皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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猫サーカスさん |
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平均点: 6.19点 | 書評数: 405件 |
No.4 | 5点 | シークレット・エクスプレス- 真保裕一 | 2024/05/21 18:03 |
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JR貨物に航空自衛隊から急な依頼があった。青森県の東青森駅から佐賀県の鍋島駅まで、特殊燃料を緊急輸送して欲しいというのだ。元運転士で、ロジスティックス本部に勤務する井澄充宏は、自衛隊の訓練輸送に携わった経験を買われ、臨時列車の編集作業だけでなく同行を命じられる。政府の強い意向を盾に、JR貨物側には徹底した情報統制を要請し、警察関係者を同乗させるなど、度を越した荷主側の態度に加え、荷は液体燃料ではあり得ないことを運転士から伝えられた井澄の疑念は募っていく。妨害工作に苦慮しながら、無事に臨時列車を走らせるために人智を尽くす井澄らJR貨物の職員たち。積み荷の正体を知るために、体当たり的な取材にのめり込む新聞記者。手段を問わず隠蔽行為を暴こうとする原発監視団体。立場の異なる三者の思惑を交錯させながら、列車の運行に従って物語はスピーディーに動いていく。製品データの改竄や隠蔽体質など、国や民間に関わらない組織のモラル低下を背景に、豊富な取材に裏打ちされた描写で、現場で働くプロたちの矜持を描いた鉄道サスペンスである。 |
No.3 | 6点 | おまえの罪を自白しろ- 真保裕一 | 2019/10/04 19:18 |
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午後4時すぎに衆議院議員の3歳の孫娘が誘拐され、犯人側から要求が届く。身代金ではなく、記者会見での罪の自白だった。タイムリミットは翌日の午後5時。折しも総理がらみの疑惑を追及されていた中での出来事。議員一族と総理官邸と警察組織がぶつかり、軋みをあげていくことになる。インターネットを介した犯人側の要求と罪の自白の強要など、誘拐ものとして全く斬新。さらに家庭内のすさまじい葛藤、政治家同士の激しい駆け引き、限られた時間内での警察による懸命な捜査活動など唸りをあげていく複数の脇役にも手に汗握る。犯人に至る終盤の意外な展開と動機も考え抜かれているが、何よりも事業に失敗したさえない秘書(議員の次男)が危機管理の才能を発揮していく過程がすこぶる面白い。 |
No.2 | 6点 | アマルフィ- 真保裕一 | 2018/03/01 18:27 |
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イタリアを舞台にした誘拐ミステリ。もともとオール・イタリアロケを前提とした映画の原作として作られた物語だという。華やかな観光都市を移動しながら進行していく物語は、スケールの大きさと豊かな娯楽性を感じさせるばかりか、犯人側の目的が隠されたまま展開していくため最後まで緊張や興奮が途切れることはない。すべての要素にメリハリが利いているため、大変読み心地の良い作品に仕上がっている。 |
No.1 | 6点 | 脇坂副署長の長い一日- 真保裕一 | 2017/11/20 18:50 |
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タイトルからJ・J・マリックの古典「ギデオンの一日」を思い出す人も多いでしょう。複数の事件が同時進行するモジュラー型警察小説の始祖同様、次々と事件が起きる。続発する事件と出入りする人物たちの交通整理が鮮やかで、しかも一つ一つの事件に細かいひねりをもたせ、署内の派閥争いも添えて、一つにより合わせていく。特にアイドルの「一日署長」の話を実によく広げていて清新かつ緻密。最後の最後まで、波乱をもたせるサービス精神もうれしい。 |