皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
虫暮部さん |
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平均点: 6.22点 | 書評数: 1843件 |
No.52 | 8点 | 扇物語- 西尾維新 | 2020/10/30 17:10 |
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“謝罪”に関する考察の物語。これは面白かった、物語ではなくて考察のほうが。“このシリーズまだダラダラ続くんだ”とか思ってごめんなさい。このトリックはアニメ化出来ないね(それを敢えて狙ったんじゃないかと邪推します)。
“夜這い”と言う単語の使い方に違和感。そこまでDV的なニュアンスを含む語ではないと思うのだが……? |
No.51 | 8点 | デリバリールーム- 西尾維新 | 2020/10/05 12:09 |
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Q・delivery room とは「宅配便の集配所」を意味する英語である。○か×か。
Q・西尾維新は実は女性で、自身の妊娠出産をきっかけに本書を執筆した。○か×か。 Q・本書の帯には“新境地すぎる新境地”と謳われているが実際はそれほどでもない。戯言シリーズと忘却探偵シリーズの中間あたりの世界観。○か×か。 Q・本書の映像化は不可能である。○か×か。 Q・本書はとても楽しめた。○か×か。 |
No.50 | 7点 | ニンギョウがニンギョウ- 西尾維新 | 2020/07/21 11:48 |
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意味不明、なのだが此の判らなさには覚えがあり、私には判る気がする。西岡兄妹の漫画の如きものを小説でやってみたかったのではないだろうか。然様な試みは試みられた時点で宙に浮かぶことを約束されており、成功失敗を問う地平とは遠く隔たった場に在るのは言うまでもないのでもう言わぬ。売れているからこそ許された実験。権力の使い方としてはまぁ正しい。
とシニカルなことを嘯く私は気取り過ぎで、実は結構素直に面白い。 |
No.49 | 7点 | りぽぐら!- 西尾維新 | 2020/05/28 11:09 |
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この手の言葉遊び、作者は書くほどにレヴェルアップして楽しめるが、読者はなかなかその楽しみを共有しづらい。思うに本書の場合、禁断ワードがランダムなのが一因で、例えば“ア行禁止”とか“濁音禁止”のようにシンプルならばもう少し親しみ易かったのでは。甘いかな?
純粋に小説として読めば、「妹は人殺し!」が大好き。 |
No.48 | 6点 | 人類最強の sweetheart- 西尾維新 | 2020/05/27 11:33 |
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請負人・哀川潤を主人公にした短編集。①音楽×暗号ネタはいまひとつ、だがオチは効いている。②昆虫食には興味があるので楽しかった。③京都府警のミステリ掌編はそれなりに面白い。しかしアレとアレは痕跡が違うのでは。その場での思い付きの偽装工作だからそこまで考えていない、と言うことでいいけれど、作中で一言フォローが欲しかった。
他の数編は物足りない。とは言え西尾維新の文は齧るだけで楽しいわけで、潤さんの敵でないならすべからく読むべし。誤用じゃないよ。 |
No.47 | 7点 | 掟上今日子の設計図- 西尾維新 | 2020/03/20 12:12 |
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ふわっとしたコアを小ネタの配置とキャラクターで上手に膨らませる、いつもの作風は、爆破予告と言う題材に合わなかったかも。イメージ的に現場はもっと大騒ぎなのに、そのザワザワした感じがあまり無いような。今日子さんと犯人にフォーカスを絞った結果、必要以上にゲーム的な印象になってしまったと思う。犯人の動きは好みなんだけど。
邪推すると、作者は美少年シリーズ完結に当たって、視覚障害について色々と考える機会があったのかもしれない。眉美ちゃんを健気に描き過ぎたとの反省があり、この話はその副産物なのかもしれない。 |
No.46 | 8点 | 美少年蜥蜴- 西尾維新 | 2019/12/26 11:42 |
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講談社タイガ創刊ラインアップの1冊として始まったこのシリーズは、“薄っぺらい文庫本”というレーベル・コンセプト(?)を体現するかの如く、短編サイズのアイデアを舌先三寸で引き伸ばした作品に終始した観がある。そしてそれは、作者の言葉そのものに対する信頼を裏付けとした、少ない材料でどれだけ膨らませることが出来るか、と言う或る種倒錯的ながらも前向きな挑戦だったように思う。次々広げられる無茶な風呂敷にニヤニヤしつつ楽しませて貰いました。
本作でもそれを反省するどころかますますエスカレートさせて天晴れ完結。殆どストーリーはありません、良い意味で。尚、【光編】【影編】とあるが要は上下巻。 |
No.45 | 8点 | ×××HOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル- 西尾維新 | 2019/12/12 10:58 |
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CLAMP のコミックをネタに西尾維新が書いた小説。そりゃ当然面白い。実はストーリー性は希薄で、御題を右から左へ動かしているだけなのだが、それでこんなに読ませるとは一体どういう仕掛けなんだか。
しかし短編3本をこのサイズの豪華な書籍に仕立ててこの値段。売れっ子同士の組み合わせなんだからボってやれと言う版元の狙いが透けて見えるような気がする。(ビジネスのことは言うな!) |
No.44 | 7点 | ヴェールドマン仮説- 西尾維新 | 2019/08/14 12:56 |
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“コンプレックスが一切ない彼を書いてみたかった”とは作者の謂。しかしこの屈託の無い仲良し家族が、西尾維新の世界の中に置かれると怖いのなんの。物語を貫く違和感が探偵する視点の無邪気な邪気を炙り出す。“世界シリーズ”から当事者意識を除去したような味わい。
尚、“著作100冊目”とのことだが、リストを見ると結構恣意的に省かれているものがあるので、さほど意味のある謳い文句ではない。 |
