皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ZAtoさん |
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平均点: 6.55点 | 書評数: 109件 |
No.7 | 6点 | 初陣- 今野敏 | 2010/10/17 22:43 |
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伊丹にとって、竜崎は決してコンプレックスを抱くだけの相手ではない。
この本が巻末に近づく頃、伊丹は竜崎への友情を思い、それをひとり語りのように告白して本書は終る。 やや、情緒過多ではあるが読後感は決して悪くはなかった。 |
No.6 | 5点 | 疑心- 今野敏 | 2010/10/17 22:42 |
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「本当に、俺はどうしてしまったのだろう。こんな自分は認めたくなかった。これまでの人生で大切にしてきたものが何なのか、もう一度考え直すべきだ。」
こんな自問自答を延々と繰り返す。 そして330ページの小説で200ページもこんな状態が続く。長い、あまりにも長すぎた。 |
No.5 | 9点 | 果断- 今野敏 | 2010/10/17 22:38 |
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一層キャラクターに磨きをかけていく竜崎だが、周辺の人物たちも竜崎と絡むことで生命を吹き込まれていく。
まさに今野敏のプロットの巧みさを痛感させられる一編だった。 第一作が「真のエリート官僚とは何ぞや」と読者が理解していく小説だったとすれば、今回のは読者に竜崎伸也という男を追認させていく小説だといえるのではないか。 |
No.4 | 9点 | 隠蔽捜査- 今野敏 | 2010/10/17 22:33 |
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『隠蔽捜査』は、読者が竜崎伸也を理解していく作業に追われる小説だといえる。
そして竜崎伸也を理解するということは、今野敏が考える真のエリートとは何か、あるべき官僚の姿とは何かを理解することでもある。 大胆にも「足立区女子高生コンクリート詰め殺人」と「国松警察庁長官狙撃事件」を俎上にあげている。 現実の事件を物語に取り込むことで小説にリアルな迫真性をもたらすという手法は好きな手ではないが、このふたつの事件を通して『隠蔽捜査』の竜崎と伊丹の思想対決がより臨場感を帯びたことは否定出来ない。 |
No.3 | 8点 | ビート- 今野敏 | 2010/10/17 22:25 |
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今野敏は心理的に追い詰められていく父親をサスペンスドラマとして、タエと一緒にダンスに生き甲斐を見出そうとする次男を青春ドラマとして、ふたつのエスプリを加味しながら世代間のギャップと衝突を表現していくのだが、読者が英次に感情移入してしまうことによって、彼が本当に殺人者になってしまうのかという心理を父親と共有することになり、思わずドキドキしてしまう。
このあたりの読者心理の操作は本当に巧い。 果たしてこの両者の衝突に救済はあるのか。 詳しいことは書かないが、ここでようやく樋口顕の出番が回ってくる。相変わらず妻に罵られたり笑われたり、娘の遊びに同行して氏家にからかわれたりしながらも、敢然とこのシリーズの主人公が樋口顕であるという存在感を発揮して読者の溜飲を下げてくれる。 |
No.2 | 7点 | 朱夏- 今野敏 | 2010/10/17 22:13 |
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犯人は前半部分で簡単に想像がつく。その犯人像がシリーズのモチーフである世代間対立を生む。
「犯人は大人になる機会を与えられなかったのだ」のだと。 もちろん多作家にありがちな御都合主義的な部分もある。 容疑者が浮上するきっかけが「夢に出てきた」ではいくらなんでも噴飯ものだし、 犯行に使用したレンタカーが簡単に割れたのも安易だったと思う。 しかし読後感をすこぶる良いものにしたのは、 『朱夏』という不思議なタイトルの由来を樋口の上司の台詞で語らせたことが大きい。 この台詞を読んだ時が、この小説と出会って良かったと思えた瞬間だった。 |
No.1 | 5点 | リオ- 今野敏 | 2010/10/17 22:09 |
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事件の展開も若者風俗に沿っただけで真新しいものとは言い難く、タイトルになった“飯島理央”という女子高生の描き方も平板なので、樋口も含む被害者や加害者たちが何故そこまで彼女に翻弄されていくのかという説得力にも欠けると思えた。 |