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まさむねさん
平均点: 5.86点 書評数: 1154件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.41 5点 博士はオカルトを信じない - 東川篤哉 2024/04/13 15:10
 (自称)天才発明家のアラサー女性博士と、両親が探偵事務所を経営している中2男子のコンビによる短編集。新シリーズとはいえ、何かどこかで見かけた雰囲気ですし、東山節も健在。コンビが変わっただけ?という気がしないでもない。
 スラスラ読みやすいのですが、トリックは相当に小粒。すごく小粒。その中でも、最終話「天才博士と靴跡のアリバイ」の発想は嫌いではないです。

No.40 8点 仕掛島- 東川篤哉 2023/03/02 22:23
 ド直球の本格作品と言ってよいと思いますし、愛すべきバカミス系でもあります。斬新なトリックが…という訳ではないものの、過去の事件との関係も含めてしっかりと練られていて、最後まで楽しく読ませていただきました。新鮮味というよりも、安定感で勝負といったところか。個人的には、結構好きなタイプの作品。
 ちなみに、ユーモア度については、作者の他作品と比べれば低めかも。でも、内容的にもこの辺りが丁度いいような気がしますね。読み心地は大変に良かったです。

No.39 6点 探偵少女アリサの事件簿 さらば南武線 - 東川篤哉 2023/01/08 21:22
 名探偵として世界に名をはせる母と、国内では有名な探偵らしい父を持つ、10歳の美少女・有紗(アリサ)。多忙な両親不在の際に、アリサの子守役を依頼される便利屋、31歳の橘良太。この2人のコンビで溝の口周辺の事件を解決していく連作短編集の第3弾。そしてシリーズ完結編。
 4短編を収録。いずれも本格ミステリとしての根幹は守っています。でも出来栄えはマチマチ。個人的には、2話目の「名探偵、金庫破りの謎に挑む」に好感。
 アリサの両親も含めて拡張させやすい設定だろうなぁと思っていたし、読み心地もよかったので、この作品がシリーズ最終巻となったことは正直残念。このシリーズは「10歳のアリサの1年間」を描いたともいえるので、何らかの形で「その後」を読んでみたいものですが、無理なのかなぁ。

No.38 5点 うまたん ウマ探偵ルイスの大穴推理- 東川篤哉 2022/08/07 13:14
 この間、様々なキャラクター(マイベストは「ゆるキャラ探偵」なのだけど)を登場させてきた作者。とうとう人間を超えて元競走馬(15歳・牡馬)を探偵役に据えてきました。関西馬だから関西弁というのは、ちょっとアレのような気がしますが、相棒が女子高生といった設定は作者らしいかな。
 最終話の一捻りは嫌いじゃないのものの、ネタは総じて小粒。疑問に思うネタも無くはない。採点はこの辺りで。

No.37 6点 スクイッド荘の殺人- 東川篤哉 2022/06/30 21:19
 烏賊川市シリーズ13年ぶりの長編。鵜飼探偵&流平コンビ、さらに砂川警部&志木コンビ等々、とても懐かしい気分で読ませていただきました。その点は素直に嬉しかったですね。(朱美さんが顔を出す程度にしか登場しなかったのは少し残念だったけど。)
 一方で、ミステリ的な側面についての積極的な評価はしにくい。端的に言えば、長く引っ張るだけのネタだったのだろうか、といったところ。伏線も含めて巧くまとめているし、スイスイと楽しく読ませてはいただいたので、全体として悪い印象ではないのですが、もうワンパンチほしかったかな。
 ちなみに、「烏賊」の英訳が「スクイッド」らしいですね。烏賊押しの姿勢は嫌いじゃないです。

No.36 5点 居酒屋「一服亭」の四季- 東川篤哉 2021/12/12 22:07
 極端に人見知りなのに居酒屋の女将を務める「安楽椅子(あんらくよりこ)」が、日本酒片手に事件を解き明かす連作短編集。推理の舞台が居酒屋とはいえ、料理ネタで引っ張ろうとしない姿勢は嫌いではない。
 4短編とも死体の一部が切断されている猟奇的事件。でも、ソコは東川さんですから、陰鬱さがあるはずはない。探偵役の「いかにも」設定も含めて作者らしさを楽しみましょう。全体的に小粒だけれど「鯨岩の片脚死体」のホワイがベストか(現実的ではないけれどね)。
 探偵役の毒舌は作者の十八番ですが、本作のベストは「いいえッ、ぶちクソ間違ってますわッ」。和服姿の居酒屋の女将に叫んでいただきたい。

