皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
虫暮部さん |
|
---|---|
平均点: 6.22点 | 書評数: 1843件 |
No.32 | 7点 | 掟上今日子の裏表紙- 西尾維新 | 2017/05/30 08:42 |
---|---|---|---|
実は真相の核だけ取り上げれば世界シリーズで使ったネタの焼き直し。勿論諸々の細部はきちんと詰めてあるし、今日子さんのキャラクターを生かした設定で面白く読める。何を書くかではなく如何に書くかが大事。
ではあるけれど、割と強気な純度の高いミステリとして始まった忘却探偵シリーズが、巻を重ねるに従いネタの見せ方のヴァリエーション重視にシフトしているのは正直不満。そっち系は美少年シリーズに任せて、こっちはもっとミステリ度強く真ん中にドン!と行ってくれないかな~。つまり“ミステリを読んだ!”という満腹感が希薄なのである。 |
No.31 | 7点 | D坂の美少年- 西尾維新 | 2017/03/28 10:12 |
---|---|---|---|
もはやミステリ要素はどうでも良くなっちゃったけど、“応援演説”が凄い。いろんな意味で。まぁこのシリーズはこれでいいや。 |
No.30 | 8点 | 結物語- 西尾維新 | 2017/02/01 11:56 |
---|---|---|---|
〈物語〉シリーズ自体は、ジャンルでいうなら青春オカルト・ファンタジーといったものに該当するのだろうが、本書の第一~三話はミステリ要素を含んでいる。特に第二話はファンタジー要素無しでも成立しそうな話。いずれもミステリ的には小品だが、主要キャラクターを総ざらいしつつ新キャラを巧みに絡ませて上手く膨らませている。いや逆か? キャラクターの将来の話に味付けとしてミステリを絡ませてる? 際限なく広がって行くこのシリーズは水増しと言えば水増しなのだろうが、その水こそがとても美味で私は好き。 |
No.29 | 6点 | 掟上今日子の旅行記- 西尾維新 | 2016/11/21 12:24 |
---|---|---|---|
取材旅行がしたくて立てた企画じゃないのか、と思われることも込みでネタに仕立てたような。切り口やストーリーは面白かったが落とし所はちょっと物足りないかも。 |
No.28 | 8点 | パノラマ島美談- 西尾維新 | 2016/10/24 10:15 |
---|---|---|---|
文体や世界設定のせいもあってミステリとしては薄味なシリーズだが、本作は5つの謎を用意した物量作戦で満腹感高め。 |
No.27 | 8点 | 零崎双識の人間試験- 西尾維新 | 2016/10/11 08:48 |
---|---|---|---|
何度読み返しても、最後の“「助太刀するぜ」”で泣いちゃうんですよ。 |
No.26 | 6点 | 押絵と旅する美少年- 西尾維新 | 2016/10/03 07:57 |
---|---|---|---|
推理小説というより探偵クイズを文庫本1冊分に引き伸ばした感じだが、リアリティ重視では使えないトリックだし、この作者の些細なことを意味ありげに延々読ませるスキルは楽しめるし、このシリーズは“なんじゃそりゃ~”と笑って読めば良いのだろう。悪魔の毒舌がナイス。 |
No.25 | 6点 | 掟上今日子の家計簿- 西尾維新 | 2016/08/26 10:48 |
---|---|---|---|
叙述トリック講座のあとで実践編が示される親切設計。この話はコミカライズ出来るのか?
