皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
kanamoriさん |
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平均点: 5.89点 | 書評数: 2426件 |
No.9 | 5点 | 聖い夜の中で- 仁木悦子 | 2010/06/25 21:42 |
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ミステリ短編集(光文社文庫版)。
著者逝去後に出版された最後の短編集で晩年の作品5編収録のほか、鮎川哲也などの追想風エッセイなども収められています。本格度は低いですが、「陰のアングル」とか「折から凍る二月の」など、昭和の清貧な市井の人々を描いていて、初期作の頃から変わらないテイストは心地いい。 |
No.8 | 5点 | 夏の終る日- 仁木悦子 | 2010/06/22 18:27 |
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ミステリ連作短編集(角川文庫版)。
シリーズ・キャラクターの一人、私立探偵・三影潤もの5編が収録されています。探偵の職業からハードボイルドと見られがちですが、この短編集を読む限り文体にそのテイストはあまり感じられません。 浮気調査や失踪人探しを発端にいずれも殺人事件に巻き込まれるサスペンスで、本格度は薄めでした。 |
No.7 | 6点 | 林の中の家- 仁木悦子 | 2010/06/14 18:50 |
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沈着冷静な安楽椅子型の兄・仁木雄太郎とあわて者で行動型の妹・悦子が探偵役を務めるシリーズ第2弾。
電話で呼び出された兄妹が、ある家で死体を発見するという発端で、オーソドックスなフーダニットですが、今作も何気ない描写に隠された伏線が最後にきれいに回収されます。 現在、乱歩賞のデビュー作以外は比較的手に入り難いシリーズ作ですが、いずれも端正な本格編で読みやすいのがいい。 |
No.6 | 5点 | 凶運の手紙- 仁木悦子 | 2010/06/12 18:07 |
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ミステリ短編集(角川文庫版)。
檪究介くんの探偵譚「花は夜散る」や仁木悦子もの「初秋の死」のシリーズものは手堅い出来で、SF風の「一日先の男」は異色作ですがオチが分かりやすい。 個人的ベストは小学一年生の女の子のいじらしい心情が見事に描かれている「金ぴかの鹿」です。 |
No.5 | 6点 | みずほ荘殺人事件- 仁木悦子 | 2010/06/09 18:46 |
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ミステリ短編集(角川文庫版)。
家族や町内のほんわかした人間関係を描いて、コージー的で暖かな印象がある作者のミステリですが、本書は濃いめの本格編が多く収録されています。 特に幻影城に掲載された「最も高級なゲーム」が顕著で、犯人当てで凝った仕掛けは従来の作者のテイストを逸脱しています。 ほかにも、表題作や「肌さむい夏」も現場見取図を掲載するなど、ディープな本格編で楽しめました。 |
No.4 | 5点 | 一匹や二匹- 仁木悦子 | 2010/06/07 00:03 |
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ミステリ短編集(角川文庫版)。
表題作のほかに、「坂道の子」「サンタクロースと握手しよう」「蒼ざめた時間」「縞模様のある手紙」の5編収録。 「一匹や二匹」は長編の秀作「二つの陰画」の探偵役だった櫟健介夫婦の息子が主人公の作品。子供が主人公だと描写が実に活き活きとしていて読んでいて楽しい。宮部みゆきの子供を主人公にしたミステリに通じる味わいがあります。 |
No.3 | 6点 | 穴- 仁木悦子 | 2010/05/31 18:56 |
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ミステリ短編集(講談社文庫版)。
表題作のほかに、「明るい闇」「山のふところに」「幽霊と月夜」「誘拐者たち」「うさぎと豚と人間と」の6編収録されています。 子供や社会的弱者を主人公にした陰惨な事件を描いた作品が多いですが、不思議と読後感はよかったです。 養護施設内の殺人事件に知恵遅れの子供たちが重要な役割を果たす「うさぎと豚と人間と」が一番の力作だと思います。 |
No.2 | 6点 | 陽の翳る街- 仁木悦子 | 2010/05/17 21:27 |
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世田谷のある商店街の住民4人でなる推理小説研究会<モザイクの会>が巻き込まれる殺人事件、著者最後の長編ミステリ。
殺人被害者の失われた過去の謎が核で、商店街の多くの住民たちを描きながら、意外な人間関係の繋がりで最後にきれいにまとめています。 いつもながらのハートウォーミングなミステリで、読後感はいいです。 |
No.1 | 6点 | 粘土の犬- 仁木悦子 | 2010/03/10 18:56 |
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ミステリ短編集。
どの作品もいいですが、「黄色い花」「かあちゃんは犯人じゃない」なんかが好きですね。 子供が主人公のミステリを書かせたら彼女が一番でしょう。 |