No.43 | 8点 | DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件- 西尾維新 | 2019/07/23 11:20 |
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『DEATH NOTE』は熟読したので、名前を見ればキャラクターの顔が浮かぶ。そんなファンの性質を逆手に取って一本取られた。
原典には“2年前にLの下で働いたことがある”と言う南空ナオミの台詞があるので、それがつまりコレなのだろう。人がポコポコ死ぬ『DEATH NOTE』の中でも、南空ナオミの死は理不尽かつ無念の最たるもので、多大な傷痕を読者(私)に残したものだが、その彼女に再登板の機会を用意するとは粋な真似をしてくれる。 |
No.42 | 7点 | 余物語- 西尾維新 | 2019/04/23 13:56 |
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怪異アリの世界観に於けるそれなりにロジカルなミステリ2編。『少女不十分』にも通じる結構ヘヴィなネタを、しかし本格ホラーの文法ではなく軽妙なキャラクター小説にまとめている(勿体無い?)。斧乃木ちゃんの罵倒も3割増。チラチラ見えるだけの食飼命日子というキャラの使い方は、じらしプレイ? |
No.41 | 8点 | 混物語- 西尾維新 | 2019/03/08 12:07 |
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西尾維新の諸々のシリーズのヒロインと阿良々木暦が作品世界を越境して出会うと言う、ファンの為のお楽しみ企画だが、存外にミステリ度が高い。概ねはデフォルメされた世界観に準拠したバカミスだが、私の見たところ全15編中4編はちゃんとしたミステリにも転用可能。勿論メインはキャラクターの絡みなんだけどねっ! |
No.40 | 7点 | 美少年M- 西尾維新 | 2018/10/26 11:09 |
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どこが探偵団だって感じでミステリ度がこうまで下がり、単なるキャラクター小説になってしまうと、私は好きだ、と言う以外に褒め言葉が思い付かなかったりして。不穏な結末が次巻への期待を掻き立てるが、果たして……?
シリーズ中、表紙は本書が一番。 |
No.39 | 8点 | 掟上今日子の乗車券- 西尾維新 | 2018/10/19 12:19 |
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旅先で次々事件に遭遇する連作短編集。個々のネタはシンプルな思考実験だが、キャラクターと文章力があればそんな素材もこれだけ面白くなるのだと肯定的に読めるのが西尾維新である。長編にしてディテールを加えると破綻しそうな話を短編の型に合わせることで上手く料理していると思う。逆説的なロジックは亜愛一郎シリーズ(泡坂妻夫)に通じるとの連想は強引か。 |
No.38 | 8点 | 少女不十分- 西尾維新 | 2018/07/02 09:12 |
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最近報道された事件を連想させるような場面もあって胸が痛む。変なタイミングで読み返しちゃったなぁ。
シリーズ化しようがない内容なので雑念の入る余地が無かったせいか、非常に純度が高く、西尾維新の諸々のシリーズの隙間を埋めるパテとして十二分に機能している。10年前の出来事を文章化しているという設定ゆえ、現在の自分による突っ込みが時々うるさいがまぁ許容範囲内。作者本人による作家論、と考えるなら筒井康隆に於ける『脱走と追跡のサンバ』に該当する作品である(適当)。 |
No.37 | 8点 | 宵物語- 西尾維新 | 2018/06/19 10:54 |
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大学生になった阿良々木暦が女児誘拐事件の噂に噛む、ミステリ怪異譚。ここだけの話だけれど、結末の神様の台詞には感動してしまいましたでした。単なるキレイゴトになりそうな台詞をこれだけ肯定的に響かせるマジックは西尾維新の面目躍如。 |
No.36 | 5点 | 緑衣の美少年- 西尾維新 | 2018/05/31 12:21 |
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先生、実験は失敗です。と今回は言わざるを得ないか。作中作はそれ自体ちゃんと面白い内容にしないと。ただここでそれをもっともらしいイイ話にまとめず無理にでも逆張りでとっ散らかった解を提示するところが西尾維新の存在意義なのであって、内容は希薄でもキャラクター小説としては楽しい、とファンとしては擁護しておく。ああっ、でもこのシリーズはそういう巻が多過ぎだ……。 |
No.35 | 8点 | 掟上今日子の色見本- 西尾維新 | 2018/01/30 12:04 |
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これはシリーズ近作中では出色の出来か。どこがどうと言うより単純に面白かった。忘却探偵のキャラクターを発揮するには進行形の事件のほうが有利?今日子さんが誘拐されます!欲を言えば、動機に関してもう一捻りを期待していたんだけど。 |
No.34 | 7点 | 美少年椅子- 西尾維新 | 2017/10/24 09:00 |
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遂に今回は明確な謎を伴う事象が姿を消し、前作と次作への橋渡しのためだけで一冊刊行するに至ってしまった。まぁ、謎解き要素の低いギャングものとか警察小説で、レギュラー登場人物の一日を描いて終わり、みたいなのもあるから、それをライトな学園ものに応用するのもアリでしょう。物凄く良い方に解釈するなら、もしかすると、“事件→捜査→解決編”といった定石を意図的に外して、シリーズの一冊ごとにパターンを変えていこうという、ミステリに対する批評を含んだ試みなのかもしれない。私は好きだ。 |
No.33 | 8点 | 忍物語- 西尾維新 | 2017/07/24 10:15 |
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まだ続く〈物語〉シリーズ。女子高生が吸血鬼に襲われて木乃伊になる事件を追うのだが、謎のメッセージやミッシング・リンクといったミステリ風展開。ミステリとしてはごく古典的なネタも基盤がファンタジーの論理なのでそれなりに上手くリサイクル出来ている。本筋とは関係ない会話劇の方が面白いのはまぁいつものことだ。 |