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三面記事小説
角田光代 出版月: 2007年09月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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文藝春秋
2007年09月

文藝春秋
2010年09月

No.1 7点 touko 2011/04/06 21:43
現実にあった犯罪をベースに、作家が想像力で作り上げたフィクションの短編集。

各作品の扉頁に、元にした事件の新聞記事が貼り付けられているので、結末は読む前に大体、わかってしまうのですが、それでも犯罪者への道を転げ落ちていく犯人の心理が面白い。

週刊誌やワイドショーが好きそうなスキャンダラスな事件の裏側の悪意や人生の陥穽を書いていても、湊かなえとかに比べると、ずっと上品でほどよく文学的だし、桐野夏生のようにショッキングでもねちっこくもないので、題材のわりには、どなたでも読みやすいかと思います。

どの作品も、卑小で俗悪な犯罪描写の中にも仄かな温かみを感じさせる筆致が冴えているのですが、特にラストの中年の息子が痴呆の母を殺す作品は、状況としてはまったく救いがないのに、ギリギリの形而上的な救済を提示していて、見事です。


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