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びーじぇーさん
平均点: 6.20点 書評数: 99件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.2 6点 急行霧島: それぞれの昭和- 山本巧次 2025/07/14 20:24
上妻美里は一通の手紙を握り、鹿児島駅から急行霧島に乗り東京に向かう。彼女の向かいに座ったのが、令嬢風の前田靖子と名乗る女性だった。デッキには、傷害犯を捜す県警捜査一課の二人の刑事もいた。また一等席には大物のスリを追っている公安職員の姿もあった。さらに車内にはある犯罪を計画し、列車の運行を気にする男も乗っていた。
逃亡犯は本当に乗車しているのか、変装名人のスリはどこのいるのか、令嬢風の女性はどんな事情を隠しているのか。いくつもの駅に停車し、人々が乗り降りする中で、着実に列車は進んでいく。蒸気機関車の増設や電気機関車との交換など、当時の鉄道事情の正確なディテールに、それをプロットに巧みに取り込んでいるのはさすがである。

No.1 6点 大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう ステイホームは江戸で- 山本巧次 2023/10/14 21:30
東京馬喰町の古民家で一人暮らしをする関口優佳には秘密がある。祖母から受け継いだ家の納戸を開けると、向こう側は江戸時代の世界なのである。それを知ってから彼女は、現代と過去世界との二重生活を送ってきた。江戸における彼女は、数々の難事件を解決してきた十手持ちの親分・おゆうとして知られる存在なのである。
COVID-19の感染拡大により、巣籠り生活が長期化してきた。窮屈な暮らしに飽きた優佳は、しばらく江戸時代に避難して暮らすことを決める。おゆうとして活動を再開すると、奇妙な調査依頼が舞い込んできた。年端もいかない子供が誘拐されては、何事もなくまた戻されるという事件が続いているのだという。意味不明な犯人の動機を探るために、おゆうは街に出る。
主人公が江戸時代でいかに科学捜査を行うか、という苦労がシリーズの読みどころなのだが、本作では別の関心事が持ち上がる。事件の調査を進めているうちに、おゆうが親しくしている同心が、発熱や味覚障害などの症状を訴え始めたのだ。最後はコロナの時代ならではの見事なオチがつく。軽快かつ密度の濃い物語だ。

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びーじぇーさん
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採点傾向
平均点: 6.20点   採点数: 99件
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