皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
八二一さん |
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平均点: 5.75点 | 書評数: 409件 |
No.289 | 5点 | マザーズ・デイ- パトリシア・マクドナルド | 2023/02/20 19:12 |
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前半は、TVのホームドラマのようであり、実母と養母の葛藤もあまり新味がない。だが、中盤になって連続して殺人事件が起こり、単純な家庭悲劇めいた状況が、にわかにミステリアスな雰囲気に変わっていくあたりから、やっと面白くなってくる。
いったんは心の離れたカレンとジェニーの親子関係が、家庭崩壊の寸前で再び絆を取り戻し、ともに逆境に立ち向かっていく様子は、女性の作者ならではのきめ細やかさと温かさで描かれている。意外な犯人だが、ラストまでいかず明らかにしてしまうのは惜しい気がする。 |
No.288 | 5点 | ゴースト≠ノイズ(リダクション)- 十市社 | 2023/02/01 20:13 |
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平凡な高校生活の周辺で起こる残忍な事件。主人公を取り巻く異様な状況。それらを描く端正な文章から生じる、不協和音。
読者は確かな手応えとともに「読み間違えているかもしれない」という爽快な不安を耳元に感じ続けるでしょう。 |
No.287 | 4点 | ベルリン強攻突破- ダン・フランク&ジャン・ヴォートラン | 2023/02/01 20:10 |
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前半はユーモラスな人物紹介に費やし、後半で冒険活劇を交えたサスペンスタッチに移行していくのだが、全体の気分は良質のコメディに近い。ミステリ的興味はかなり異質ではあるが、楽しみは味わえる。 |
No.286 | 5点 | 白骨の処女- 森下雨村 | 2023/02/01 20:04 |
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凶悪な犯行、怪しい人影、連続する恐怖。時間との勝負であるはずが、読者の微笑を誘う大人の余裕が全編に漂う。何より二人の探偵役が、所々で推理談議に花を咲かす姿が、まるでデートのようで楽しそう。 |
No.285 | 7点 | オックスフォード連続殺人- ギジェルモ・マルティネス | 2023/01/16 20:25 |
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事件そのものは、こじんまりとしているが、トリッキーな真相が語られるほどに世界の異様さが際立ってくる。
幻想的で長広舌の魅力もあり、独特な切れ味も楽しめる。 |
No.284 | 6点 | アルファベット・ハウス- ユッシ・エーズラ・オールスン | 2023/01/16 20:23 |
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英国軍の兵士がナチの将校に成りすますことなど不可能に思われるが、作者の手つきは用意周到で、サスペンスを強く醸し出す。
戦争と友情と愛憎を主題にし、冷徹な現実認識に裏打ちされた興奮と感動の物語となっている。 |
No.283 | 4点 | 黒い賛美歌- デヴィッド・ウィルツ | 2023/01/16 20:19 |
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ベッカーシリーズ第四作。受刑者たちの奇妙な日常生活、権力にすり寄るFBI高官、選挙民に対する下院議員の欺瞞、インチキ宗教団体の実態、洞窟探検など、様々なテーマを盛り込んでサービスしてくれるが、主人公が犯人を追い込んでいくプロセスに説得力を欠く。 |
No.282 | 6点 | 疑り屋のトマス- ロバート・リーヴズ | 2022/12/29 20:40 |
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酒好き、競馬好き、女好きの大学教授トマス・セロン。競馬会の腐敗をめぐる本筋よりも、むしろトマス氏自身の人生模様の方に、興味を掻き立てられた。皮肉なかる軽口ばかり叩きながら事件に巻き込まれてあたふたする姿につい笑ってしまう。 |
No.281 | 9点 | 赤い収穫- ダシール・ハメット | 2022/12/29 20:36 |
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総勢十七名もの人が殺されるこの作品は、極力心理描写を排し、ひたすら行動だけを描こうとする。そのハードボイルドぶりと、世界を不条理と見る観点が徹底している。まさにスリラーの極北。 |
No.280 | 6点 | 脅迫された管制システム- リー・グルーエンフェルド | 2022/12/29 20:32 |
