海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

糸色女少さん
平均点: 6.42点 書評数: 159件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.2 7点 都市と都市- チャイナ・ミエヴィル 2022/02/14 22:54
舞台となるのは、バルカン半島あたりに位置する二つの都市国家のべジェルとウル・コーマ。地理的にはほぼ同じ位置を占める二つの国は、ミルフィーユ状に領土が重ね合わされている。それぞれの国民は、互いに相手の国が存在しないように振る舞わなくてはならない。訓練によって反動的な「失認」状態を作り出し、それによって国境が維持される。
この奇妙な場所で殺人が起こる。ベジェル警察のティアドール・ボルル警部補は、この国際犯罪の犯人を追いつつ、第三の空間の謎に接近していく。ボルルが逃走する犯人を追うシーンは、同じ道を走る両者が実際にはそれぞれの国の領土しか走れないという設定が最大限に活かされたクライマックスになっている。
ミステリとしても十分に面白いが、本作の醍醐味は精神医学的には「解離」のメカニズムの政治的応用という優れたSF的な設定にある。

No.1 7点 言語都市- チャイナ・ミエヴィル 2019/03/10 10:29
遠未来、人類は辺境の惑星アリエカに居住地を建設していた。口に相当する二つの器官から同時に発話するアリエカ人と意思の疎通をはかるため、人類はクローン技術によってうり二つのペアを人工的に生み出して特訓し、彼らを大使として交渉に当たらせていた。
おそろしく独創的な異星言語の設定と、エキゾチシズムに満ちた異星描写が素晴らしい。伊藤計劃「虐殺器官」とも共通するアイデアをまったく違う角度から扱った言語SFとも読める。

キーワードから探す
糸色女少さん
ひとこと
(未登録)
好きな作家
(未登録)
採点傾向
平均点: 6.42点   採点数: 159件
採点の多い作家(TOP10)
神林長平(3)
小川一水(3)
小林泰三(3)
アンソロジー(国内編集者)(3)
林譲治(3)
山田正紀(3)
劉慈欣(3)
ケン・リュウ(2)
松崎有理(2)
伊与原新(2)