皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
糸色女少さん |
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平均点: 6.41点 | 書評数: 174件 |
No.3 | 6点 | 襲撃のメロディ- 山田正紀 | 2023/12/29 21:11 |
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いたずらレベルから税金逃れの帳簿操作、潜入しての物理的破壊工作まで、多様なコンピュータ「襲撃」を描いた連作。
持ち味の映画的な話が多いが、一般に開放されている末端装置に皆で無意味な質問を繰り返す「混乱ゲームで喜ぶ若者たち」というネタが、現在のDDoS攻撃をSF作家の想像力で予測しているようで興味深かった。 |
No.2 | 7点 | 戦争獣戦争- 山田正紀 | 2020/03/25 21:28 |
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圧倒的な迫力で書かれた本格長編SF。北朝鮮の使用済み核燃料を保管するプール中を泳ぐ不思議な動物が見つかる。生物が生存できないはずの空間で動いていたのは四次元生命体「戦争獣」だった。戦争獣は「生態系」と対をなす「死態系」に潜む「死命」の頂点に立つ存在だという。
高次元の原点に立つと、人類文明があまりに発達すぎるのは宇宙全体のためにならず、戦争はその過剰な蓄積を打ち砕き、バランスを回復するためのいわば清算システムなのだという。人類は、どうしても戦争をやめられないのだろうか。 物語は時空を超えて、人類のあらゆる文明と戦争の歴史を巻き込んだ壮大な規模で展開していく。その情報量の多さはすさまじい。哲学的な思考と手に汗握る冒険サスペンス要素がふんだんに盛り込まれた怒涛の力作である。 |
No.1 | 7点 | 神獣聖戦 Perfect Edition- 山田正紀 | 2020/02/09 11:11 |
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背景は、航宙刺激ホルモン(FISH)を利用した非対称航行(アシメントリー・フライト)により、人類文明が光速の壁を突破した未来。恒星間宇宙へと羽ばたく人類から派生した二つの種、「鏡人=狂人(M・M)」と悪魔憑き(デモノマニア)との間で千年戦争が勃発。この壮大な戦いの結節点となる一人の男を軸に、さまざまな時間線のさまざまな物語が融合し交錯しつつ重なってゆく。
例えば、チェルノブイリ原発事故直後のある挿話では、天才物理学者の牧村が、ソビエト連邦崩壊を食い止めるような量子状態、「シュレーディンガーのソ連」の実現を求められる。 既発表の中編群もリミックスされることでその意味合いが変化し、めくるめくアイデアの奔流の中にのみ込まれる。小松左京「果てしなき流れの果てに」に正面から挑戦状を叩きつけている。 |