皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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糸色女少さん |
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平均点: 6.41点 | 書評数: 174件 |
No.3 | 6点 | ポストコロナのSF- アンソロジー(国内編集者) | 2021/10/03 23:47 |
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現代SFの最先端で活躍する作家19人がコロナ後の世界を書いた作品集。
作風もテーマとの距離感もさまざまだが、いずれも閉塞感に包まれた私たちの気持ちを解きほぐすユニークな思索に満ちている。 伊野隆之「オネストマスク」はマスク着用が義務付けられた社会を風刺的に描く。表情が分からず不便だということで、コミュニケーションを円滑にしようと感情が表示されるマスクが開発されるが、不都合が生じ...。リモート勤務の拡大が続けば、本当に起こりそうな物語だ。 過酷な状況を叙情的に描く樋口恭介「愛の夢」のような作品もある。感染症を抑えられなかった人類は、全てをAIに委ね、千年の眠りにつく。その間AIは世界を浄化し、人類の再起動を待つ。だが、約束の時が来て目覚めた人類は、再び眠りにつき、美しい夢を見続けることを選ぶ。 また北野勇作「不要不急の断片」は100字ピッタリで書かれた単文が70個羅列し、ゆるやかに結びついている。SNS時代らしい少ない文字数の表現で、日常と幻想が入り交じった光景を詩情豊かに描き出している。 |
No.2 | 6点 | 2010年代SF傑作選2- アンソロジー(国内編集者) | 2020/07/06 12:17 |
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正統派の小川哲「バック・イン・ザ・デイズ」、西島伝法「環刑錮」など幻想SFから、宇宙のどこでも相手が誰でも借金を取り立てる宇宙の金融屋を描いた宮内悠介「スペース金融道」や、チンギス・ハーンが高次元空間を疾走する野崎まど「第五の地平」、さらには生涯のほとんどをバーチャルリアリティーの中で過ごす少数民族についての柴田勝家「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」など、手法もアイデアも多種多様。感動したり唸ったり笑ったりしながら、SFの懐の深さを堪能できる。 |
No.1 | 6点 | 2010年代SF傑作選1- アンソロジー(国内編集者) | 2020/06/28 12:15 |
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仁木稔「ミーチャ・ベリャーフの子狐たち」は、遺伝子操作で作られた人工生命体と人間の間の交配/奉仕関係、さらには虐待といった問題を、社会的価値観はどのように変容するのかという視点を交えて描く。神林長平「鮮やかな賭け」は民話風のはじまりが次第に壮大な宇宙SFへ、そしてより遠大な存在のあり方と自由意志の探求へと展開していく。かと思えば田中啓文「怪獣惑星キンゴジ」は怪獣ランドで発生した人気怪獣殺害事件をめぐる悪乗りミステリと、バラエティー豊か。 |