皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ サスペンス ] 砕けちった泡 |
|||
---|---|---|---|
ボアロー&ナルスジャック | 出版月: 1974年03月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1974年03月 |
No.1 | 6点 | 空 | 2020/02/08 18:42 |
---|---|---|---|
主人公のデュバルは一種のマッサージ師、作中ではキネジテラプートという専門用語を、適当な訳語がないからと注釈をつけて、そのまま使っています。結婚したものの、数か月で妻にうんざりした彼が、彼等二人の乗る車のタイヤを交換した際、衝動的にタイヤのボルトをゆるめたままにして、交通事故が起こってもかまわない状態にしたことから始まるサスペンス小説です。
読み終えた後で振り返ってみると、この偶発的なデュバルの行動も、だからこそのクライマックスになっていたことがわかります。その意味では、必然と偶然を巧みにからめたプロットはよくできていると思います。特に警察が、デュバルの妻が巻き込まれた交通事故の容疑者を突き止めたことを彼に告げに来たシーン以降の、彼の絶望的な行動には迫力があり、ラストのひねりも予想してはいましたが、うまく決まっています。 ただ、途中のデュバルの勝手な思い込みにはうんざりしたところもありました。 |