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臣さん
平均点: 5.90点 書評数: 655件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.9 5点 このミステリーがすごい!2014年版- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2014/02/17 09:56
注目記事は、幻の名作を探せ(復刊希望)と映画化ガイド。
幻の名作を探せは、名作を語り合う対談のようなもの。いつもの座談会の代わりなのか?すこしは趣向を凝らしてあり、面白いといえば面白い。
どうせなら、復刊ドットコムと組んで、復刊を募るなど大々的にやればいいのにとも思うが。

一方の映画化ガイドは予想していたのと全然ちがっていた。年刊本なので仕方ないが、この1年の映画化作品しか対象となっていないのは物足りない。
二流小説家の「武田真治が怪演」との記載があり、すこし目を惹いたが、それだけだった。観たいなとは思うがいつになることやら。最近、劇場では映画観ないからなぁ。

国内外のランキングは例年と同様、1つ2つ読みたいものが見つかればいい、という程度の位置付け。長岡弘樹の「教場」は刊行当初から気になっていたが、本サイトでの評価が高くなかっただけに、上位になるとは予想外だった。

No.8 5点 このミステリーがすごい!2013年版- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2013/01/23 10:02
なんといっても、国内堂々1位の「64」の作者・横山秀夫のインタヴューがいちばん。
この記事を読むと、横山氏自身にも長編に対する苦手意識があるのがよくわかります。長期間にわたって中断しながら、書き直ししながら書き続け、その間に病気にもなったとのこと。かなりの苦労があったようです。
早く読みたい気もしますが、「半落ち」ショックがいまだに残っているので、もう少し待ってみます。たんに文庫化を待っているだけともいえますが(笑)。
それと横山氏についてあらためて認識したことは、横山氏が本格ミステリー作家であったこと。
組織モノ、警察モノのちょっと毛色の変わった短編が多いので、本格ミステリーというより、ミステリー味を効かせた変格企業小説のイメージが強かったが、あのプロットの妙味は、やはり本格だからこそという感じですよね。「第三の時効」とか、「臨場」とかね。

警察小説のもう一人の雄である今野敏氏作品も、久々のランク入りを果たしてほしいですね。ただ、この人の作品はミステリー味が低めなのが玉に瑕なんですが。

ランキングのその他については、解説を読みながら、こういうのもあるんだなぁ、読みたいなぁと一瞬思うだけで、そんな思いは長くはつづきません。「64」だけが例外です。
内外を通じてランキング内で唯一読んだのが、原田マハの「楽園のカンヴァス」。これは良かった。

No.7 5点 ミステリが読みたい! 2012年版- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2012/02/02 09:37
要素別の配点方式なので、それぞれの点数を見て読みたいものを判別することができる。
ストーリー、サプライズ、キャラクター、ナラティヴという要素別ランキングに加え、サスペンス、本格、青春、ユーモアなどのジャンル別ランキングがあるのも特徴。これも使い勝手がよい。
しかし、このスタイルを初めて見た2年前ほどの感動はない。しかも、たとえば国内篇では、投票人数5人、得点86点(1人あたりの満点は、5点×4要素=20点)で10位にランクインするほどで、投票規模は小さすぎる。詳細な採点方法がよくわからないため、ランキングの信頼性は低い。3位ぐらいまでしか参考にならないのでは。

評価できる点は、100作品の内容紹介がされていることと、旬の海外作家30人の丁寧な紹介があること。

No.6 5点 このミステリーがすごい!2012年版- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2012/01/10 10:12
読書傾向を考えれば本書より祭典サイトのほうが役立つことはまちがいないが、500円とお手ごろだし、雑多なミステリーが紹介されているし、なんといてっても最新情報を仕入れるには最適なので、結局今年も購入しました。
長年続いている隠し玉や我が社の隠し玉、私のベスト6などは、本家の風格が感じられました。でも新たな注目点はなかったですね。

海外ランキングで目を引いたのは、新聞でも書評を読んだ1位の『二流小説家』。ちょっと気になったのが店頭でちらっと見た『犯罪』。翻訳モノはたまにしか読まないので、これらに手を出すのはいつになるかわかりませんが。
国内ランキングで気になったのは、いずれも未読だが、1位の『ジェノサイド』と、22位の『マスカレード・ホテル』。よく行く書店のほとんどで、同時期に新刊コーナーに平積みで並んでいたが、しばらくすると『マスカレード』だけが後方へ追いやられてしまっていた。この現象が『このミス』の順位を物語っているようです。一時期はハードカバーを買う気満々だったが、順位が発表されてしまうと、ランキングが高くても低くてもやめとこうっていう気にもなりますね。なお、文春では『マスカレード』ももっと上位でした。

No.5 6点 日経おとなのOFF 9月号- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2011/12/06 09:42
歴史・時代小説特集なら年に一度はビジネス誌に取り上げられるが、ミステリの場合、かつて「ダ・カーポ」に取り上げられていた程度で、すくなくともビジネス誌での特集は見たことがない。本誌は趣味系の雑誌だから、さもありなんだが、ビジネス誌寄りな雑誌なので目新しい気がする。

内容的には、内外ミステリが全般的に網羅してあるし、「名探偵30人のプロファイリング」や「ミステリの中の犯罪心理学」など凝ったものもあり、初心者にも上級者にも役に立つ永久保存版という感じだ。ただ、どの記事にも宮部みゆきが登場していないのが意外だった。編者の嗜好なのかな。

「プレジデント」などのビジネス誌に歴史・時代小説特集が組まれた場合、著名な経営者による「仕事で行き詰ったときに『宮本武蔵』を読み返す」とか、「『三国志』で人心掌握術を習得した」なんてコメント記事が載るが、ありきたりすぎて面白くない。むしろ、ビジネス誌にミステリ特集を掲載し、「ミステリの謎解きで論理的思考力を身に付けた」「ミステリで子どもの読解力がアップした」なんてコメントを載せれば、ミステリの社会的地位の向上につながるのではないか。

