、愛子と家族の物語であり、優奈と礼遠の夫婦の物語である。 とりわけ、端から恵まれたカップルに見えていた優奈と礼遠の、その実は「すれ違ってしまう愛」が息苦しいまでに迫ってくる。 |
No.2 | 5点 | 神の悪手- 芦沢央 | 2023/07/01 22:18 |
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東日本大震災を背景に、若い才能について棋士が「好ましからざる状況」を見抜き、さらにある選択を迫られる第一話や、駒を選ぶ際に棋士が心変わりした謎を探る第五話など、将棋が題材の五編を収録した短編集。
ミステリ味の濃淡はあれど、各編の主人公が読み手の心に入り込んでくるため、読者はまさに当事者として悩むことになる。その刺激は抜群に鋭利。決断に至る道筋の意外性もある。 |
No.1 | 6点 | バック・ステージ- 芦沢央 | 2021/09/26 22:10 |
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卓抜した心理描写を駆使したシリアスなサスペンスを描いた作品が多い中、本作はかなりポップな読み口になっている。(もちろん、ヒリヒリするような感情に迫るサスペンスもあるが...)
連作短編集の形をとっており、その仕掛けの鮮やかさには驚かされた。 |