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虫暮部さん
平均点: 6.28点 書評数: 959件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.17 7点 漱石と倫敦ミイラ殺人事件- 島田荘司 2020/11/18 11:11
 洒落のめしつつもなかなか巧みに模倣しており感心した。
 犯人が不可解な状況を演出した動機が明快なのも良し。
 但し、犯行全体の動機には法律上の疑問が残る。あの人とその人の続柄でそういう権利が成立する? 死んでいないのに財産の移動が発生する?
 寧ろ、あっちの彼こそ正当な地位を得る可能性があるのだから、退場させずに関係を維持するほうが得策では。でも正体がばれるリスクもあるか。うーむ。
 
 それはともかく、ミステリとして洗練されたストーリー(或る程度は後発組のアドヴァンテージ)に、強烈なキャラクター(やったもん勝ちなので先人の方が有利)をぶち込めるわけで、シャーロック・ホームズは原典よりパスティーシュのほうが面白いんじゃないの?

No.16 3点 出雲伝説7/8の殺人- 島田荘司 2020/11/11 11:00
 何か変だ。 
 そもそも被害者が身許不明なら犯人は疑われない。しかし一応アリバイ工作をしておく。するとアリバイ工作のせいで(大豆と麦)被害者の身許が割れた。
 恣意的に要約すればそういう話だ。非常に不自然な犯行計画だ。余計なことしなければ良かったんじゃない?
 動機が怨恨なので、“死体に穀物を添える”とか“路線図でヤマタノオロチを描く”とかはその恨みの象徴であり犯人はどうしてもそれをやりたかった、みたいな雰囲気を私は勝手に読み取ってしまったが、そんなことはどこにも書かれていない。
 死体のばら撒きは身の安全の為の手段だった筈が、いつのまにか目的みたいになっていないか。せめてその辺り、犯人の心情的な裏付けがあればなぁ。

No.15 8点 嘘でもいいから殺人事件- 島田荘司 2020/11/05 11:42
 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは。

No.14 7点 寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁- 島田荘司 2020/11/03 11:34
 母親はあれっぽっちの追加情報で事件の裏事情をどのように推察したのか。関係者を直接知っているが故の思い込みが、たまたま正解だった、って感じ。
 結末で吉敷が殺意の理由について語るが、“感情のもつれのケースAは納得出来ないがケースBなら判る”と言う言説は説得力に欠ける。

No.13 7点 死者が飲む水- 島田荘司 2020/06/18 12:20
 この動機は単なる八つ当たりでしょう。但し、それゆえの“殺人者になどなりたくはなかった、運命にあやつられているような気がした”と言う心情は、さほど緻密ではない計画をその場の流れで決行したような犯人に見合っている気がした。
 “実の子だから”との理由で容疑者から外すのは作者の手抜きだな~。きちんとロジックを考えるのが面倒だった?

No.12 8点 盲剣楼奇譚- 島田荘司 2019/11/25 13:22
 差別云々が出て来て嗚呼またこの作者の悪癖が、と頭を抱えたものの、豈図らんや「疾風無双剣」の章が滅法面白い。ミステリの面白さではないんだけど面白いなら何でも良い。

No.11 6点 鳥居の密室 世界にただひとりのサンタクロース- 島田荘司 2018/12/25 10:26
 単純なキャラクターばかり、なのはいつものことか。大傑作とは言えないまでも概ね面白かったが、プロローグの亡者の真相がアレというのはあんまりだ。
 しりとりや“オセンベ焼けたかな”について地の文で解説しているのは、海外の読者を意識してのこと? さすがぁ!

No.10 6点 Pの密室- 島田荘司 2018/12/17 10:53
 「鈴蘭事件」。とある知識を持っているから誰がどうだと言うのは論理的だとは思えない。かく言う私もこのネタは小学校の時に漫画で読んで知っていた。
 「Pの密室」。この偽装工作、本人は冷静なつもりでも実際は混乱していてだんだん何の為に何をやっているのか判らなくなっちゃったんじゃないの? と言う気がした(それはそれで面白い)。
 どちらもさほど高評価出来る謎ではないのだが、一方で紛れも無く島田ブシであって、ミステリとしての良し悪しだけでは評価しきれない気分である。

No.9 7点 斜め屋敷の犯罪- 島田荘司 2018/11/15 13:39
 跳ね橋が上がった状態で壊れたら、斜塔に閉じ込められてしまう。こんなリスキーな屋敷には住みたくないなぁ。
 必要以上に戯画化された俗物的な登場人物がギャグにしか見えないのが難点。太鼓持ちのお追従とか、女性同士の確執とか。紋切り型のキャラクターには却ってそんな奴いないだろと感じてしまうのだ。その意味で、特に前半もう少し作品世界に入り易い書き方なら良かったのに。

No.8 5点 屋上の道化たち- 島田荘司 2016/09/30 11:48
 私は、風圧か電気による事故だと予想したんだけど……。 

 銀行強盗の夜の出来事だが、トイレのドアがこじ開けられる→外壁から屋上にダイヴ→サンタがジャンプし電線が切れる、という成り行きなのだから、“ドアを開けた瞬間に停電”ではない筈。秒単位の時間差であって同時だと認識しても現実としてはおかしくないが、小説の文章なのだから“瞬間”という言い方についてフォローすべきだと思う。

