皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
りゅうさん |
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平均点: 6.53点 | 書評数: 163件 |
No.7 | 5点 | ブラジル蝶の謎- 有栖川有栖 | 2011/08/09 20:08 |
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傑出した出来栄えの作品がなく、作品集としては平凡な印象を受けました。
「ブラジル蝶の謎」 火室の真相説明は、犯人がブラジル蝶を天井にディスプレイした理由などがうまく説明されており、トリックとしても面白いのですが、もう一人、犯行が可能な人物が残されているので、考えられる解の一つに過ぎないと思いました(ただし、もう一人が犯人の場合はブラジル蝶をディスプレイした理由が説明できませんが)。 「妄想日記」 遺体を燃やした理由は意外ですが......。暗号の真相は肩透かし気味です。 「彼女か彼か」 この真相の一部は、伏線があからさまなので予測することができました。 「鍵」 ちょっと時代錯誤的な真相です。肝心の鍵を当人以外が持っていたのでは役に立たないと思いますが。 「人食いの滝」 バカミスっぽいトリックですが、面白いアイデアです。ただし、後日証拠が発見される可能性が高そうですし、気象条件が変わると全く逆効果になってしまいます。また、片瀬が新しい長靴を履いていた理由が説明されていないように思うのですが。 「蝶々がはばたく」 人間消失に関する謎で、本来は謎として成立しないのですが、問題提示の仕方が工夫されているため、成立しています。真相も逆転の発想で面白いのですが、持ち上げるほどの作品でもありません。 |
No.6 | 6点 | マジックミラー- 有栖川有栖 | 2011/01/30 21:23 |
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悪い作品ではないのですが、ちょっと地味な印象。作中で使われている2つのアリバイトリックはどちらも手間がかかるもので、失敗の可能性が高いような気がします。「アリバイ講義」は興味深い内容でした。これだけでも読む価値があると思います。 |
No.5 | 8点 | 双頭の悪魔- 有栖川有栖 | 2011/01/02 09:03 |
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前2作を凌ぐ、スケールの大きな力作です。
この作品の核とも言うべき、1番目の事件と2番目の事件を結ぶ真相について、ネット上で偶然ネタバレを見てしまっていたので、なかなか手が出せなかったのですが、今回読んでみました。読者挑戦3回戦はそれでも十分に楽しめました。いずれも、ページをめくり直して、真剣に考えてみました。結果は、核となる真相を知っていたにもかかわらず、1勝2敗でした。でも、言い分けと言うか、不満と言うか、反論があります。 (ネタバレをしています。注意!) ・ 読者への第一の挑戦 別の犯人を想定していました。香水の使い方は、私の考えていた方法よりもうまいやり方で、さすがだと思いました。ただ、香水の香りがどれくらいの範囲まで及ぶのか、読者にはわかりにくいのが難点ではないでしょうか。それがわかりにくいため、犯人特定に至ったロジックを読んでも、別の人物でも可能ではと思ってしまいました。 ・ 読者への第二の挑戦 犯人、手法ともほぼ完全正解でした。 「右の尻ポケットの論理」はいらないと思います。 ・ 読者への第三の挑戦 犯人を特定するロジックが見つからず、動機面だけから別の人物を犯人と想定していました。江神の披露した犯人特定のロジックには不満があります。このロジックは、マリアが音楽室からのピアノの音を一切聞いていないことが前提となりますが、作品中では、「足音はいくつか聞きました。でも、注意を払っていたわけではありませんから、....」と言うマリアの曖昧な証言しかありません。マリアが音楽室からのピアノの音を聞いていないことを明示すべきだったのではないでしょうか。さらに、このロジックはある可能性を見逃しています。それは、「八木沢が音楽室に入った後、犯人は八木沢が演奏していない時に入室し、演奏を聴かせてもらうよう依頼して、八木沢が演奏に夢中になった時に背後からナイフで刺す・・・・・・」といった単純なものです。犯人の言い分じゃないですが、江神の推理は言掛かり、こじつけと言われても仕方ないと思います。 「読者への第三の挑戦」のロジックには不満ですが、全体としては非常に良く出来ていると思いますので、この点数で。 |
No.4 | 5点 | 孤島パズル- 有栖川有栖 | 2010/12/20 20:55 |
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登場人物がさほど多くなく、シンプルな設定で読みやすい作品だとは思います。犯人はわかりませんでしたが、謎解きとしてはあまり高く評価できません。
(完全にネタバレをしています。要注意!) 「地図に残ったタイヤの跡」から犯人を特定するロジックに納得できませんでした。クイーンもそうですが、こういった些細な証拠で犯人を特定するロジックは、こじつけとしか思えないものが多く、本作品もそう感じてしまいました。そもそも、犯人が地図を落としたという設定自体、イマイチです。 島の図面を見た瞬間に、泳いで移動するというトリックは思いつきましたが(山勘にすぎませんが)、真相を推理するためには、さらに、泳ぎではライフルを運ぶことができないことを知っていなければなりません。読者にそこまでの判断ができるでしょうか(ビニール袋などで包み、体にくくりつければ、泳いで運べるのではないかと考えてしまいます)。 密室トリック、バラバラになったジグソーパズル、ピストルが2発撃たれた理由など、その他の謎も肩透かし気味でした。 |
No.3 | 6点 | スウェーデン館の謎- 有栖川有栖 | 2010/06/29 20:03 |
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(若干のネタバレあり)
シンプルな設定で、読みやすい作品。ページ数を水増ししているとは思わないが、ミステリの構成要素だけをみると短編向きの内容(作者もあとがきで長めの短編になるはずだったと書いている)。足跡トリックの方法はわかったが、足跡の深さと体重の関係までには思いが及ばなかった。犯人が相当な危険を冒している点がやや不自然。煙突が折れていた理由や枕カバーが持ち去られていた理由は拍子抜けであった。 |
No.2 | 4点 | 月光ゲーム- 有栖川有栖 | 2010/05/15 09:54 |
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マッチの燃えかすの本数、カメラのフィルム盗難、ダイイングメッセージ、犯行終結宣言など様々な謎が盛り込まれているのだが、解決編を読むとあまりぱっとしないものばかり。こんな貧弱な根拠で犯人を特定するのはいかがなものか。作者のデビュー作という意義しか見出せなかった。 |
No.1 | 10点 | スイス時計の謎- 有栖川有栖 | 2010/02/16 13:08 |
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評価点は、表題作のみによるもの。表題作以外の3作は、短編推理としてみた場合に可もなく、不可もなくといったレベルだと思う。しかし、この4作を平均して評価点数を下げ、表題作のような傑作を埋もれさせてしまうのは勿体ないと思ったので、あえて表題作のみで評価を行った。
スイス時計を題材に、このような素晴らしいロジックを構築した作者の発想力に感心。論理の積み重ねによって、犯人を特定していく場面には興奮した。 あえて、重箱の隅をつつくような疑問をあげると、火村が有栖に対して、神坂と三隅の時計の裏蓋にイニシャルが入っているかどうかを確認するよう依頼する場面があるが、このことは推理する上で必ずしも必要な事項ではないと思う。 |