海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

ロマンさん
平均点: 8.08点 書評数: 177件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.5 6点 スウェーデン館の謎- 有栖川有栖 2015/10/25 11:38
読み終えて感心したのは著者の話作りの上手さ。事件の規模は決して大きくはない が、調査の途中で立ち止まって仮説を立てたり、犯人の動機を読者にあれこれと考える間を与えたりして、話をうまく膨らませている印象を受けた。火村の推理は、一見他に可能性がありそうな危ない橋のように見えるのに、他にめぼしい推理が見つからないのがなんだか悔しい。ただ、犯人の行動のリスクが高さとが気になるところ。

No.4 10点 双頭の悪魔- 有栖川有栖 2015/10/20 23:02
学生アリス第三弾。大傑作。今回は二つの村に分断されたマリアとアリスが語り手となり、それぞれが出会う事件が綴られる。途中の時点で贅沢なほどロジカルな推理が披露されるが、やはり特筆すべきは後半。二つの語り手が見届けてきたはずの事件が突然出会う展開、そして放たれる江神の論理の一撃は計り知れない衝撃。江神二郎VS犯人の論理対決には思わず震えた。そこに至るまでに築き上げられた丹念な推理と議論は、あらゆるフーダニットの技巧と工夫が込められ、ミステリの上限を押し上げたとさえ感じる。エピローグも印象的。

No.3 6点 月光ゲーム- 有栖川有栖 2015/10/20 16:37
トリックや動機に驚きはなかったものの、雰囲気に引き込まれて一気に読んでしまった。 火山の噴火により孤立したうえ、夜な夜な人が消えていくという極限状態が、リアルなのにどこかコミカルに描かれていて、エンターテイメント性十分。 難点としては、ダイイング・メッセージの解釈が少々強引なこと、やはり登場人物が多すぎて、最後までキャラ立ちしてない人も多かったことと、メインでない人達の性格とかを掘り下げられなかったため、言動が唐突に感じるところが多かったこと。

No.2 8点 マジックミラー- 有栖川有栖 2015/10/20 14:11
新本格ではあまり見ない鉄道を使ったアリバイトリックと、タイトルに懸かる双子トリックが盛り込まれたとても贅沢な謎解きミステリ。アリバイ崩しものはあまり得意でないのだが、それがメインでない構成とラストの巧みなどんでん返しには“流石”の一言だ。ダイアローグとモノローグの美しさ、伏線の周到さ、空知が繰り出す“アリバイ講義”、ラストのカタルシスまで非常によく練られた作品である。

No.1 9点 孤島パズル- 有栖川有栖 2015/10/20 13:30
(ネタバレ)“地図に残されたタイヤの跡”を起点とする犯人特定のロジックが秀逸。前述の物証から、犯人が自転車で一往復した事は明白。但し地図が元々魚楽荘にあった事から、タイヤの跡がついたのは“二度目の往路”の際。よって犯人は二往復した事になるが、最初の往路と最後の復路は泳いで移動していた(ボートと自転車が使えなかった為)。防水処置を施していないライフルを持ち帰り、泳げない男に自分の罪を着せる為に自転車で一往復した――という真相には説得力がある。一方、第一の事件では被害者自身が鍵をかけて現場を密室にした動機が巧妙。

キーワードから探す