 過剰に俗物的な登場人物の会話は、たとえ作者の意図だとしても、私には笑えなかった。

No.7 7点 占星術殺人事件- 島田荘司 2016/07/29 11:16
 島田荘司には長文の偽書をトリックに使う作品が複数あるけれど、私はどうも好きになれない。それをやったら何でもアリになってしまうじゃないか。本作で“接着剤”としてアゾート幻想が必要なのは判るし、アンフェアとは言わないが、舌先ならぬ筆先三寸で丸め込まれた印象。
 この謎が“ブームになって議論百出、出版物がどしどし世に出るも、40年以上解かれなかった”と言う設定は強気に過ぎると思う。文次郎手記の内容(死体を配るのは他者にやらせる、精液を残すだけなら女でも出来る)を想像することは可能だから、手記は推理に必須ではない。登場人物が少ないし、順番に疑って行けば真犯人もすぐ俎上に上がる。つまり“解けなかった”とは“決め手に欠ける”ということではないか。では御手洗の場合の決め手は何かといえば、トリックの解明よりも“予想される土地に犯人が居た”ことであり、犯人の後半生を鑑みるにそれは僥倖である。犯人が店を構える以前に謎を解いて嵯峨野をウロウロしていた早過ぎる名探偵がいたかもね。
 中盤の推理合戦で、“血縁者に対して害をなすか?”について、場合によって肯定的だったり否定的だったり、ダブルスタンダードなのが気になった。
 ということで、初めて読んだ時(30年位前!)にはとにかくメイン・トリックに驚愕&興奮したものだが、読み返したらやや冷静な評価に落ち着いた。

 サイコロって吉田拓郎「落陽」へのオマージュ?それは流石にこじつけ過ぎか。

No.6 5点 新しい十五匹のネズミのフライ- 島田荘司 2016/01/26 11:43
 バウチャーことメリーウェザーが親しく付き合い始めた女性がワトソンの義姉だった、という偶然は許容範囲内か? ちょっと受け入れがたいなぁ~。

No.5 4点 幻肢- 島田荘司 2015/01/27 15:02
 精神状態が不安定なひとに対して周囲の者たちが口裏を合わせ一芝居打つ、という設定、島田荘司は4作目か(?)。割と何でもアリになっちゃう、ユメオチに準ずるもので、あまり褒められたものではないと思う。
 前半は医学小説(?)。予想出来る後半のどんでん返しは幾つかあったが、その中で最も平和な結末に落ち着いた、という感じ。

 ところで、大学生が同乗者を巻き込む事故を起こして、親が何の対応もしていない?
 “ドッペルゲンガー”ってちゃんと雅人の口から聞いていたじゃないか。
 通俗的な恋愛模様もいただけない。結局、小暮さんはどういうポジション?

No.4 5点 星籠の海- 島田荘司 2014/01/16 13:21
御手洗潔シリーズで上下巻、となるとそれだけでもう驚天動地の大トリックを期待してしまうものだが、本作はそういうものではなく、寧ろ人の世の諸々が絡み合って生み出す不可解なタペストリー、といった類の作品。“難病の子供”というベタな要素を持ち込むのはズルい、とはいえ面白かった。
 しかし先入観ゆえの物足りなさも否めない。これ、御手洗モノである必然性は希薄なんじゃないの?ノンシリーズにしてニュートラルな気持ちで読ませたほうが楽しめたんじゃないの?という気もする。

No.3 6点 アルカトラズ幻想- 島田荘司 2013/01/02 17:56
 第三章までは良かったが、その後はいただけない。
 ネタバレ承知で書くが、誰かを騙すために周りの皆が共謀して大芝居を打つ、というなら割と何でもありになっちゃうわけで、それは夢オチのようなものだと思うのだ。しかも島田荘司はそういう作品を既に幾つか書いているじゃないか。

No.2 5点 ゴーグル男の怪- 島田荘司 2012/02/23 06:38
 なんか変だ。ネタバレ承知で書くが、作詞家・実相寺と真犯人との関係を考慮すると、実相寺が最初の事件の通報者になったのは偶然過ぎないか。そのせいで実相寺と刑事との間に直通のラインが出来たわけだが、もしもそれがなければ駅前での突き飛ばし事件の際に登場してすぐ消えた真犯人の名前も不明だったかもしれず、そうなると容疑者圏内に入ってこなかった可能性もあるわけだから都合良過ぎでしょう。
 また、釣銭のネタは別の某作で言及されていたものの使い回しでがっかり。
 そして相変わらず文章が妙に硬いなぁと感じた。

No.1 7点 写楽 閉じた国の幻- 島田荘司 2011/06/08 16:20
 江戸編の後半が感動的。ミステリの感動ではないけど。
 日本人論については“またか”という感じ。美人教授も島田荘司作品に良く出て来る類型的な変人だと思った。
 “やれ突け”なんて単語が説明なしで使われているが、これは常識の範疇なのだろうか。

虫暮部さん
ひとこと
好きな作家
泡坂妻夫、山田正紀、西尾維新
採点傾向
平均点: 6.28点   採点数: 959件
採点の多い作家(TOP10)
西尾維新(57)
エラリイ・クイーン(47)
有栖川有栖(46)
森博嗣(41)
山田正紀(34)
泡坂妻夫(28)
アガサ・クリスティー(23)
小林泰三(20)
法月綸太郎(19)
島田荘司(17)