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皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

りゅうさん
平均点: 6.53点 書評数: 163件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.3 7点 ビロードの爪- E・S・ガードナー 2012/01/10 20:08
 ペリー・メイスンシリーズの最初の作品。メイスンは血気盛んで、ハードボイルド弁護士といった感じです。それにしてもとんでもない依頼人です。大嘘つきで、男性の前では弱々しそうに見せながら、影では舌を出してアカンベをしているような女性が依頼人です。挙句の果てには、メイスンが犯人であるかのような供述までします。この依頼人の嫌らしいキャラクターが真相にうまく活かされています。メイスンはこの依頼人を見捨てることなく、様々な策略をめぐらしながら不利な状況を突破していきます。残り60ページぐらいを残してほぼ大勢が決したかのように思わせますが、最後の捻りにはなるほどと唸らされました。謎解きの要素は薄いのですが、2つの事柄の違和感からのメイスンの推理は鮮やかでした。

No.2 7点 門番の飼猫- E・S・ガードナー 2011/06/11 06:11
 相変わらず、ややこしい話で、目まぐるしく話が展開していきます。この作品の真相は相当に意外なもので、ラストの法廷場面でのメイスンの説明には意表を突かれました。二重の意外性を持っています。猫の〇〇からの推理は鮮やかと言えますが、もう一つの方は手掛かりが不足していて、読者が真相を推理することは無理だと思います。このシリーズは、相談者からの奇妙な依頼、メイスンとドレイクによる体当たりの調査、メイスンの違反すれすれの不思議な策略、法廷での丁々発止のやり取りがお約束のようであり、この作品でもメイスンの策略として、偽装ハネムーンの演出が行われています。この演出が何を意図しているのか、推測出来ず、種明かしを読んで、良くこんなに手の込んだことをするものだと思いました。設定が強引と感じる箇所、疑問点が何箇所かありました。

(完全にネタバレをしています。要注意!)
・ ピーターは犯行を察知して警戒しながらも、犯人の犯行を許しているのですが、こんなにうまくいくものでしょうか。本当に殺される危険性が高いと思います。犯罪が行われた時に死体が屋敷内に用意されていたことや、マジシャンのようにうまく入れ替わったことなど、ちょっと無理があります。 ピーター自身が屋敷に放火したとする設定の方が良かったのではないでしょうか。
・ 犯人は、キーンが猫を連れ去ったことをどうして知っていたのでしょうか。
・ 犯人は、ワッフル・キッチンから電報をどうやって打つことが出来たのでしょうか。

No.1 5点 義眼殺人事件- E・S・ガードナー 2011/04/23 20:31
 ペリー・メイスンシリーズは初めて読みました。プロットがかなり複雑で、展開も急です。メイスンは、お抱え探偵のドレイクと共に縦横無尽に動き回って問題解決にあたります。メイスンは依頼人を救うために2つの策略を企てるのですが、1つは完全な裏目に終わります(これは警察の捜査妨害でもあり、やり過ぎだと思います)。もう1つの策略は何のためにやるのか、メイスンの最後の説明を読むまではその意味がわかりませんでした(この策略が期待どおりの結果になる確率はそれほど高いとは思えず、失敗したら大損です)。真相説明は一応状況をうまく説明しているのですが、感心するほどのものではありませんでした。また、ブルノードからの依頼内容が取って付けたようで不自然です。義眼が盗まれ、自分を陥れるために犯罪の現場に残されるおそれがあるので何とかしてほしい・・・・・・。こんなことを弁護士に依頼する人はいないでしょう。

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りゅうさん
ひとこと
 横溝正史の作品を集中して読んだ時期はありましたが、これまではミステリを文学の1ジャンルにすぎないと考え、特にミステリにこだわった読書をしてきたわけではありませんでした。このサイトの書評を見て、ミステリ...
好きな作家
あえて挙げると、ディクスン・カーと横溝正史
採点傾向
平均点: 6.53点   採点数: 163件
採点の多い作家(TOP10)
横溝正史(22)
アガサ・クリスティー(19)
鮎川哲也(10)
エラリイ・クイーン(9)
ジョン・ディクスン・カー(7)
有栖川有栖(7)
泡坂妻夫(5)
森博嗣(5)
麻耶雄嵩(4)
島田荘司(3)