皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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糸色女少さん |
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平均点: 6.42点 | 書評数: 158件 |
No.2 | 8点 | ワン・モア・ヌーク- 藤井太洋 | 2021/04/22 23:15 |
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福島第一原発事故があったのと同じ三月十一日に東京で原爆テロを起こすという予告をめぐる三日間の攻防を描いた作品。
それぞれ目的は異なるものの表面上は手を結んでいる二人のテロリスト、彼らを追う原子力の専門家とCIAのエージェント、そして警視庁公安部外事二課の刑事たち。という三組の動きを中心に追いつ追われつ、騙し騙されのサスペンスが白熱の展開を見せる。 作中の東京はほぼ現実そのもので、徹底したリアリズムを基調にすることで作中のテロ計画に説得力を持たせている。危機を描いた国際謀略小説にして警察小説である。 |
No.1 | 7点 | アンダーグラウンド・マーケット- 藤井太洋 | 2018/04/16 19:21 |
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仮想通貨と地下経済をテーマにしている。
多くの外国人労働者を受け入れ、経済格差がますます拡大した日本では、仮想通貨「N円」による地下経済が、表の経済を圧迫するまでに成長しつつあった。 仮想通貨は移民らに浸透する一方、脱税や麻薬取引、資金洗浄にも使われ、一般市民の感情を逆なでしている。だが、就職に失敗して表経済では生きられない主人公の木谷らは、地下経済でIT技術者として働く。 木谷は地下経済が社会のインフラに寄生していると認識する一方、社会の制度的不備や構造的不平等に不満も感じている。例えば日本には善意で医療行為を行う”善きサマリア人”を守る法律がない。だが弱者に利便性を提供するかに見える地下経済も、決して公正ではなく、当然ながら裏切りや搾取があり、肥大化につれ表側とのシェア争いにも激化する。 そもそも金銀との兌換を廃した現代の通貨は信用によって機能している。信用の揺らぎは経済社会を侵食する。本書の筆致はライトだが、扱われる課題は重い。 |