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[ 本格/新本格 ]
デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士
デフ・ヴォイスシリーズ
丸山正樹 出版月: 2011年07月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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文藝春秋
2011年07月

文藝春秋
2015年08月

No.1 5点 メルカトル 2022/08/13 22:50
今度は私があなたたちの“言葉"をおぼえる

荒井尚人は生活のため手話通訳士に。あるろう者の法廷通訳を引き受け、過去の事件に対峙することに。弱き人々の声なき声が聴こえてくる、感動の社会派ミステリー。
仕事と結婚に失敗した中年男・荒井尚人。今の恋人にも半ば心を閉ざしているが、やがて唯一つの技能を活かして手話通訳士となる。彼は両親がろう者、兄もろう者という家庭で育ち、ただ一人の聴者(ろう者の両親を持つ聴者の子供を"コーダ"という)として家族の「通訳者」であり続けてきたのだ。ろう者の法廷通訳を務めていたら若いボランティア女性が接近してきた。現在と過去、二つの事件の謎が交錯を始め…。マイノリティーの静かな叫びが胸を打つ。衝撃のラスト!
『BOOK』データベースより。

ラストシーンは良かったと思います。しかしそれまでが、真面目に描かれ過ぎていると言うか、余りにも遊び心が無くて読んでいていささか疲れました。登場人物が多い割りには説明不足のせいか、誰が誰だか分からないという現象が。主要登場人物一覧が欲しかったところですね。
200ページ過ぎ辺りまで、散文的でどこに重点を置いて読めば良いのか迷いました。又文章が硬く面白みに欠けます。そして何より肝心の二つの殺人事件が蔑ろにされている気がして、どうも感心しません。

聴覚障碍者あるあるや、ろう社会に関する刑法四十条や差別の問題に切り込んでいる姿勢は買います。そして下手に同情を惹こうとする事なく、障害者も健常者も区別なく描写しているのは小説として褒められるべきポイントだと思います。それと引き換えに情に訴える部分がありませんので、突き放された様な感触は拭えません。
Amazonの評価が高いのは、読者の多くに私が読み取れなかった何かが心に刺さったのでしょう。でもミステリとしては特に突出したものはありませんでした。これは間違いないと思います。


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