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[ 時代・捕物帳/歴史ミステリ ]
陰陽師
陰陽師シリーズ
夢枕獏 出版月: 1988年08月 平均: 7.33点 書評数: 3件

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文藝春秋
1988年08月

文藝春秋
1991年02月

No.3 7点 虫暮部 2023/11/04 13:51
 これやこの名にし負う夢枕、寝屋処まで文を繰る手止むに能はず、ぬばたまの小夜更けにけり。殊に、主の命かしこみ身を鬼に啖わせる女、女陰より出でる蛇鬼など、いと怪し。我、あなやとぞ言いけるも、寝てか醒めてか思ほえず。

No.2 8点 ALFA 2023/09/26 09:23
ドラマ、アニメ、さらにはフィギュアスケートでも知られた作品だが、原作は初めて。
一種のファンタジーかと思っていたらなんと本格の謎解きだった。6話からなる連作短編で、安倍晴明がホームズ、太刀と笛の名手である源博雅がワトソン役。
たいていは博雅が、酒の肴を手土産に謎を持ち込んでくる。
まずは庭の風情を愛でながらの静かな酒宴。各話ごとに移り変わる季節の情景描写がいい。
謎を話題にひとしきり飲んでから、では「ゆこう」「ゆこう」と出掛けていく。このワンパターンも心地いい。
お気に入りは「鬼のみちゆき」。ホラーのロジックが見事に通っている。

ところで分類がホラーではなく歴史ミステリで登録されていて不思議に思ったが、闇が身近に存在したこの時代を思えば深く納得。

長く続く作品なのでゆっくり楽しもうか・・・

No.1 7点 メルカトル 2023/09/14 22:37
平安時代。闇が闇として残り、人も、鬼も、もののけも、同じ都の暗がりの中に、時には同じ屋根の下に、息をひそめて一緒に住んでいた。安倍清明は従四位下、大内裏の陰陽寮に属する陰陽師。死霊や生霊、鬼などの妖しのもの相手に、親友の源博雅と力を合わせこの世ならぬ不可思議な難事件にいどみ、あざやかに解決する。
『BOOK』データベースより。

端正で白い顔、赤い唇で長身の陰陽師安倍晴明と、無骨だがどこか愛敬のある武士源博雅。二人のバディが平安の世に蔓延る異形の者達を調伏し、事件を解決する時代小説。と言うか、本質はミステリそのものです。つまり構成としては晴明が探偵で博雅が助手であり、奇妙な話を持ち掛けるのがほぼ博雅となっています。
思ったより現代的な文体で会話文も堅苦しいものではありません。そして素晴らしいのが情景描写で、これは最早名文と呼んでも間違いではないと思います。

本書を読む切っ掛けは地上波で観た映画ですが、本シリーズがこれほど長く続いているとは思いも寄りませんでした。勝手に長編だと決めつけていましたが、意外と短めの短編集で、その点でやや物足りなさを覚えもしました。しかしそれはそれで味わい深く、まるで平安時代にタイムトリップした様な感覚でした、ちょっと大袈裟ですが。
こういうのが好きな人がもっと高い評価を付けたとしても、私は驚きませんね。事実シリーズを通してAmazonでの評点が高いのも納得出来ます。


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夢枕獏
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