皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
大泉耕作さん |
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平均点: 6.26点 | 書評数: 65件 |
No.2 | 5点 | 三毛猫ホームズのクリスマス- 赤川次郎 | 2012/07/31 23:57 |
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『~の推理』に引き続いて読み始めようと思い、何でも構わないから三毛猫シリーズの列を探しましたが、その当時のあのジャニ系ドラマの人気が辛うじて中学生内で起こり、最後に残されていた一冊が本書。図書館にて借りました。
殆ど感想文のようになってしまいますが、お許しください。 「三毛猫ホームズの飛び石連休」 いつもながら、『推理』から受け継がれた軽快な台詞と展開が明るい連続ホームドラマを思わせる。薄っぺらい描写と人間のような猫のユーモラスなかけ会いが、本来シリアス(?)なミステリの空気を良い意味で払拭して読者に暗い物を決して残さない。 アイデア一発勝負に賭けた作品。それにしてはトリックはありませんが。 「三毛猫ホームズの子守唄」 魅力的な謎に『おっ』としてはならぬ期待を催しましたが、読後に残るのは明るさとため息・・・。ミステリにはありがちなトリックです。 「三毛猫ホームズの離婚相談」 本書のなかではこれが一番かと。ホームドラマのような作風によって隠蔽に成功しています。 「三毛猫ホームズの通勤地獄」 女子高生が会社社長とは荒唐無稽だろうか? 株主は何を持って彼女に指名したのか、わらかない。プロット上の経緯から犯人の指摘に至るまでの説明不足はページによるものだろうか。 「三毛猫ホームズのクリスマス」 女子高生たちの陰険な内輪の模様を描いた作品。 まったく解せない女性教師の行動、犯人と被害者との解せない関係、ページの問題で片付けられる問題だろうか・・・? 何よりもプロットに矛盾した点が数多く見られ、終盤も犯人の指摘のみに終わり、結局は収拾がつかず。 万人受けしたシリーズでありながら、ミステリファンからはあまり見向きもされない三毛猫ホームズ。果たして、このシリーズに本格を求めることは、酷な話なのでしょうか? |
No.1 | 6点 | 三毛猫ホームズの推理- 赤川次郎 | 2012/07/01 20:11 |
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ジャニ系のどこだかのお兄ちゃんが主役という、最近のドラマの典型的末路のようなドラマ版。背筋に嫌悪感を覚えるほどのクソドラマだと言っても何の不思議もない出来でございました。
対して、小説はなかなか面白かったと思う。 猫を名探偵に据えたことがマイナス点になっているようですが、実のところ個人的に「よくやってくれた!」と賞賛したところ。猫を身近に置いている人なんか感じたりするでしょうが、猫って時たま感情が表情に現れるような様子を見せて、ふと視線があったりすると何か言葉をかけるのを待っているような反応を示したり、閉まったドアの向こうへ行きたい時に(開けてくれー)とこちらを見る目で語ったり、エゴイズムたらたらの観点から見た思いこみと言ったらそれまでですが、どこか人間臭さを漂わせて、人間以上に何を考えているのか判らないところがあったりします。そう言ったミステリアスな雰囲気が人間がやる以上に名探偵役に適していると、個人的には感じておる次第です。 筆が傾きました。 ドラマに後押しされてまた読んでいる方もいらっしゃるようですが(かく言う自分もその一人)、読んでいる人によってこれだけ感想が異なるミステリというのも珍しいと思います。軽快な文章、可笑しなプロットに「ああ楽しかった」という人もいる、かたや決してハッピーエンドではない終り方に、スピードに任せていたテンポをダウンしてじっと感慨深く思う人も絶対いると思います。これだけ万人受けした小説なのだから一人一人の個性の違った観点で見ると、こんな浅い展開でも楽しいだけではなくどこか共感を呼ぶ場面や感動があるのだと思います。 ミステリファンの目には、果たしてどう映ることやら・・・。 (ネタバレ注意!!) 密室トリックはバカミスの一線を越すか越さないか、正直際どいところであると思います。あのトリックを使用した場合、壁には大量のまでとは言わないまでも頭から噴き出す血痕数滴こびりついていない方が不自然だと感じます。密室事件が全く同じ日付に折重なるなど、やたら御都合主義が目につきました。 |