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[ 時代・捕物帳/歴史ミステリ ]
遺訓
佐藤賢一 出版月: 2017年12月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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新潮社
2017年12月

新潮社
2020年12月

No.1 7点 小原庄助 2018/04/27 09:25
庄内藩の維新を描いた快作「新徴組」の姉妹編である。とはいえ物語は独立しているので、本書だけ読んでも楽しめる。
主人公は、沖田総司の甥の芳次郎。天然理心流の使い手だが、明治になってからは、旧庄内藩で開墾に従事している。また、剣の腕を見込まれ、護衛役もしている。
やがて下野した西郷隆盛の周辺に、不穏な空気が強まる。西郷に深い恩義を感じている旧庄内藩の家老たちから、彼を守ることを命じられた芳次郎だが、赴いた鹿児島の地で、大きな時代の渦に巻き込まれる。
作者は西南戦争へと至る明治初期の動きを、多数の人物を交錯させながら活写している。その過程で芳次郎は、謎の刺客と死闘を繰り広げ、大きな悲劇に見舞われながら変わっていく。そして、この国の未来を憂える西郷の遺訓を、受け止めるのだ。時代を超えて、残すべき武士の志を、鮮やかに描き出した逸品。


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佐藤賢一
2017年12月
遺訓
平均:7.00 / 書評数:1