No.35 6点 新 謎解きはディナーのあとで- 東川篤哉 2021/07/28 22:51
 映像化もされた人気シリーズの続編。お久しぶりですね。
 前シリーズとの相違点は、形式的には、天然キャラの後輩新米刑事「若宮愛里」刑事が登場したことでしょうか。とはいえ、ミステリとしての貢献度は高くなく、コミカルさの演出の効果を狙って…といった感じでしょうか。ちなみに、執事・影山の毒舌はそのままでしたが、ちょっとマイルドに、そして人間味を帯びてきたような気がしましたね。ドラマの影響なのでしょうか。風祭警部の貢献度?も無視できない。
 各短編の出来栄えには幅がありましたが、総じて本格度を保っています。「五つの目覚まし時計」「煙草二本分のアリバイ」におけるロジックの転換が好印象。「墜落死体はどこから」の島荘感もイイ感じかな。

No.34 6点 野球が好きすぎて- 東川篤哉 2021/07/11 12:03
 これまでの作品でも、しばしば野球ネタ(殊にカープネタ)を活用してきた東川さん。今回は、タイトルどおり、野球ネタ一気通貫の短編集。何か楽しんで書いていそうだ。探偵役にカープ女子、刑事役にスワローズファンのおじさんとその娘を添えるという念の入れよう。パ・リーグをもう少し取り上げてほしかった…という願望もありましたが、プロ野球愛に満ちた書きぶりは嫌いじゃない(むしろ大好物)。「野球ファンあるある」的なところもいい。その分、プロ野球に興味のない方には、ちょっと辛いかも。
 どの短編も、ミステリとしての一定の質は備えているのですが、ネタとしてはどうしても小粒。その中でも、一発ネタだけれども、短編としての使い方が巧みな「カープレッドよりも真っ赤な嘘」がベストかな。この短編が、有名ミステリ作家に褒められたりと好評だったことを受けて、年イチペースで続編短編を書き続け、この短編集に辿り着いた模様。ちなみに「有名ミステリ作家」がどなたなのか、ちょっと気になりますねぇ。

No.33 5点 谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題- 東川篤哉 2020/12/05 21:14
 谷根千エリアにある、鰯料理をメインにした居酒屋「鰯の吾郎」。店主は「岩篠なめ郎(いわしのなめろう)」。その妹は近所の大学に通う「岩篠つみれ(いわしのつみれ)」。ネーミングからして作者らしいですねぇ。
 同エリアで開運グッズを扱う「怪運堂」の店主・竹田津優介が探偵役となり、女子大生・つみれが持ち込む謎をユルっと解き明かす…という新シリーズ(なのだと思います)。いずれの短編も、ミステリとしては正直弱いです。小粒です。舞台設定が効果的なのかも疑問。
 ちなみに、居酒屋「鰯の吾郎」自体は魅力的ですね。ビールとイワシのなめろう&つみれ。いいなぁ、行ってみたいなぁ。

No.32 5点 君に読ませたいミステリがあるんだ- 東川篤哉 2020/10/04 23:22
 「鯉ヶ窪学園シリーズ」ということで、懐かしさとともに手にしたのですが、まぁ、舞台が同じということだけで、少し残念。逆に、シリーズ作を読んでいなくても支障はないということになりますね。
 各短編は小粒。特筆するとすれば「作者が作中作を用いることは珍しいなぁ、初めてかもなぁ…」というくらいか。連作短編としての仕掛けについても、「ああ、そう」といった印象に留まりました。使い方も中途半端で、作品全体に効果的に作用しているとは言い難いかな。とは言え、楽しくは読ませてもらいました。

No.31 5点 魔法使いと最後の事件- 東川篤哉 2020/03/02 22:44
 「魔法使いマリィ」シリーズの第4弾にして最終巻(らしい)。まぁ、ハッピーエンドなのだろうけれども、何となく中途半端な印象も受けましたね。
 収録された短編はいすれも倒叙モノで、ネタとしては可もなく不可もなくといったところですが、犯行現場に残された傘がキーとなる「魔法使いと五本の傘」がベストかな。
 ちなみに、個人的には、主人公マリィよりも、椿木綾乃警部の思考?の方が気に入ってます。作者への貢献度という面でも、マリィを凌駕していました。

