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[ 時代・捕物帳/歴史ミステリ ]
大友二階崩れ
赤神諒 出版月: 2018年02月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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日本経済新聞出版社
2018年02月

講談社
2020年08月

No.1 7点 小原庄助 2018/07/24 09:23
今年、幾人かの歴史・時代小説の新人がデビューしている。その中で注目したいのが、この作者だ。
本書は、戦国時代の九州は豊後で起きた、戦国大名・大友家のお家騒動を題材にした歴史小説である。大友家の当主の義鑑が、愛妾の子を世継ぎにしようと、嫡男の義鎮(後の宗麟)の廃嫡を画策。これにより大友家は2派に割れ、襲撃された義鑑たちが死に、義鎮が新たな当主となった。一連の騒動は、襲撃場所が大友館の2階だったことから「二階崩れの変」と呼ばれている。
大友家の重臣の吉弘左近鑑理は、大きな犠牲を払いながら、一連の騒動を収めようとするも失敗。次第に苦しい立場に追い込まれながらも、自らの信じる「義」を貫こうとする。一方、弟の右近鑑広は激変する状況の中で、妻や子への「愛」を守り抜こうとしていた。
短編で、「大友二階崩れ」を扱った作品はあるが、長編は珍しい。そのように面白い題材を使い、作者は吉弘兄弟の「義と愛」の相克を描いた。史実を丹念にたどりながら、背後に大友家の謎の軍師・角隈石宗を置いて、物語の膨らみを出すなど、筆致は新人離れしている。


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赤神諒
2018年02月
大友二階崩れ
平均:7.00 / 書評数:1