皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] 黒い塔 アダム・ダルグリッシュシリーズ |
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P・D・ジェイムズ | 出版月: 1980年01月 | 平均: 6.40点 | 書評数: 5件 |
早川書房 1980年01月 |
早川書房 1994年06月 |
No.5 | 7点 | レッドキング | 2023/09/24 22:07 |
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海と霧の断崖に建てられた、曰くある”黒い塔”付き半宗教的介護施設。自己陶酔信仰の経営者、狷介・奇矯・固陋な男女入所者と看護介護者たち。病気療養を兼ねて訪れた詩人警視が出会う、過去現在の”怪死”・・自殺?事故?の連続。ベートーヴェン弦楽四重奏15番あたりの最も"シブい"部分だけで奏でられるような、気だるく重苦しく、かつグロコミカルな小説。いったい何が起きているの?Whatダニットが、僅か最終部で一気にミステリ解明しながらサスペンスエンドする。サスペンスともかくミステリ真相は肩透かしで、”黒い塔”はじめトリッキー味もなく残念。が、小説としてのシブみ味に点数オマケ加算。ドロシー・ジェイムズなんで。 |
No.4 | 7点 | 斎藤警部 | 2018/12/26 02:28 |
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黒い塔と言えば飯倉ノアビル。ダルグリッシュと言えばリヴァプールのケニー(警部の方はダルグリーシュが本当らしいが)。 ちょこっとだけ”ニュー・シネマ・パラダイス”を連想させる導入部から、晩秋の大河の様に瞑く分厚く内に激しさ沈めた中盤は実に私好みで魅了されましたが、明かされる真相がちょっとね。。 「黒い塔」の犯罪者にとっての存在意義に、もっと果てしなくおぞましいものを薄っすら想像していたのだが。。ミスディレクションだったのかしらそこは。見事に騙されたのかも知れないけど、騙された喜びも驚きも我が心のハードルを越えず。真相解明後、ラストシークエンスのエキサイティングな展開は悪くないです。モリアーティの手紙のユーモアはかなり好きです。 7.47で惜しくも7点。
関係ないけど 「黒い塔 P.D.ジェイムズ」 でGGL検索したら 「黒い塔 | P・D・ジェイムズのライトノベル - TSUTAYA/ツタヤ」 ってのが現れたのは大笑いでした。 |
No.3 | 5点 | mini | 2015/01/23 09:57 |
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明日24日発売予定の早川ミステリマガジン3月号の特集は、”追悼P・D・ジェイムズ”、もちろん昨年11月に逝去したP・D・ジェイムズの追悼特集である
ところで余談だが、早川書房の2大雑誌『ミスマガ』と『SFマガジン』が今年から隔月刊になるらしい、まぁ創元の『ミステリーズ』も隔月刊だし早川はよく今まで月刊を続けてきたものだという感もあったが、したがって3月号の次号はひと月間を空けて5月号になると思われる 私のジェイムズ追悼書評も昨年末の「ナイチンゲール」に次いで第2弾「黒い塔」である 「黒い塔」は病気と診断されたダルグリッシュ警視が療養に訪れた療養所で警察活動から離れた立場で事件と対峙する話である こう書くと異色作に思えるかも知れないが、療養所を一種の病院の延長と考えると、前作「ナイチンゲールの屍衣」とそれほど大きな変化は感じられなかった 「ナイチンゲール」では怪しげな病院の雰囲気とはミスマッチな動機との対比が特徴だったが、この「黒い塔」でも人里離れた療養所のゴシック風な雰囲気とかなり世俗的な動機とのミスマッチをわざと狙ったような作で、そういう意味では両作は似ている ジェイムズの作風が変化するのは「わが職業は死」か「死の味」あたりという事なのだろうか? 「黒い塔」と近い時期にコーデリアもの「皮膚の下の頭蓋骨」も書かれている事を考えると、この時期の作者は”孤島もの”的な舞台設定に魅せられていたのだろうか? ただ私はクローズドサークル的な舞台設定が大嫌いな読者なので、全く舞台面での魅力は感じなかった それにしてもこの重厚感は半端無い、私が読んだ数少ないジェイムズ作品中でも最も重厚である、読んでて鬱になる(苦笑) 「黒い塔」よりさらにページ数の多い大作「死の味」の方がむしろ文章が軽快に感じられるくらいだ |
No.2 | 7点 | kanamori | 2010/04/13 18:04 |
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アダム・ダルグリッシュ警視シリーズ。
ドーセットの障害者療養施設を舞台に、「いったい何が起こっているのか」を主眼とした、例によって重厚なタッチのミステリ。物語世界にすんなり入れたため、後期の作品ほど読むのに苦労しませんでした。 海岸べりに建つ黒い塔など、古いゴシック・ロマン風の雰囲気を創造しておいて、真相は極めて現代的なものとする、その対比の妙を狙ったような作品で、まあ著者の標準作じゃあないかと思います。 |
No.1 | 6点 | Tetchy | 2009/01/17 23:34 |
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とにかく重厚かつ陰鬱な内容で、途中何度も投げ出そうかと思った作品。
レジナルド・ヒルの『骨と沈黙』が出るまで、ポケミスでは最厚記録を持っていたらしい。 今までのジェイムズの特徴である緻密な人物描写、風景描写は全く緩まるところがなく、更に登場人物が増えたわけだから、その分量も増え、今までの作品にありがちな、残り少ないページ数で解決シーンへ駆け足で行き着く、などということが全然なく、そこまで終始見開き2ページ、文字で埋め尽くされたページが延々と続く。 最初に手に取るジェイムズ作品としては最も相応しくない作品だろう。 その分、今までになく事件の真相は凝っているように感じた。更にダルグリッシュに魔の手が迫るのもいい。 しかし、これはキツイ!かなり読むのに覚悟がいる1冊。 |