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濃密な管制システムをめぐる攻防の描写といい、ヴェトナム空戦史を交えた航空情報の微細にわたる叙述から個性的な人物造形に至るまで、極めて丹念に練り上げらられた作品に仕上がっている。 |
No.279 | 6点 | 幸運を招く男- レジナルド・ヒル | 2022/12/09 20:24 |
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事件を幸運で解決するユニークな探偵の設定、人種問題をさりげなく扱う現代性、そして計算し尽くしたプロットの展開、どれをとっても名人芸。 |
No.278 | 4点 | メアリー、メアリー- エド・マクベイン | 2022/12/09 20:22 |
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法廷ミステリのジャンルに属し、弁護士側と検事側の論争テクニックが本書の中心になっている。題材はいささか新鮮さに欠け、結末も早い段階で予想がつくが、ストーリー展開は軽快で楽しく読み進められる。 |
No.277 | 6点 | われらのゲーム- ジョン・ル・カレ | 2022/12/09 20:18 |
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スマイリーを彷彿とさせる退役スパイが、彼がリクルートし手塩にかけて育て上げたジョー、すなわちエージェントの危機を察知して、その痕跡を追うというもの。ラリーという存在が、クランマーの分身のようで、極めて内省的な印象を与える。
一語の無駄もない尋問シーン、濃密なプロットと、どれをとってもル・カレ・ワールド健在。 |
No.276 | 7点 | ハイペリオン- ダン・シモンズ | 2022/11/19 20:27 |
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質、量ともに圧倒的な小説。司祭、軍人、詩人、学者、僧侶、私立探偵、外交官からなる巡礼団が、道中それぞれの物語を語るという、カンタベリー風物語の設定が魅力的。
語り手の個性に合わせ、秘境もの、冒険活劇調、ハードボイルド調、喜劇風などスタイルを使い分け、物語に変化を与えている。 |
No.275 | 5点 | 哄う北斎- 望月諒子 | 2022/11/19 20:19 |
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美術商、新進実業家、美術史学者、社会学者からCIAに至るまで、腹に一物も二物もある連中が欲にまみれた頭脳戦を繰り広げる。登場人物が多い上に各自の目論見が入り乱れるかなり複雑な物語だが、老境にたった一年だけ天下を取った絵師として北斎を解釈するくだりがユニーク。 |
No.274 | 6点 | 湖は餓えて煙る- ブライアン・グルーリー | 2022/11/19 20:13 |
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題材はアイスホッケー。忌々しい犯罪を描いているが、瑞々しさを堪えた青春小説であるとともに、挫折を味わった主人公の再生の物語でもある。
重層的な物語の読み応えと、間奏曲のように挟まれる主人公の少年時代の回想が感動的。 |
No.273 | 6点 | 千尋の闇- ロバート・ゴダード | 2022/11/07 20:46 |
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回顧録をたどって過去の事件や謎を追求するというのは、珍しくもない設定であるし、特にミステリ的要素が強いわけではないのだが、登場人物の造形の確かさや語り口がうまいので、一気に上下二冊読めてしまう。 |
No.272 | 4点 | ストーン・ダンサー- マレー・スミス | 2022/11/07 20:44 |
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各国の諜報機関に加えて、マフィアまで巻き込むスケールの雄大な話ではあるのだが、冗長な描写がサスペンスに歯止めをかけてしまっているのが残念。 |
No.271 | 7点 | 偽りの契り- スティーヴン・グリーンリーフ | 2022/11/07 20:41 |
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人工授精という現代的な問題をテーマに、その裏にうごめく、金銭欲や体面に目にくらんだ人々の生きざまを巧みに描き分けられている。 |
No.270 | 5点 | 賛美せよ、と成功は言った- 石持浅海 | 2022/10/25 20:10 |
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優佳たちが集まった祝賀会で撲殺事件が起きた。事件は皆の目の前で発生し、撲殺犯も明確に特定されている。
つまりは、ミステリとしてフーダニット興味もハウダニット興味もない状況なのだが、そこから緊迫した推理劇を紡ぎだす手腕は大したもの。 |