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ミステリの祭典

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猫サーカスさんの登録情報
平均点:6.17点 書評数:441件

プロフィール| 書評

No.21 6点 逆さの骨
ジム・ケリー
(2017/08/27 21:46登録)
新聞記者ドライデンシリーズの3作目。このシリーズの魅力は、ドライデンの取材の過程で、さまざまな人生が少しずつ浮かび上がってくるところだろう。今回も戦争という悲惨な経験に苦しみ続ける人々、愛や嫉妬や憎悪に翻弄されてもがく人々が描かれている。事故で寝たきりの妻ローラをめぐるドライデンの苦悩も読みどころ。派手な仕掛けはないが、人間ドラマをしみじみと堪能できる。


No.20 6点 夏の沈黙
ルネ・ナイト
(2017/08/21 21:38登録)
一冊の本に平穏な日々を脅かされる女性の物語。彼女は自宅で手にとった本を読むうちに、記されているのが自分の過去だと気付く。忌まわしい秘密が暴かれたショックが彼女を襲う。誰が何のためにこの本を作ったのか?印象深い幕開けに続いて、彼女の過去をめぐるサスペンスが繰り広げられる。悪意に翻弄されるヒロインの怯えを、巧みな構成で描き出している。


No.19 7点 アウトロー
リー・チャイルド
(2017/08/17 21:22登録)
トム・クルーズ主演映画の原作。冒頭からライフルによる無差別殺人が起きて、ぐいぐい引き込まれていく。容疑者は物証からすぐに特定され逮捕されたが、彼は「ジャック・リーチャーを呼んでくれ」とだけ言って黙秘する。やがて現れたリーチャーは真実を求めて、独自に捜査を開始する。緻密な推理力と傑出した身体能力を備えたリーチャーが実に魅力的。アクションと謎解きの両方を楽しめる、完成度の高いエンターテインメント作品。


No.18 5点 キャリア警部・道定聡の苦悩
五十嵐貴久
(2017/08/11 18:36登録)
警視庁捜査1課の新米警部として道定がコンビを組むことになったのは、巡査部長の山口。さえない風貌の道定とは正反対に、抜群のスタイルと美貌をもつ山口。熱血漢で生真面目な道定は、山口の毒舌とやる気の無さをものともせずに、真剣に事件に取り組んでいく。だが、思わぬ切り口で真相をズバリと暴くのは、もっぱら山口。そのちぐはぐさやドタバタぶりが、独特の面白さを生み出している。軽妙で痛快な警察ミステリ。


No.17 7点 大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう
山本巧次
(2017/08/07 22:43登録)
江戸の両国橋近くに住むおゆうは、老舗の薬種問屋の依頼で、空き家で殺された若旦那の事件を八丁堀同心の鵜飼伝三郎とともに調べることになる。実は彼女には、タイムトンネルを通り、江戸と現代を往復する能力の持ち主だった。おゆうは現代で化学分析のオタクの友人に頼み込んで証拠品を分析してもらい、江戸に戻って事件を解決しようとする。といっても血液型も指紋も説明できないから簡単にはいかない。事件自体も二転三転するし、大きなどんでん返しとサプライズも最後に用意されていて、次回へと続くクリフハンガー的な結末もいい。おちゃめなヒロインの勇気と、同心へのほのかな恋心もかわいらしくて楽しい。


No.16 8点 ザ・カルテル
ドン・ウィンズロウ
(2017/08/03 22:40登録)
メキシコの麻薬戦争を扱った大作「犬の力」の続編。30年にわたる闘争を描いた前作に対し、本書の扱う年月は10年。期間が短くなった分、物語の密度は増している。策略と激情と暴力が渦巻く、熱気に満ちた小説に仕上がっており、圧縮した表現でたたみかける、独特の文体も前作と変わらない。言葉と物語の力に蹂躙される快楽を堪能できる。


No.15 6点 天使の死んだ夏
モンス・カッレントフト
(2017/07/27 20:29登録)
酷暑の夏、市警の女性刑事モーリンは、前夫ヤンネと少女連続殺人事件に取り組む。被害者の少女たちは娘と同じ年頃で、怒りと不安を感じながら事件にのめり込むモーリンの姿がいい。娘へのひたむきな愛情、ヤンネへの複雑な思い、現在の恋愛への屈折した感情が丁寧に描かれ、共感できる。すべての登場人物に血が通っているところも、作者の力量をうかがわせる。


No.14 5点 探偵は女手ひとつ
深町秋生
(2017/07/24 21:50登録)
六編からなる連作短編集。主人公であるシングルマザーの私立探偵、椎名留美をはじめ皆にズーズー弁使わせ、ほとんどユーモア小説のように見せつつも、皮肉と風刺を忘れず、人生の苦労をさらりと捉える。探偵と言っても実質的には便利屋で、山形ならではのさくらんぼ農家の手伝い、雪下ろし代行など意図的に地方色を選択しているものの、展開と真相にひとひねりあり読ませる。


