皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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ウィンさん |
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平均点: 6.15点 | 書評数: 55件 |
No.3 | 7点 | 夜想- 貫井徳郎 | 2010/09/25 12:30 |
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宗教団体の形成をテーマに書かれた本書。
宗教とは言っても、ホニャララ真理教みたいに明らかにインチキじゃねぇか、という宗教団体とは違う。 そもそも、宗教団体と呼ばれることを教祖的存在である者が嫌い、崇められるのも拒む。あくまで一人の女性として悩める人の相談役でありたいのだという意思を貫くのである。 その女性はものに触ることにより、そこから何らかの意思を汲み取ることができるという能力があり、その点でも、インチキなことをして「教祖様は浮遊できる」などといった某宗教団体とは違うのである。 宗教団体と言えば嫌なイメージしか沸かないのだが、本書ではあまり嫌悪感を抱かなかった。しかし、教祖のような存在である女性を取り巻く人々に、団体が有名になるにつれて少しずつ、団体として更に高みを目指すという、いわゆる出世欲のようなものが出てくるあたりはなかなかリアル。 こうして宗教団体は出来上がっていくのだなあ、と思った。 結局、ことは上手く運ぶものの、主人公たちが救われた印象はいまいち感じられず、俺の心は暗いまま終わった。 素晴らしい出来である本書だが、少々中だるみした印象があるので、マイナス一点。 ただ、ミステリとは言えない作品なのであしからず。 |
No.2 | 5点 | 神のふたつの貌- 貫井徳郎 | 2010/09/25 12:03 |
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重い。とても重い。そして暗い。
明るいシーンさえも暗く思えてしまうほど、作品全体のイメージが暗い。 このストーリーの中心となるのは聖書。 要するにキリスト教である。 キリスト教の信者であり、教会の牧師である早乙女一家を中心に話が進む。 そしてキリスト教を信仰することが悪い方向へ進んでいき、惨劇が生まれていく。 しかし、やはりテーマに宗教が絡んでいるので読んでいてキツくなったと思ってしまった部分も多々。キリスト教について延々と語られている部分は、めんどくさいので斜め読み。いけないとは分かっているけど嫌になってくる。 しかし、嫌になったからといってもページをめくる手は休まない。そこが貫井氏のすごさだろうか。 名も知らぬミステリー作家がこれを書いても俺は一生手に取らない。実力はないのに有名な作家が書いたとしても読まない。やっぱり貫井氏には読ませる力があるんだろうか。 面白いことには面白いが、他の貫井氏の作品とちょっと違う。 |
No.1 | 4点 | 愚行録- 貫井徳郎 | 2010/09/25 12:02 |
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確かに愚行。
愚行だらけかもしれません。 話は終始殺害された田向一家に関係のある人たちがインタビューに答えるという形で展開していきます。 最初の方はそうでもなかったんですが、最後の方になるにつれて、早稲田大学では大学から入った人を内部進学をした人が結構差別的な目で見てるとか、何かどんどんブラックになっていきます。 最初は田向夫妻も「いい人」っていう印象を与える話だったけど、最後になるにつれて良い地位、印象を人に与えるために行っていた愚行的なことがバレていきます。 どうもこういうインタビュー的な形式は途中でしんどくなってくるので好きじゃないので評価は星二つです。 |