No.30 5点 ハッピーアワーは終わらない- 東川篤哉 2019/12/31 16:54
 西荻窪のシェアハウスで生活する、定職なしアラサー女子3人組によるシリーズ第2弾。
 肩肘張らずに楽しめるのはいいのだけれど、ネタ自体の小粒さ、緩さは否定できないかな。それと、3人の個性(役割?)がより明確になった結果、逆に3人組にした意義が見出しにくくなったような気もします。

No.29 5点 伊勢佐木町探偵ブルース- 東川篤哉 2019/11/16 18:45
 新シリーズ。主人公に男性を据えるのは久しぶりのような気がしますね。
 横浜・伊勢佐木町の私立探偵「桂木圭一」は、助手、というより舎弟の「黛真琴」とともに、日々活躍中。ある日母親が再婚したとのことで訪ねると、相手(つまりは義父)は神奈川県警本部長、かつ、自宅は大豪邸。その息子(つまりは義弟)は伊勢佐木署の刑事だった。義兄弟は次第に信頼関係を…という設定の短編集。
 ミステリー要素も、ギャグ要素も、いつもより相当に低い印象です。ハードボイルドっぽくはあるのですが、何となく中途半端な印象を受けましたね。「平塚おんな探偵の事件簿シリーズ」をほんの少しだけ引用していたけれど、今後何か展開しようとしているのかな、気のせいかな。
 個人的な結論としては「やっぱり烏賊川市シリーズを読みたい」ということになりますね。

No.28 6点 ライオンは仔猫に夢中- 東川篤哉 2018/07/14 16:06
 近年、複数のシリーズによる短編を書き続けている作者。各シリーズの使い分けというか、シリーズの特徴について、作者はどこまで拘っているのか、微妙なところがあるのですが、ついこの間読んだ「探偵少女アリサ」シリーズと比べてみると、本書は、本格度はやや高め、ギャグは低めといったところでしょうか。短編自体の練り具合も、本書の方が堅実かも。気軽に読む分には、いいかな。

No.27 5点 探偵少女アリサの事件簿 今回は泣かずにやってます- 東川篤哉 2018/07/08 18:16
 探偵をやりたくて仕方がない10歳の美少女・有紗(アリサ)。しかも両親ともに名探偵で、国内外で活動中。なんか某アニメ作品の少女版って感じもしますねぇ。そして両親不在の際、アリサの子守役を依頼される「なんでも屋」の橘良太(31歳独身)。この2人のコンビによる連作短編集第2弾ですね。
 正直、各短編のネタ自体は、どれも小粒です。何かに使えるかも…とネタ帳にメモっておいたヤツを引っ張り出してきました…ってところか。何気にテレビを見ていて思いついたネタもありそう。まぁ、軽く読む分には悪くないのだけれどもね…。
 ちなみに、この2人のコンビって、アリサの両親の設定も含めて、結構使い勝手がいいような気がするので、大事に(?)使うって手法はないものかなぁ。逆に使い勝手がいいからこそ、軽い短編にフィットするものなのかな。

No.26 5点 さらば愛しき魔法使い- 東川篤哉 2018/04/11 22:13
 「魔法使いマリィ」シリーズ第3弾の短編集。終わり方からして、シリーズ完結なのかしら、その割には唐突すぎるというか、あっさりしているような気もするなぁ…と思っていたら、新たに続編短編も書かれているとのことで、暫くはこのシリーズが続きそうです。
 内容としては、ワンアイディアを活かしたものばかりで、いかにも日常生活の中で思い浮かびました的なものです。軽く読みたい気分の時にはフィットすると思うのですが、評価は分かれそうですね。個人的には、第1話のポルシェネタなど、何気に好きなタイプなのですが。
 一方で、今回はラブコメ的な割合が高く、ギャグも上滑り気味な印象。この点については消極的な評価になるかな。

