皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
猫サーカスさん |
|
---|---|
平均点: 6.19点 | 書評数: 405件 |
No.3 | 6点 | 特捜部Q アサドの祈り- ユッシ・エーズラ・オールスン | 2022/12/16 18:37 |
---|---|---|---|
デンマークのコペンハーゲン警察に設置された特捜部Qは、未解決の重大事件を専門に扱う部署。シリーズの特色は、デンマーク社会の暗部や暗い過去が投影された事件、その割に重苦しくない雰囲気、非常にスピーディーな捜査の進行と事件の解決、脇役の活躍と彼らと取り巻く謎などにある。本作では脇役のアサドが実質的な主人公となる。アサドとはいったい何者なのかという疑問はずっと続いてきたが、ついに本作ではその謎が明らかになる。キプロスで遭難したシリア難民の写真が報道されたことを契機にアサド自身の壮絶な過去をめぐる戦い、離れ離れとなっていた家族を守る戦いが始まる。同時並行的に進行する別の殺人予告事件の捜査とアサド対テロリストの戦いが交錯しながら、すさまじいスピードで物語は進行する。本シリーズに活劇場面は珍しくないが、本作終盤のそれは圧巻だあろう。 |
No.2 | 6点 | アルファベット・ハウス- ユッシ・エーズラ・オールスン | 2018/03/19 19:19 |
---|---|---|---|
第二次世界大戦の英軍機パイロットがたどる数奇な運命の物語。ドイツ上空で撃墜された二人は親衛隊将校になりすますが、搬送された先は虐待が横行する精神病院。一人はどうにか脱走し、28年後再び現地を訪れる。陰惨な場面も多い過酷な物語だが、常に精神的な緊張に満ちた、息苦しくも興奮に満ちた小説に仕上がっている。 |
No.1 | 7点 | 特捜部Q Pからのメッセージ- ユッシ・エーズラ・オールスン | 2018/01/04 18:59 |
---|---|---|---|
コペンハーゲンが舞台の警察シリーズ第三作。未解決事件専門の特捜部Qにスコットランドの海岸で7年前に見つかったボトルメールが送られてきた。カール警部補の二人の助手は、海水と歳月で損傷した手紙の解読にのめりこむうちに、文面からおぞましい疑惑が姿を現す。遠い過去の事件が現在にどう結び付くか、犯人像がじっくり描かれ、説得力もたっぷり。自宅で介護することにした半身不随の元同僚の様子や、カウンセラーのモーナとの恋など、カールの身辺の変化も読みどころ。とりわけ個性的すぎる助手たちとカールのちぐはぐなやり取りが笑いを誘い、いい味を出している。 |