今までの同シリーズに比べるとちょっと物足りなかったかな。 |
No.24 | 6点 | トリプルプレイ助悪郎- 西尾維新 | 2016/07/14 11:06 |
---|---|---|---|
リュパンや二十面相で育った身にしてみれば、大泥棒はひとを殺さないものだと相場が決まっているのである。従って“一回の盗みにつき三人殺す”という設定は掟破り、いやむしろコロンブスの卵?であるが、しかしそれはなかなかぞくりとさせられる妖しさを放っている。叙述トリックそのものはともかく、それを結構無茶な設定と絡ませるところがいかにも西尾維新そしていかにもJDCトリビュート。文体も含めて気持悪さが快い。 |
No.23 | 6点 | ダブルダウン勘繰郎- 西尾維新 | 2016/07/08 10:17 |
---|---|---|---|
妙にまっすぐな説教臭い部分は少年漫画のよう。清涼院流水のJDCというトゥー・マッチな設定をひらりと躱して上手く手玉に取ってみせた、という印象。ちょっとした台詞の端々でキャラクターを描き出す腕前は見事。 |
No.22 | 7点 | 不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界- 西尾維新 | 2016/06/30 11:35 |
---|---|---|---|
ありふれたネタでもアリに出来る作家と出来ない作家がいるわけで、主題の周囲をぐるぐる回って適当に話を逸らしているかのように見える饒舌を積み重ねていつのまにか読み手を作品世界に絡め取る筆力は、あからさまな名文美文でないゆえにタチの悪い吸引力を誇る。内容的に殆ど空っぽな本作では特に。 |
No.21 | 8点 | きみとぼくが壊した世界- 西尾維新 | 2016/06/21 09:57 |
---|---|---|---|
これはどうしたって、この小説の為の取材と称して保健室登校の巨乳女子高生とイギリス旅行へ行ったけどとても楽しかった、と言いたいが為に書いた小説、としか思えない。(いや、多分、くろね子さんは架空のキャラクターじゃないかと思うんだ……)そんなわけ、あるかあ! |
No.20 | 8点 | きみとぼくの壊れた世界- 西尾維新 | 2016/06/10 11:28 |
---|---|---|---|
ファンの欲目ではあるが、ミステリとしては小粒のネタを核に据え、周囲に分厚くコロモをかぶせて本を一冊でっちあげる、という場合に、そのコロモがこれほど美味い作家というのもそういないと思う。ネタが小粒なのも、コロモを美味しく味わうにはこれ以上入り組んだミステリ要素は邪魔、という冷静な判断なのだろう。本書では夜月が様刻にすがりつくシーンがあまりに印象的。“本の熟成”は私もよくやる。いろいろ敵に回しそうなミステリ談義も楽しい。
因みに私は、西尾維新式の過剰なネーミングは好きだなぁ。同姓同名が偶然存在して余計なイメージをしょいこむリスクが少ない、と言うメリットもあると思う。 |
No.19 | 7点 | 掟上今日子の婚姻届- 西尾維新 | 2016/05/23 12:38 |
---|---|---|---|
最終章手前まで、一体このどこに謎が潜んでいるのかさえ判らなかったが、小さな違和をあつめてひっくり返す手際が痛快(その痛々しい内容はともかく)。 |
No.18 | 7点 | 屋根裏の美少年- 西尾維新 | 2016/03/29 12:44 |
---|---|---|---|
“神を描いたんだ”という説明はあまりピンと来なかった。 |
No.17 | 7点 | ぺてん師と空気男と美少年- 西尾維新 | 2016/01/04 10:17 |
---|---|---|---|
“ライバル校の企みを暴け!”て少年漫画か! ミステリ的には薄味だが面白い。この世界設定でこそアリなネタを上手く使っていて、まぁそういう芸風って事で。私は好きです。 |
No.16 | 8点 | 掟上今日子の退職願- 西尾維新 | 2015/12/30 11:08 |
---|---|---|---|
ここまで思い切って色々な要素を省いて骨格だけにしてもちゃんと成立するのは、ミステリのお約束的な部分が実は単なる形式に過ぎないと言っているようだ。どうせダミーに決まっている容疑者のプロフィールとかアリバイとかダラダラ読むのは確かに無駄だよなぁ。それで尚、単なる推理クイズに堕することなく“小説”として読ませる西尾維新の筆力は見事。 |
No.15 | 7点 | 美少年探偵団 きみだけに光かがやく暗黒星- 西尾維新 | 2015/10/26 11:45 |
---|---|---|---|
西尾維新、なんか色々やりたい放題である。狙ってるなぁと思いつつ乗せられれば爽快。まぁ冷静に見れば一発ギャグみたいなコアのまわりにラノベ的な彩りをぐるぐる巻き付けて長編に仕立てたもの。ぶちこまれるオマケの要素は典型的ではあるが、巧みな文体によってラノベに対する批評にもなっている、とは愛読者の欲目か。〈物語〉シリーズがハーレムものだったのでバランスを取るために美少年山盛りのシリーズを立ち上げたのかと愚考します。 |
No.14 | 8点 | 愚物語- 西尾維新 | 2015/10/22 11:46 |
---|---|---|---|
まだ続く〈物語〉シリーズ、ファイナルシーズンのあとのオフシーズン第一弾だそうです。第一話「そだちフィアスコ」はハードボイルドの新参者ネタを青春小説風にソフトに書いたようなもの。第二話「するがボーンヘッド」は暗号ものなのでミステリと言えなくもない。あくまで西尾節であってミステリとしての面白さとは違うけれど。 |
No.13 | 8点 | 掟上今日子の遺言書- 西尾維新 | 2015/10/11 11:14 |
---|---|---|---|
遺言少女の心情が、私には非常に腑に落ちるものであるのが良かった。
表紙イラスト、読み終わって見返してみると結構な仄めかしになっている。 気になった点。松葉杖は、一本だけであれば、怪我をした足(右足)と反対の側に突くのが本来の適切な使い方だが、今日子さんが「右半身に」寄り添ってきた、とある。ギプスに触りたいから(笑)? |