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[ 時代・捕物帳/歴史ミステリ ] 銀の島 |
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山本兼一 | 出版月: 2011年06月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
朝日新聞出版 2011年06月 |
No.1 | 7点 | 小原庄助 | 2017/11/04 18:59 |
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フランシスコ・ザビエル来日の裏で進められていたポルトガルの陰謀を壮大なスケールで描いている。
アジアで布教を行っていたザビエルは、ゴアで洗礼を受けた安次郎らとともに来日する。そのころ、日本に多量の銀があるとの情報をつかんだポルトガルの軍人バラッタは、国王に石見銀山の占領を進言、敵情視察のため日本を訪れる。やはりポルトガル国王の支援を受けてきたザビエルも、バラッタの陰謀に巻き込まれていくが、それを知った安次郎はザビエルと決別。明の大海賊・王直に助けを求める。 石見銀山の占領計画はフィクションだろうが、アメとムチを使い分けて南米やアジアに広大な植民地を築いた西欧列強の手法をベースにしているので、本当にあったのではと思わせる迫真力がある。それだけに、外交能力も軍事力も劣っている日本が、バラッタに戦いを挑む展開は、政治サスペンスとしても、海洋冒険小説としても秀逸だ。 多くの武将が石見銀山を狙っている事実を知ったバラッタは、特定の武将に武器と資金を提供することで銀山の開発権を手に入れようとするが、これは現代の先進国が、資源の豊富な発展途上国に介入するときの構図と同じである。 まだ途上国だった日本が直面する外交的な危機は、今や先進国になった日本が、適切な外交をしているかを考えるきっかけになるのではないだろうか。 |