皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
アイス・コーヒーさん |
|
---|---|
平均点: 6.50点 | 書評数: 162件 |
No.4 | 6点 | 完全犯罪に猫は何匹必要か?- 東川篤哉 | 2014/01/23 19:29 |
---|---|---|---|
招き猫に三毛猫と、猫ネタを中心にいかがわしい殺人の犯人を追う烏賊川市シリーズ三作目。相変わらず独創的な作品だ。
メイントリック自体はあれだけ伏線がはられていたのと、作者の書き方に慣れてきたために大体わかった。ところで、どうでもいいことだが、そのトリックの前例は、鵜飼が指摘したやつより有名なのがあるだろ…。そのほかの特徴は、相変わらずの伏線とボケをシャッフルした文章で、味噌汁の謎などはその境地。でもこれは気に入らなかった。いくらなんでも安直ではないか。 最後の方に出てくる三毛猫のネタは知っていたのでさほど驚きはなかった。複雑にしている割に単純な話である。結局猫を主題にしたことに、必然性はあったのだろうか。内容は面白いけれど、標準レベル。 |
No.3 | 8点 | 殺意は必ず三度ある- 東川篤哉 | 2013/10/25 13:34 |
---|---|---|---|
鯉ヶ窪学園野球部のベースが盗まれた。犯人の目的の見当もつかない事件を探偵部の三人組、部長の多摩川と謎の関西人・八橋、語り手の赤坂は捜査するが、後に鯉ヶ窪対飛龍館の試合が行われた飛龍館の野球場で死体が発見される。探偵部シリーズ第二弾。
密室ものだった前作に対し、今回は設定も細かく全体のクオリティも上がっている。詳しく書くとネタバレになってしまうが、自分は巧みな伏線でミスリードしてしまい、後半の展開には理解が追い付かなかった。さらには野球場を舞台にした大技トリックが仕掛けられ唖然というより納得。「そして誰もいなくなった」を代表とする見立て殺人がここまで進化できるとは…。探偵部の滑稽のところも、また楽しい。 |
No.2 | 7点 | 密室に向かって撃て!- 東川篤哉 | 2013/09/23 19:02 |
---|---|---|---|
警察の失態で流出した改造銃がホームレスを襲い、さらには密室殺人事件にまで発展する。烏賊川市シリーズ第二弾。
相変わらずのギャグと個性的なキャラクターに富んだ設定で、展開は早い。また、素人探偵たちの独自の推理はそれなりの工夫があって読みやすい。 今回は密室破り(あと犯人当て)というよりは、銃弾と銃声の数の問題がメイン。部分的にクリスティの名作を引き合いにしつつ、見事に消化しているところは感心。また、論理派の名探偵・鵜飼の推理に対し、伏線を利用した流平の推理も見事だった。まさか、腕相撲やあれがそんなに重要だったとは… ただ、不運のホームレス・金蔵が犬死だったんじゃないか、とは思う。それに、メインのあのトリックだってもっと慎重にやるべきだったのではないか。少し雑な点もあって残念。 |
No.1 | 6点 | 謎解きはディナーのあとで- 東川篤哉 | 2013/09/03 17:58 |
---|---|---|---|
あらすじは省略。本屋大賞一位獲得で、ドラマ化・映画化もされた人気作。ただ内容は東川氏の今までの作品と似て、素人の語り役が適当な推理をして読者を混乱させた後で、探偵がさらりと解決する構図。ただ、彼が重点を置いているであろうユーモアのある掛け合いのシーンは典型的であまり面白いとも思わなかった(読みやすいが)。
トリックについていうと、部分的に読者にも予想できる部分を作ることで、何も考えずに読む読者を駆除する工夫がある。つまり、積極的に読者を参加させる訳だが、安楽椅子探偵・影山の推理が飛躍しがちで論理的ではない、という欠点がある。言われてみれば納得するのだが、これは本シリーズの課題ではないか?一方読者をひきつける奇妙な殺人事件の数々については、作者のアイデア力に感服するばかりである。 |