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[ 青春ミステリ ]
幽霊は夜唄う
草川隆 出版月: 1984年12月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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双葉社
1984年12月

双葉社
1987年02月

No.1 5点 人並由真 2022/12/01 07:32
(ネタバレなし)
 1980年代半ばの東京。広告代理店の新卒社員・北川繁は、1960年代の懐かしのカルチャーに浸るのが趣味。そんな繁が古雑貨屋から購入した一枚のレコードは、1963年4月の本格デビューを目前に若死にした新人歌手・中谷ゆき(本名:山岸和子)の遺した楽曲だった。そしてそのレコードを聴いた繁の前に、生前の若いゆきの幽霊が出現。さらに彼女は繁の恋人の女子大生・原田昭子に憑りついて、夜の間のみ彼女の肉体を支配するが。

 1984年の書き下ろし長編。フタバノベルス版で読了。
 裏表紙には、幽霊のゆきが昭子の肉体を借りて再デビューしたのち、やがてゆきのおよそ20年前の死の真相を暴くミステリになる、といった主旨の内容紹介が書いてある。しかし実際に中身を読んでみると、犯人捜しのミステリ部は予想以上に浅く細く、これで「長編オカルト・ミステリー」を名乗るのはかなりスーズーしいんではないの? といささか呆れるほど。

 実を言うと読み始める前は、フィニイの『マリオンの壁』みたいな、幽霊、そしてもうひとりのメインヒロインの肉体を共有する三角関係ファンタジーなので、そんな設定の上で、本作本来の独自性を獲得するために、後半は謎解きミステリになるのだな? と一風変わった作りを予期していた。
 が、結局のところやがて暴かれるミステリ部分は正直、前述の程度のモノ。
 なんつーか、小学館か学研、旺文社の学習雑誌の別冊付録につく、若手作家の書き下ろしジュブナイルミステリみたいな感じだ。悪い意味で。

 作者自身が60年代カルチャーに興味があるっぽく、その辺を語るときは少し筆が弾むのは良かったが、芸能界の闇の部分は正にテンプレで書いた感じで、う~ん。
 古い少女漫画風のラストは、よろしい。
 
 評点は0,5点くらいオマケして、この点数で。
 まかり間違っても、ミステリとして、ちょっとでも期待して読んではいけない(そんな人はいないと思うが)。


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