書店の文庫コーナーの大半がミステリか時代小説という今となっても、世間的にはミステリはいまだ低俗でマニアックな趣味なのではという強迫観念がある(偏見なのかもしれないが)。ビジネス誌もつまらん記事ばかり載せずに、ミステリの地位向上のために一役買ってほしい。

No.4 5点 小説新潮 2009年 5月号- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2010/10/27 12:42
松本清張 生誕100年の特集。
清張と山崎豊子の対談、映画化コーナー、「私の発想法」、北村薫と宮部みゆきの対談、「津ノ国屋」という未発表短篇、清張45冊を小倉で1週間で読むという企画などが掲載してあります。
「津ノ国屋」は北村薫と宮部みゆきが最も気になる作品ということ。掌編ですが、たしかに清張らしい味わいを感じます。「45冊を1週間で読む」は馬鹿げてはいますが楽しめました。挑戦者が後半、音を上げてしまうのには笑えます。たしかに1週間で45冊はきついですね。
清張は新本格派世代には敬遠されがちで、このサイトでも書評はごくわずか。時代の流れなのでしょうか。周りにはまだまだファンはいるのですが。。。
なお、2009年 12月号でも清張を取り上げています(「江戸綺談 甲州霊嶽党」一挙掲載300枚)が、これは買いそびれました。

No.3 5点 このミステリーがすごい!2010年版- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2010/09/12 18:24
昨年に引き続き季節はずれな書評です。「ミステリが読みたい 2010年版」は早い時期に目を通しましたが、こちらは古本を購入し、読破。読破というほどではありませんが、「隠し玉」「私のベスト6」は夢中になって読んでしまいました。面白かったですね。ランキングの見せ方としてはあっちが上ですけど、企画ものに関しては、こちらが勝っているようです。さすが老舗です。
ガイド本で楽しめるなんてホント幸せ者です(笑)。

No.2 6点 ミステリが読みたい! 2010年版- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2009/12/09 15:06
立ち読みで済まそうと思っていたが、内容に引かれて衝動買い。ガイド本で高い支払いはいやだから、今シーズンは、『このミス』『本ミス』は立ち読みか、図書館か、あるいは古本にするつもり。

本書の良い点は、先日読んだ『新海外ミステリ・ガイド』と同様、ジャンル別のランク付けがあること。以前から思っていたが、ランク付けや書評を、ミステリという1つのくくりでするのはどう考えてもナンセンス。このような売り物のガイド本のランキングや書評は、作品をジャンル別、目的別にじっくりと吟味できるように分けるのがベストだと思う。こういうランキング方式をもっと浸透させてほしいですね。
その他の特徴点としては、ランク付けにストーリー、サプライズ、キャラクター、ナラティヴという4つの基準をもうけて採点しているところ。私の基準としてはストーリー、サプライズ、キャラクター。ナラティヴ(文体)も気になるが、好みが分かれるので点数は参考にしない。
それに、作品紹介と解説に徹底しているのも良い。『このミス』の座談会とか隠し玉などの企画物は工夫が感じられるし、それなりに楽しめるので捨てがたいが、すこしでも多くの作品情報を得たいと思っている読者には本書のほうが向いている。
また、『ベスト100 for ビギナーズ』は、ちょっとした事典代わりになるのが良い。
細部の話だが、今年のベスト100の中にドストエフスキーの『罪と罰』があったのは驚きだった。この小説をミステリとして扱ってくれたのは、ファンとしてうれしい。

(ちょっと余談を)
書店で本書のとなりに並べてあった『本ミス』は早々にパスすることにしたが、むしろ、反対側のとなりに置いてあった、権田萬冶の『松本清張 時代の闇を見つめた作家』と、そのとなりの連城三紀彦の『造花の蜜』(本書の国内ベスト1)には、食指が動いた。結局買わなかったけどね(笑)。

No.1 5点 このミステリーがすごい!2009年版- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2009/09/16 18:34
10年ぶりに購入しました。買ったのは年末でしたが夏に読み終えたので、季節はずれですが、いまごろの評価になります。
形式的には昔とほぼ同じですね。ぼくが好きだった私のベスト6も残っていました。そもそも、このミスはミステリを本格だけではなく広めに捉えているようですが、私のベスト6はさらに広く感じます。ミステリとはとても思えない、とんでもないのを選んでいる人たちもいて、それがまた面白かったという記憶があります。でも今年のは普通でしたね。
当然ですが、ランクインの作家たちは昔とずいぶん変わりましたね。ついでにWikiで20年分のベスト10ランキングを見ましたが、海外編の常連だった、スティーヴン・キングやトマス・H・クックなど売れっ子作家たちはもう消えています。2009年度では、名前すら知らない作家たちのオンパレードで、恥ずかしながら唯一名前を知っているのがジェフリー・ディーヴァーぐらいです。取り残されたって感じです(笑)。
どちらかというと、このミスは読み物として楽しんだほうですが、もちろん参考にした作品もあり、これからも頼りになるガイド本となりそうです。(祭典サイトの情報には遠くおよびませんが...)
こんな感じで感慨にふけっていましたが、2009年版は、短編ミステリなど不要なものもあるので、点数としてはこの程度です。

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臣さん
ひとこと
あいかわらず読書のペースが遅い。かといってじっくり読んでいるわけではない。
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採点傾向
平均点: 5.90点   採点数: 655件
採点の多い作家(TOP10)
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東野圭吾(12)
アガサ・クリスティー(12)
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