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[ 本格 ]
殺人ウェディング・ベル
マット・コブ
ウィリアム・L・デアンドリア 出版月: 1985年04月 平均: 5.50点 書評数: 2件

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早川書房
1985年04月

No.2 5点 人並由真 2020/08/20 06:04
(ネタバレなし)
「私」ことニューヨーク在住のマット・コブは、30歳前後のネットワークテレビの特別企画部担当副社長。業界でも異例の若手重役であり、番組企画に際してのトラブル対応が主な業務だ。マットはケーブル・テレビ契約に関するトラブルに対処するためシアンカの町に向かうが、同地では折しも、彼の大学時代の学友デビイ(デブラ)・ホイットンが挙式を迎える予定だった。マットは奔放でわがままなデビイが昔から苦手だったが、それ以上に悩みのタネはマットの親友ダン・モリスが長年デビイを追いかけ、そして彼女に振り回されながら、いまだに相手への執着を捨てていないことだった。そして挙式が三日後に迫るその夜、殺人事件が起きて。

 1983年のアメリカ作品。ヤンエグ(死語)探偵マット・コブものの第三作。
 本シリーズを読むのは、大昔に手に取った第一作『視聴率の殺人』以来二つ目(ということでシリーズ二作目の『殺人オン・エア』は、まだ未読)。
 ハイテンポで話が進むライトパズラーなのはいいが、犯人もハウダニットも当初から見え見えで……。
 あー、これは、0.5ランク高いアメリカの赤川次郎。良くも悪くも、そんなレベルのものでしかない。

 ただしHM文庫版(といってもそれしかないけれど)299ページ、物語の最後の最後でマット・コブの胸中をよぎるひとつの内省の念だけは、ちょっと読み手のこちらの心にも染みた。一級半以上のハードボイルド私立探偵小説の情感みたいな感触で、わずかだけ主人公の株が上がる。マット・コブ、いい奴。

 しかし調べたら、このシリーズの未訳作品ってまだ結構あるのね。とはいえ謎解きミステリとしては、このレベルでは、翻訳&発掘してほしい、と今さらあえて強く言い出しにくいところではあります(汗)。
 まあそれでも、今からでも出してくれたら、ちょっとは嬉しいかも。

No.1 6点 nukkam 2016/08/19 15:30
(ネタバレなしです) 1983年に発表されたマット・コブシリーズ第3作の本書はこれまでの作品と比べてテレビ業界人としてのマットがそれほど描かれていないため物語としては非常にわかりやすくなっています。登場人物も多すぎず少なすぎず、謎解きの手掛かりもしっかり与えられていますのでこれから本格派推理小説を読んでみようという読者にはアイザック・アシモフの「ABAの殺人」(1976年)と共に入門編としてお勧めできます。逆にミステリーを読み慣れている読者には目新しい点がないので物足りなく感じるかもしれませんが。


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