皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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りゅうさん |
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平均点: 6.53点 | 書評数: 163件 |
No.5 | 6点 | 亜愛一郎の転倒- 泡坂妻夫 | 2011/08/07 09:25 |
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相変わらず、亜愛一郎の推理は強引かつ無理矢理で、論理性や必然性は微塵もなく、思いつきで言ったようなことが真相だったという作品が多いです。そういうキャラクターの探偵だと言ってしまえばそれまでなんですが。「狼狽」の方が、作品集としては出来が良いと思います。
「砂蛾家の消失」 家屋消失トリックは、それを成立させるための手法や伏線に工夫が見られるものの、途中で披露され破棄された方法と大同小異で、肩透かしに感じました。また、事件の真相を示唆するある事柄が、亜愛一郎は見て知っているのですが、読者には知らされていないことに不満を感じました。 「意外な遺骸」 見立て殺人を行なった理由に説得力を感じました(特に「煮た」理由に)。個人的には、この作品集でのベスト作品です。 「病人に刃物」 唯一、真相が山勘で当たった作品。タイトルが洒落れています。 |
No.4 | 7点 | 亜愛一郎の狼狽- 泡坂妻夫 | 2011/02/24 19:49 |
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最初の「DL2号機事件」を読んで、その推理の馬鹿馬鹿しさに放り出し、しばらく積読状態になっていました。再度取り出して読んでみると、それなりに楽しめました。亜愛一郎の推理の特徴は、「直感的で飛躍しすぎている」ということでしょうか。全般的に、文章が脈絡に欠けていて、読みにくい印象を受けました。個人的ベスト作品は「曲がった部屋」、次点が「黒い霧」です。
「曲がった部屋」 伏線らしきものがいくつか出てくるのですが、その意味するものに見当がつかず、真相を読んでなるほどと感心しました。勘の良い人なら気付くかもしれませんね。 「掘り出された童話」 暗号ネタですが、読者が簡単に解読できるような単純なものではありません。この暗号のアルゴリズムに合わせて童話を創作した、作者の労力の方に感心しました。 「ホロボの島」 印象的なストーリーで、小説としての出来映えなら、この作品集の中でも一番でしょう。 「黒い霧」 カーボンばらまき事件から導き出される、亜愛一郎の無理やりな推理に唖然。それでも、冒頭のエピソードが伏線としてうまく収束していく様はマジックを見ているようで面白かったです。 |
No.3 | 7点 | 乱れからくり- 泡坂妻夫 | 2011/01/16 21:42 |
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登場人物が次々と死んでゆき、真棹に容疑が向けられた時、まさかこのままで終わるわけないよねとは思いましたが、どういう結末を迎えるのか全く予測できませんでした。この犯人の設定は斬新ですね。伏線はあちこちに張られていますが、さりげなさすぎてその意味に気付きにくいです。4つの殺人いずれにも「からくり」が使われていますが、その手法を推測することは難しい。特に最後の殺人の手法は引っかけみたいなもので、わかるわけがありません。作品のテーマである「からくり」が、うまく真相に結びついているのはお見事です。 |
No.2 | 8点 | 11枚のとらんぷ- 泡坂妻夫 | 2010/06/13 21:25 |
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構成のアイデアがすばらしいと思う。作中作になっていて、11の短編推理と長編推理の両方を楽しむことが出来るが、短編推理の方がパズル的な内容で面白かった。手品ショーでのドタバタぶりは、筒井康隆の小説を読んでいるようで楽しい。アリバイトリックは見抜くことは出来たが、真相のすべてを見抜くことは無理だと思う。登場人物の一人が、犯行現場のガス栓が開いてあった理由を推理し、犯人を特定する場面がある。いくら何でもこの理由はないだろうと思った(結局○○だったが)。最後に犯人が真相を告白するが、咄嗟にこれだけのことを考えて実行できるかなと疑問に思った。 |
No.1 | 7点 | しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術- 泡坂妻夫 | 2010/04/17 19:42 |
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仕掛けがあることはわかっていたが、残念ながら見抜けなかった。不自然さを感じさせることなく、この仕掛けを実現した作者の手腕には敬意を表する。
ミステリーとしての出来はあまり良くない。新興宗教、イタコ、断食修行などを取り上げ、凝った設定だが、真相はやや荒唐無稽ですっきりしていない印象。断食修行の際に使われているトリックは奇抜で面白い。 |