皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
kanamoriさん |
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平均点: 5.89点 | 書評数: 2426件 |
No.11 | 4点 | 喜劇悲奇劇- 泡坂妻夫 | 2010/08/15 20:22 |
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奇術師を主人公にショーボート上での芸人連続殺人を描いていますが、ミッシングリンクやフーダニットの興味は、殺人の背景が早めに明らかになることもあって主体とはいえません。
回文づくしの趣向や船上のドタバタ劇が中心で、ちょっと嗜好から外れた作品でした。 |
No.10 | 6点 | 迷蝶の島- 泡坂妻夫 | 2010/08/15 20:09 |
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叙述に趣向を凝らしたフランス・ミステリ風のテイストがある作品で、名前でのミスリードの手法は数年前に話題になった叙述トリックものの恋愛ミステリを連想させます。
登場人物が少ないため、仕掛けが分かり易いところが難点ですが、手堅くまとめたまずまずの良作という感じです。 |
No.9 | 7点 | 煙の殺意- 泡坂妻夫 | 2010/08/15 18:11 |
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やはり、著者の神髄は短編にあることが実感できたヴァラエティに富むノンシリーズのミステリ作品集。
好みでいえば、「椛山訪雪図」が個人的ベスト。水墨画に隠された仕掛けと殺人事件の絡みが巧妙。 ほかに、「煙の殺意」「紳士の園」「狐の面」「開橋式次第」などが氏のテイストがよく出た佳作だと思います。無茶なロジックが入った作品もありますが、亜シリーズに準じる奇想が楽しめます。 |
No.8 | 6点 | 花嫁のさけび- 泡坂妻夫 | 2010/08/15 17:34 |
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泡坂氏のミステリということを前提に読むと、物語の隠された構図はなんとなく分かってしまいますが、客観的な評価だと、よく出来たミステリという印象です。
主要人物の内面描写がほとんどありませんが、「レベッカ」の本歌取りのプロットだとか、周りの人物の行為によって、読者をミスディレクションする手法が採られています。 基本となるアイデアはオリジナリティに欠けますが、小技の技巧がたくさん凝らされた佳作だと思います。 |
No.7 | 6点 | 湖底のまつり- 泡坂妻夫 | 2010/08/15 15:42 |
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探偵小説誌・幻影城の連載で読みましたが、連載第2回を読み始めて戸惑った覚えがあります。編集部の印刷手配ミスかと思いました、前号と同じ内容の物語が綴られていたので。
大胆なトリックが使われていて、幻想的雰囲気の物語が不可思議性を助長していますが、ちょっと無理があるトリックだと思いました。余韻のあるエンディング・シーンはなかなかよかったですが。 |
No.6 | 8点 | 乱れからくり- 泡坂妻夫 | 2010/07/30 18:43 |
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冒頭の隕石のエピソードに始まり、ねじ屋敷のからくり尽しと五角形の迷路などが結構ツボで惹きこまれました。
プロット全体を蔽う仕掛けも独創的で、意外な犯人像が強烈です。 惜しむらくは、殺人手段が(止むを得ない面かもしれませんが)やや陳腐なことと、探偵コンビが少々魅力に欠けるように思いました。 |
No.5 | 7点 | 11枚のとらんぷ- 泡坂妻夫 | 2010/07/29 20:34 |
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著者初の長編ミステリですが、読了時、ああこの作家は長編が書けない人だなと思いました。
長編の中に、11編の奇術ネタの短編ミステリが入っていて、ばらつきはありますが面白いネタが多かった。こちらの構想が先にあって、無理やり長編に組み込んだ印象で、そのため死体の周りに散乱する奇術の小道具の理由付けなどちょっと苦しい。 |
No.4 | 6点 | 亜愛一郎の逃亡- 泡坂妻夫 | 2010/06/06 16:02 |
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亜愛一郎シリーズの第3短編集。
前2作と比べて、ロジックの切れに物足りない感じを受ける作品が多く、連作物の物語性を楽しむ短編集かもしれません。 それでも、「飯鉢山山腹」や「火事酒屋」の逆説的ロジックは初期作を彷彿とさせる出来だと思います。 |
No.3 | 7点 | 亜愛一郎の転倒- 泡坂妻夫 | 2010/06/06 15:48 |
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亜愛一郎シリーズの第2短編集。
続編なので「狼狽」で受けたほどの新鮮な驚きは受けませんでしたが、特異なロジックは健在だと思います。 トリックの豪快さで言えば「砂蛾家の消失」が一番だと思いますが、著者の持ち味が出ているのは、「藁の猫」と「病人に刃物」でしょうか。 |
No.2 | 9点 | 亜愛一郎の狼狽- 泡坂妻夫 | 2010/06/06 15:31 |
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30年ほど前の初読時には変わった設定の不可能トリックもの「右腕山上空」や「掌上の黄金仮面」が好みでしたが、再読してみて他の作品の方が著者の持ち味が出ているように思えてきました。
「DL2号機事件」の狂人の論理はいまいちですが、「G線上の鼬」の伏線の見事さは編中随一、「掘出された童話」は暗号の原理のユニークさで記憶に残ります。 発表された時代を考慮し、思い入れもあるのでこの評価です。 |
No.1 | 6点 | 飛奴- 泡坂妻夫 | 2010/03/20 12:35 |
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八丁堀同心・通称「夢裡庵先生」シリーズの完結編、連作時代ミステリ第3弾。
著者は小説に色々趣向をこらすのが好きですが、このシリーズでは各話で物語の視点人物と探偵役がリレー形式で引き継がれているのが面白い。第1話で探偵役の人物が、第2話の視点人物となり探偵役は別の人物というふうに・・・主人公であるはずの夢裡庵先生はどちらかというと脇役ですが、最終話は幕末動乱を背景に大活躍します。やはり職人芸ですね。 しかし、こちらが「捕物帳」で宝引の辰シリーズが「捕者帳」なのは何故なんだろうか。 |