No.25 7点 探偵さえいなければ- 東川篤哉 2017/07/23 16:03
 烏賊川市シリーズの短編集。このシリーズとしては第三弾の短編集に当たる(と思います)。
 作者の原点と言うべきシリーズですが、いつもの鵜飼杜夫、二宮朱美、戸村流平の三人が揃って登場する短編はありません。というか、三人とも登場しない短編すらございます(砂川警部と志木刑事は登場するから、辛うじて烏賊川市シリーズということになるのかな?)。でも、このシリーズは主要三人以外のサブキャラクターがいい味を出していて、前短編集で個人的にツボだった、ゆるキャラ探偵「剣崎マイカ」が(1短編のみとはいえ)再登場してくれたことが嬉しい。凄く嬉しい。
 いずれの短編も水準以上の出来栄えにありますが、個人的には何といっても「剣崎マイカ」が見事に解決する「ゆるキャラはなぜ殺される」がベスト。ユルすぎるとか、バカバカしいとか、批判もあるでしょうが、私には無関係。ゆるキャラを活かしきったプロットは秀逸と言ってよいのではあるマイカ。そして作者としては、今後も彼女のキャラを積極的に使うべきではあるマイカ。
 他の四短編も、なかなかの出来栄えです。倒叙形式もあり、かつ、反転が心憎い作品も多くて好感を持ちました。緩いユーモアを巧く活かしながらの、極めて堅実な短編集と言えると思います。(様々な意見はあろうかと思うのですが。)

No.24 5点 かがやき荘アラサー探偵局- 東川篤哉 2016/12/18 22:41
 西荻窪のシェアハウスで生活する、定職なしアラサー女子3人組が活躍する短編集。単なるキャラ小説ではなく、一定の本格ラインは守っていると思います。
 個人的には、「洗濯機は深夜に回る」が好きだったかな。(様々な側面から、一般的には警察が絶対に気付くよね~という突っ込みどころはあるのですが…)
 ちなみに、作者はここ数年、新キャラを連発していますが、全て探偵役が女性(まぁ、年齢は関係なくね。そして魔法使いであってもね。)なのはなぜなのだろう。何となく気になったもので。

No.23 5点 ライオンの歌が聞こえる- 東川篤哉 2015/08/09 22:36
 シリーズ第2弾。これまでの作者のシリーズと比べて、キャラ自体の特徴は弱めなのですが、逆に使い勝手は良いのかもしれません。だからなのでしょうか、ちょっと「やっつけ感」が匂わないではありません。③がなかったならば、4点レベルかなぁ…。
①亀とライオン:犯人がわざわざ策を弄した意義がよく判りませんねぇ。私だったら、そんなことはせずに「とても急いでいたようでしたので…」と証言するだけだけれどなぁ。
②轢き逃げは珈琲の香り:小さな思い付きから即興で作られた作品…って感じ。
③首吊り死体と南京錠の謎:密室をベースにしながらの反転が実にお見事で、本短編集中のベスト。雰囲気は全然違うものの、個人的には「容疑者Xの献身」を思い起こしましたねぇ。
④消えたフィアットを捜して:いやいや、いくらなんでも強引すぎますなぁ。

No.22 5点 探偵少女アリサの事件簿 溝ノ口より愛をこめて- 東川篤哉 2015/02/01 17:57
 東川さん,またまた新キャラを持ってきました。今回の探偵役は,ロリータ服を着こなす,10歳の美少女・有紗(アリサ)。コンビを組むのが,「なんでも屋」を開業する,31歳独身の橘良太。
 この設定,人によって好き嫌いはあるでしょうが,個人的にはなかなか使い勝手が良いような気がします。人気子役を配したドラマ化を狙っているのか?(でも,事件が溝ノ口を中心とした南武線沿線限定ってのがネックか?)
 で,内容としては,正直,これまでの別キャラ短編集に比して小粒。「単に探偵役が変わっただけ?」といった印象もありますが,キャラ自体は悪くないし,有紗の両親も含めてもっと設定を活かせるような気がするので,今後に期待しましょう。

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まさむねさん
ひとこと
ミステリとしての特別な知識なく乱読していますので、私の書評はあまりアテにしないでくださいね。
好きな作家
道尾秀介・東野圭吾・東川篤哉
採点傾向
平均点: 5.86点   採点数: 1154件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(55)
有栖川有栖(43)
東川篤哉(41)
森博嗣(37)
道尾秀介(26)
伊坂幸太郎(26)
米澤穂信(22)
島田荘司(22)
歌野晶午(21)
西村京太郎(19)