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[ サスペンス ] 柩の中の猫 |
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小池真理子 | 出版月: 1990年09月 | 平均: 6.50点 | 書評数: 2件 |
白水社 1990年09月 |
新潮社 1996年06月 |
集英社 2004年11月 |
No.2 | 6点 | 空 | 2017/01/12 20:49 |
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後には直木賞、吉川英治文学賞など数多くの文学賞を獲ることになる作家の1990年作です。
大部分は20歳の住み込み家庭教師雅代の一人称で描かれています。時代背景は1955年ですから、ずいぶん昔の設定。猫のララをママのように思う桃子のキャラがさざ波のような不安を広げていく心理サスペンスになっています。何かが起こりそうな予感はかなり早い段階からあるのですが、実際にミステリ的な事件が起こるのは6割を過ぎてから。 しかし、現代のプロローグについては、読み終えてみると必要があったのかなと疑問に思えました。最後にもう一度現代に戻って、さらに何かを起こしてくれるのかなとも思っていたのですが、そんなこともなく終わってしまい、現代に出てくるララそっくりの猫も、雅代の回想の聞き手も、存在意義が感じられませんでした。また、現代では雅代は著名な画家になっていますが、それも事件とは何の関係もないのです。 |
No.1 | 7点 | 臣 | 2013/03/05 09:52 |
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少ない登場人物で構成された心理サスペンス劇の秀作です。
主たる登場人物は、妻を亡くした美大講師の川久保、幼い娘の桃子、桃子の家庭教師の雅代、川久保の恋人の千夏、桃子が飼っている猫のララ、の4人+1匹。 人物造形はしっかりしている。さすがは直木賞作家だ。導入部が現代、その後が雅代の回想というスタイルもよかった。想定どおりの流れでもあったが、サスペンスに緊張しながら先を急いで読んだ作品だった。 (この段落、ネタバレ気味) わかりやすい伏線だが事件の手段は面白いし、その手段へのもっていきかたもうまいと思った。ラストのどんでん返し(オチ)以外は概ね満足した。あのオチは、救いのない怖い話ではあるが驚愕度がやや落ちる。あのオチよりも、事件は××が心理的に誘導したから起きた、そして罪の意識に苛まれて・・・(まるで「こころ」)、といったほうが個人的には好きなんだけどなぁ。 オチにはすこし不満が残るものの、物語の全体の雰囲気は抜群だった。和製アルレーといってもいいのではないか。 小池真理子さんのあとがきによれば、本作はミステリーというジャンルからの逸脱を図った作品だそうで、ミステリーをあまり意識せずに好きなように書いたとのこと。という事情を聞けば、あのオチも許容できそう。 |