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江守森江さん
平均点: 5.00点 書評数: 1256件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.12 8点 妖婦の宿- 高木彬光 2009/07/08 01:19
但し書き
作品集として入手出来ず表題作「妖婦の宿」のみを「密室遊戯」(鮎川、島荘監修アンソロジー)で見つけて読んだ。
よって採点、書評共に「妖婦の宿」単独です。
読者挑戦物短編の最高峰を鮎川「達也が嗤う」と分け合う傑作だろう。
一つの大事な手掛かりから論理的に導かれる犯人。
心理的密室トリックを囮にした結末の大技!
作者を打ち取って解決編前に正解に辿り着いても素晴らしいと賞賛出来る。
読者挑戦物好きで未読なら是非とも手にして欲しい。

No.11 4点 能面殺人事件- 高木彬光 2009/07/04 12:19
初読時、作者の神津シリーズ読者挑戦傑作群を先に読み、その興奮が覚めやらぬままに興味を持ち手にした。
思いっきり失望した記憶がる。
最近、再読して初読当時の失望感の原因に思い至った。
プロローグでクリスティー「アクロイド殺し」のネタバレから始まり“作者の狙い”が透けて見えてしまうのが原因だった。
殺人方法や密室トリックを枝葉にして挑んだ大技にしては余りに不用意な書き出しだったと思う。
※多数の古典作品が未読で、これから読もうと思っている方々へ
海外古典作品のネタバレを多数含む。
現在では色褪せ古典的名作の評価には値しなくなった。
以上を踏まえて、手にして下さい。

No.10 7点 影なき女- 高木彬光 2009/07/03 22:18
神津シリーズの短編集。
各話共通でプロットや作風が初期のシリーズ長編に通じるものがある。
よって、この作品集を読んでから「刺青〜」「人形は〜」「呪縛の家」など読者挑戦物を読むと手の内を知った手品になり、推理する楽しみを奪いかねない。
故に、先に前出の作品を読む事を勧めたい。
前出の長編では事件の継続の為に犯人に弄ばれたりして神津恭介の名探偵らしさが削がれる(私的には犯人に翻弄され悩む神津も好きだが・・・)シーンもあるが、短編では全開で描かれている。
読む順番を守ればより楽しめると思う。

No.9 5点 死神の座- 高木彬光 2009/05/24 20:48
作者がどこへ向かうか暗中模索している時期に書かれたのか神津本格の勢いが感じられない。

No.8 5点 神津恭介の予言- 高木彬光 2009/05/24 08:31
この作品が神津恭介の最後を飾る作品になってしまった。
島荘ばりの大技トリック(まんま同じとの説あり)だが作者に全盛期の熱気が感じられない。
一時代を築いた名探偵だけに引き際が肝心だったかも知れない。

No.7 5点 神津恭介の復活- 高木彬光 2009/05/24 08:27
これも神津恭介の新シリーズ物。
入り組んだプロットは作者らしいのだが、この時代まで来ると新本格の波に流されてしまい水準レベルを超えられない。

No.6 5点 神津恭介への挑戦- 高木彬光 2009/05/24 08:20
神津恭介の復帰に喜び手にしたものの、時代の流れとは恐ろしい。
水準レベルの本格だがわざわざ神津物にしなければ良かった。
唯一驚くとしたら、約15年の時を経て現実に同様の手口で死体処理した事件が起き、あっさり犯人が逮捕された事だろう。

No.5 9点 刺青殺人事件- 高木彬光 2009/05/22 09:48
神津の後に神津なし。
これが安吾の「不連続〜」に賞レースで負けた作品とは思えない(初稿のデキは不明)
機械的密室に関しては読者挑戦前にネタ割りしてるので問題ない。
心理的密室や作風が神津物らしさ全開で素晴らしい。
※増補改稿された光風社版(約三百ページ)を読んだ。

No.4 10点 人形はなぜ殺される- 高木彬光 2009/05/22 09:45
「読者挑戦物の最高峰」
タイトルを突き詰めれば犯人に到達する為に多くの読者が犯人当てを堪能したはず。
一方で、全事件のトリックや構図にはナカナカ到達出来ない。
その辺りのさじ加減から読者挑戦物の最高峰だと思っている。
第二事件単独の中編だと上記のさじ加減は出来ない。
それ故、事件継続の為に神津が犯人に翻弄されるのは御愛嬌。
松本清張の社会派全盛期に初読したのでインパクトは絶大だった。
現在では実行不可なメイントリックが残念ではあるが何度読み返しても色褪せない"宝物"

No.3 8点 白昼の死角- 高木彬光 2009/05/22 09:41
社会派嫌いの私も引き込まれたピカレスクロマンの傑作
全盛期の高木彬光は凄い!

No.2 8点 呪縛の家- 高木彬光 2009/05/22 06:25
次々に殺され犯人候補たる登場人物の少ない中、ハッタリをかました二回の読者挑戦にゾクゾクした。
読者挑戦での前世紀的云々の記述も、書かれた時期から19世紀の事で、20世紀前半視点での主張としては何ら古くない。
この作品の主題は、予言による遠隔殺人ではなくフーダニット及び犯人指摘後の終章での「裁きえぬ罪人」にある。
そのため解決編以降の読後感が微妙になるのは致し方ない。
「本格ミステリの真髄の一つが論理的フーダニットにある」を体現し、連載中の愚作との投書に反発して自腹で読者挑戦した作者を賞賛する。
※余談
長編で作品初頭から長く登場する場合の神津恭介が犯人に翻弄され名探偵らしくないのは金田一耕助同様に御愛嬌。
※更なる余談
作者自ら随筆等で、トリックに対し自分はアレンジ型で(組合せと見せ方次第だと)ある程度のパクリを容認していて残念。

No.1 4点 七福神殺人事件- 高木彬光 2009/05/22 06:16
作家のピークが過ぎてからの作品で神津物を書いてほしくなかった。
これ以降に復活してから書いた神津物もオマケだと思う。
プロットがモロにクリスティーのABCなのも戴けない。

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江守森江さん
ひとこと

※「読書(ミステリ)は趣味で娯楽」「相容れない主張(嗜好)は、どこまでも平行線」を標榜している。
※多くの作品に接する努力として、映像化作品で済ます等々、ファジーな方法を常に模索している(本質的...
好きな作家
高木彬光、天藤真、平石貴樹、古野まほろ (ミステリーに限定しなければ一番は梶山季之...
採点傾向
平均点: 5.00点   採点数: 1256件
採点の多い作家(TOP10)
雑誌、年間ベスト、定期刊行物(52)
高木彬光(32)
アガサ・クリスティー(30)
梶山季之(30)
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