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糸色女少さん
平均点: 6.41点 書評数: 174件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.3 6点 記憶汚染- 林譲治 2023/07/23 23:14
ユビキタス・コンピューティングによる厳密な認証社会の功罪、歴史認識を巡る対立、テロリズム、時間の観念がない異質な知性を持った人工知能。
社会とテクノロジーを巡る現代的で刺激的なテーマを贅沢に盛り込みつつ、伝奇SF的な大ネタまで挑んで見せた意欲的な作品。

No.2 7点 ウロボロスの波動- 林譲治 2022/10/25 22:34
太陽系に進入した小型ブラックホールを利用し、無限のエネルギーを得ようと企てる科学者たち。だがこの破天荒な計画を無数の困難が待ち構えていた。
人工知能や他の生命体に接触した人間の戸惑い、あるいは宇宙に生きる人間集団と地球政府との軋轢。そうした認識のずれが事件を作り上げてしまう。
凶暴な怪獣、敵対する異星人、反逆する人工知能といった悪役が、引き起こしたかのような怪事件が現れるが、科学的知見を駆使した指輪が導き出す真相は、こうした悪とは無縁なものなのだ。
異常な事件と思われた出来事が、異常でなく事件でさえないものへと解体されてゆく意外性に驚かされた。

No.1 7点 星系出雲の兵站 遠征- 林譲治 2021/01/10 19:23
この作品はタイトルのとおり兵站、つまり補給路や必要物資の確保、さらには後方の社会・経済にもかなりのページを割いている。
兵站を維持できなければ、局地戦には勝てても戦争に勝つことは出来ない。優秀だが地味な多くの者たちが兵器製造開発や補給・生産維持を通して前線を支え、勝敗を左右する。情報戦も重要だし、後方作業は時に行政府と軋轢を生むので、政治手腕も問われる。
もちろん見せ場も豊富だ。宇宙における天体的・物理的な諸条件を踏まえたリアルな戦闘シーンは圧巻の迫力で、英雄も登場する。兵站が危機にさらされ、作戦が崩れる時、犠牲とともに英雄が現れる。巻を重ねるにしたがって英雄が前に出てくるのは、後方社会の疲弊の現れでもある。
作品世界の人類は、4千年前に異星人からの侵略への備えを想定して宇宙に飛び出し、五つの星系に植民してそれぞれの文明を築いてきた。そしてついに正体不明の敵ガイナスと遭遇、交戦状態に入る。戦いながらも人類は、ガイナスの正体を探り、意思の疎通をも試みている。またある意味では古代文明の痕跡も発見された。かつて宇宙で何があったのか。積み上げられてきたさまざまな謎が、第5巻ですべて解き明かされる。もちろんガイナスの正体や人類の闇も。

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糸色女少さん
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採点傾向
平均点: 6.41点   採点数: 174件
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