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八二一さん
平均点: 5.73点 書評数: 373件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.253 5点 数学者の夏- 藤本ひとみ 2022/08/07 20:07
数学の抽象的な世界に没頭するあまり、世間知らずでどこか大人の社会を斜に構えて眺めているような高校二年生の上杉和典の前に、さまざまな事情や悩みを抱えた人物が次々と登場し、太平洋戦争の時代からつながる地域の歴史も関わってくる。
作者の歴史小説や恋愛小説の華麗さとは趣を異にする、ストレートな印象の青春ミステリ。

No.252 4点 ハイダウェイ- ディーン・クーンツ 2022/07/22 20:12
クーンツ独特の畳みかけるようなストーリー展開と、ぞくぞくする狂気のサスペンス。オカルト風のシチュエーションに謎解きとラブロマンスを錯綜させるテクニックは抜群で飽きさせない。
ただ、事件そのもの、登場する人物たちがあまりにも常軌を逸しているので、一級品というイメージからは遠ざかってしまっている。

No.251 5点 陶工の畑- エリス・ピーターズ 2022/07/22 20:09
修道士カドフェル・シリーズ第17弾。瞠目すべき派手なストーリー展開も、トリックもここにはないが、語り口のうまさは円熟の度合いを増し、人情味あふれる結末も後味がよい。

No.250 8点 猫たちの聖夜- アキフ・ピリンチ 2022/07/22 20:07
語り口が純文学っぽいというか、いかにもドイツ的。登場人物は一人マッド・サイエンティストが出てくるだけで、あとは全部猫という猫の世界のミステリ。
事件の解決方法に猫でしか使えないロジックが絡んでいて、そのへんの持っていき方がユニーク。

No.249 5点 冤罪法廷- ジョン・グリシャム 2022/07/08 20:21
冤罪を訴える死刑囚のために奔走する弁護士の物語。
再審に持ち込むため、事件の関係者ひとりひとりに会う地道な積み重ねが印象に残る。ただ不屈の信念で挑むだけではなく、法律上のさまざまな戦術を駆使する様子も描かれる。
旧悪の露見を恐れる者たちの妨害をくぐり抜け、法廷での決着がクライマックス。実話に基づく、骨太の物語だ。

No.248 4点 Twelve Y.O.- 福井晴敏 2022/07/08 20:16
独特の熱気にあふれた冒険アクション小説。
コンピューターを駆使して米国防総省を脅迫する電子テロリストをめぐっての攻防が、ほどなく沖縄での壮絶なバトルに発展していく。戦闘シーンには圧倒的な迫力があるが、個性的な文章や読者を意識しない構成はやはり気にかかった。

No.247 5点 まだ見ぬ敵はそこにいる- ジェフリー・アーチャー 2022/07/08 20:13
「レンブラントをとり返せ」に続く刑事ウォーウィックの物語である。
主人公は優等生で癖のない造形だが、敵味方のはっきりした構造と、軽妙なセリフのやり取り、波乱に富んだ展開で一気に読ませる。

No.246 6点 悪魔の羽根- ミネット・ウォルターズ 2022/06/23 20:19
国際報道に携わる女性記者が紛争地で監禁される。解放後、英国で暴力の記憶に苦しむ彼女に、隣人を巻き込んだ対決の時が迫る。
男性と女性、加害者と被害者、命ずる者と従う者というい非対称な関係を覆すべく反転するヒロインを描く心理サスペンス。

No.245 6点 王女に捧ぐ身辺調査- アリソン・モントクレア 2022/06/23 20:16
貴族と元スパイの女性二人がロンドンで営む結婚相談所の物語。王女の縁談をめぐる企みを追って、意外な真相を探り出す。対照的な二人が、それぞれの個性を生かして事件を解決する。真摯な物語を軽妙に語るスタイルが魅力の一冊だ。

No.244 5点 ホープ・ネバー・ダイ- アンドリュー・シェーファー 2022/06/23 20:13
舞台はトランプ政権下の米国。主人公はジョー・バイデン、その相棒はバラク・オバマ。これはかつての正副大統領(今や現大統領と副大統領だ)が、不審な事故死の真相を追う物語なのだ。
決して、主人公の設定に頼っただけの作品ではない。コンビが活躍するバディものとしての魅力はもちろん、全編にちりばめられたジョーク、そして愉快でスリリングな展開で楽しく読ませる。

No.243 7点 トレント最後の事件- E・C・ベントリー 2022/06/02 19:59
恋愛がプロットに上手く溶け合い、探偵の推理過程でこれが見事に生かされている。最後に判明する真犯人も意外性がある。

No.242 5点 天使の背徳- アンドリュー・テイラー 2022/06/02 19:57
ロンドン郊外の小さな町で、郷土史出版の構想を温める平凡な牧師の周辺が波立ち始めた。
美しい編集者との出会い、再婚、そして転居してきた若い兄妹の登場。変化の果ての惨劇。平穏な日々が暗転する米国サイコスリラー。

No.241 5点 さりげない殺人者- ロバート・K・タネンボーム 2022/06/02 19:55
ニューヨークで麻薬王6人が相次いで殺された。背後に政財官界の大物の影。身内の捜査当局にも内通者が。判事補カープとマルレーヌが腐敗と戦う、迫真の米国サスペンス。

No.240 8点 盗聴- ローレンス・サンダーズ 2022/05/18 20:40
全編を盗聴テープ、報告書、尋問記録、手紙などで構成してある。地の文なしの小説にしたのは、この手法で迫真力を増そうとの計算だろう。
処女作でのこんな離れ業は実に大胆。

No.239 6点 無頼の掟- ジェイムズ・カルロス・ブレイク 2022/05/18 20:35
ピカレスク・ロマンの興奮、青春小説の瑞々しさ、犯罪小説の緊張感、ウェスタンの猥雑な面白さ。それらが渾然一体となって、クライマックスに向かって突き進んでいく。荒々しさの余韻とそこはかとない叙情が漂う幕切れも素晴らしい。

No.238 5点 物しか書けなかった物書き- ロバート・トゥーイ 2022/05/18 20:29
収録作の十四編は、いずれもミステリの範疇には収まりきれないものばかり。しかし、いずれもそこが魅力で、予期せぬ形で見事に足下をすくって見せる。
コメディからシリアスまで品揃えも豊富。

No.237 4点 コールド・ファイア- ディーン・クーンツ 2022/05/04 20:35
謎に満ちた前半のストーリー展開から察して、これは壮大な物語と期待したのだが、アイアンハート農場についてからの話は、理詰めすぎていていささかガッカリ。

No.236 6点 見えない凶器- ジョン・ロード 2022/05/04 20:32
二部構成の巧みなプロットに、演繹的な推論の積み重ねで真相を突き止めていく展開は、まさに謎解きの醍醐味そのもの。
英国ミステリ特有の地方色の豊かさも魅力を添えている。

No.235 4点 湖畔の四人- ジェレマイア・ヒーリイ 2022/05/04 20:30
メイン州の大自然に調和しながら生きている地元民の日常生活や、湖畔を中心とした生物の営みなど丹念に描かれている。
ただ、犯人の動機は単純で、終局もいささか平凡。

No.234 5点 月に歪む夜- ダイアン・ジェーンズ 2022/04/18 20:12
若い女性の行動を精緻に描き、アッと言わせるストーリー。細密描写は処女作とは思えない出来栄え。

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