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[ 本格/新本格 ]
鳥居の密室 世界にただひとりのサンタクロース
御手洗潔シリーズ
島田荘司 出版月: 2018年08月 平均: 6.00点 書評数: 6件

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新潮社
2018年08月

新潮社
2021年02月

No.6 7点 名探偵ジャパン 2021/06/19 23:03
久しぶりの島荘、そして御手洗! やっぱり好きだなぁ。出てくるだけでワクワクします。

本作のトリックについて、密室をどうやって作ったか、のハウダニットだけを取り出してしまうと、確かに、どうよ?となりますが(あんなこと、本当に起きるの?)、この話(トリック)の肝は、「どうして密室になったのか?」というホワイダニットにあります。そこに犯人の心情や、ある種の被害者であるヒロインの立場も絡んできて、そういう視点で読まないと、本作のトリックを味わい尽くすことはできないでしょう。作品からトリックだけを抜き出して語れないトリック、になっていますし、ミステリのトリックって、そういう使い方をするのが一番効果的なんだと思います。

No.5 6点 E-BANKER 2021/03/08 16:25
「追憶のカシュガル」に引続き、京都大学在学中の若き御手洗潔と彼を慕う予備校生サトルが再登場。つまり、舞台は昭和40年代の京都。更に事件はその十数年前、つまりは昭和30年代・・・ノスタルジックだよね。
単行本は2018年の発表。

~完全に施錠された少女の家に現れたサンタクロース。殺されていた母親。鳥居の亡霊。猿時計の怪。クリスマスの朝、少女は枕元に生まれて初めてのプレゼントを見つけた。家は内側から施錠され、本物のサンタクロースが来たとしか考えられなかったが、別の部屋で少女の母親が殺されていた。誰も入れないはずの、誰もいないはずの家で。周囲で頻発する怪現象との関連は?~

「いい話である」。本作をひとことで言い表すなら、そういうことになる。
御手洗も若く、何とも言えない瑞々しさがある。最初に我々の前に登場した、あの馬車道の御手洗は、世間に背を向け、ねじ曲がった性格の奇人としてだった。
そんな御手洗もこの時はまだ医大生。当然、常人では計り知れない頭脳と洞察力を併せ持つスーパーマンなのだが、まだまだ人間そして日本という国に失望してない雰囲気を纏っている。
それだけでも本作を読了した価値があるというものだ。

で、本題なのだが、「密室」。うーん、「密室」ねぇ・・・
確かに堅牢な密室が出てくる。一階はスクリュウ錠、二階はクレセント錠ですべてが施錠された家・・・堅牢だ!
でも、これってワンアイデアだろう。作者が前々から持ってた「密室」ネタのひとつを大きく膨らませたもの。
まぁ、ワンアイデアでここまで感動的なストーリーを紡ぐことができるのだから、それはそれでさすがということなんだけど、いかにも「薄味」という感覚にはなるよね。
途中に挿入された物語。こういう手の話も、「あーあ。島荘らしいね」と思うんだけど、何となく既視感いや既読感ありありって感じになってしまう。(こういう不幸でやりきれない男や女の話は妙にうまい)

悪くはない。うん。悪くはないんだけど、満足もしてない。前の島荘作品の書評で「荒唐無稽でもいい、あの剛腕で私をこれでもかとねじ伏せて欲しい」って書いた気がするんだけど、同じく! でも、さすがに今は150キロの剛速球なんて無理だよな。じゃあせめて、100キロでもいいから鋭い変化球を見せて欲しい・・・って難しいかな?

No.4 6点 2021/02/16 12:57
読みやすいです。謎は驚くほどではありません。
また、御手洗がいる必要性はあまり感じられません。

No.3 5点 HORNET 2019/04/07 17:06
 錦天満宮の鳥居が両側の建物に刺さっていることから思いついたネタを小説にした、という感じだろう。科学的な知識はないながら、なんとなく漠然と思い描いていた真相だった。
 もともと短編だったものを長編にリライトしたものなので、話としてそれほどの厚みは感じない。よく言えば読み易く、すぐに読了できる。
 ミステリ以上に、工場の従業員国丸と、幼い少女・楓のつながりが胸に刺さる話だった。そういう意味ではイイ話だった。

No.2 6点 虫暮部 2018/12/25 10:26
 単純なキャラクターばかり、なのはいつものことか。大傑作とは言えないまでも概ね面白かったが、プロローグの亡者の真相がアレというのはあんまりだ。
 しりとりや“オセンベ焼けたかな”について地の文で解説しているのは、海外の読者を意識してのこと? さすがぁ!

No.1 6点 メルカトル 2018/10/26 22:14
完全に施錠された少女の家に現れたサンタ、殺されていた母親。鳥居の亡霊、猿時計の怪。クリスマスの朝、少女は枕もとに生まれて初めてのプレゼントを見つけた。家は内側から施錠され、本物のサンタが来たとしか考えられなかったが―別の部屋で少女の母親が殺されていた。誰も入れないはずの、他に誰もいない家で。周囲で頻発する怪現象との関連は?
『BOOK』データベースより。

元が短編なので内容の希薄感は否めません。しかしそこは島荘、ドラマ性やストーリーテリングぶりは堂に入っています。
鳥居をメインにしたトリックは想像の域を超えず、驚くようなものではありません。どちらかと言うと東野圭吾のガリレオシリーズを想起させます。しかも、御手洗が謎を解く前に真相が読者に明示されるため、彼の活躍ぶりがいかにも中途半端で宙ぶらりんな感じですね。もう少し書き様があったようにも思います。

御手洗が京大生当時の事件の上、出番が最初と最後だけなので、キャラの濃さが全く伝わりません。大学時代はそこまでエキセントリックではなかったってことでしょうか。
まあ島荘らしいいい話ではありますし、容疑者の揺れ動く心情や感動のシーンなどが読みどころとなっていると思います。でも、ミステリとしては弱めです。


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