No.13 7点 プリティ・ガールズ
カリン・スローター
(2017/07/18 19:36登録)
愛した夫は猟奇殺人者だったのか?そんな疑惑に苦しめられるヒロインの物語。死んだ夫のパソコンに隠されていた、女性が拷問される動画。夫は何者だったのか?やがて、遠い昔に失踪した彼女の姉とのつながりも。意外な真実が、彼女の信じていた世界を突き崩す。驚きに満ちたサスペンスであり、壊れていた家族が復活する物語でもある。


No.12 7点 その女アレックス
ピエール・ルメートル
(2017/07/15 20:27登録)
冒頭部分の陰惨な場面に続き、犯人の自殺という衝撃的な出来事で一気に心をわしづかみにされたストーリーは、そのあと予想もしない方向にねじれていく。ネタバレになるので詳しくは語れないのがもどかしいが、多くの読者が途中で謎の女アレックスの正体をとらえたと確信すると思う。しかし作者はさらにひとひねりして物語に奥行きを与えている。構成と語り口の巧みさにうならされた作品。


No.11 5点 ゼロワン 陸の孤島の司法書士事件簿
深山亮
(2017/07/12 21:25登録)
群馬県の田舎の村で起きた事件を、ほのぼのとした筆致で描いた短編集。主人公は陸の孤島と呼ばれる過疎の村、南鹿村で司法書士の事務所を開く。そこは法律家が誰もいないか、いてもひとりだけという「ゼロワン地域」。田舎の村ならではの人間関係が生み出す難事件と、司法書士という職業の興味深い実態が語られていく。ユーモアのみならず、苦みも含むユニークな連作集。


No.10 6点 薔薇の輪
クリスチアナ・ブランド
(2017/07/09 21:17登録)
障害のある娘との交流をつづったエッセーで人気の女優ステラ。だが、服役中の凶悪な夫が特赦で出所し、娘に会おうとしたところから事件が起きる。事態は二転三転し、いくつもの仮説が示される。手厳しい人間観察に支えられた冷徹な謎解きは意外な結末へと着地させている。


No.9 6点 悪魔の星
ジョー・ネスボ
(2017/07/09 21:13登録)
ノルウェーのオスロを舞台にした「刑事ハリー・ホーレ」シリーズの第5作。殺された女性の遺体から珍しいダイヤモンドが見つかる猟奇的殺人事件。だが、ハリーは捜査に関与せず、同僚の殉職の真相を追い続けていた。第3作から続く殉職の謎と、本書での2つの事件が重なり合う。有能だが自堕落なハリーという主役を得て、濃密なドラマが繰り広げられている。


No.8 7点 欺きの家
ロバート・ゴダード
(2017/07/05 19:50登録)
ある巨大企業の創業者一族の過去にまつわるミステリ。60歳を迎え退職間際のジョナサンは、社史編纂を命じられ、失われた記録を捜すことに。それは、彼が長年抱えてきた、創業者一族に関わる秘密を掘り起こす旅となる。過去の事件の回想から、意外な真相の解明へ。しかしその全容はなかなか見えてこないようになっている。40年を超える歳月が織りなす、重厚な風格を備えた作品。


No.7 6点 第三の銃弾
スティーヴン・ハンター
(2017/07/02 21:48登録)
ボブは、ひき逃げされた作家の妻から事故の調査を依頼される。作家はケネディ大統領暗殺に関する暴露本を出版する予定だった。ボブは暗殺に使われた銃を手がかりに暗殺事件を検証・分析し、真相にたどりつこうとする。その推理が緻密かつ意外性に富み、ぐいぐいと読ませる。臨場感にあふれ、息詰まる銃弾戦も満載。年をとっても卓越した狙撃手であり続けるボブの活躍を堪能できる。


No.6 5点 オン・ザ・ロード
樋口明雄
(2017/07/02 21:41登録)
東日本大震災で家族を失い絶望していた元刑事の主人公は、ヤクザに命を狙われている中国人女性と出会い、彼女を守るために必死に戦う。ある殺人事件の背景にある外国人研修制度という問題を追及しながら、疑似家族的な愛(脇役として犬も活躍する)と冒険を通して再生していく姿を力強く描いている。「悲喜こもごもの巡り合わせを人に投げかけながら、人生という道はどこまでも続いていく」というメッセージが胸に残る。悪役のヤクザたちのキャラクターも生き生きとしていて印象深い。


No.5 6点 スキン・コレクター
ジェフリー・ディーヴァー
(2017/06/28 19:36登録)
過去に倒した敵の影がちらつく、シリーズ物の利点を生かした物語。第1作に登場する犯罪者ボーン・コレクターの手口とライムの捜査法を研究したと思われる連続殺人犯との心理戦が描かれる。二重三重の逆転劇をはじめ、「いつもの面白さ」を堪能できる。なお、本書を読む前に「ボーン・コレクター」「ウォッチメイカー」の2作は読んでおいた方がより楽しめると思います。


No.4 6点 無実
ジョン・コラピント
(2017/06/28 19:27登録)
スキャンダラスなテーマゆえに出版が難航としたという、いわくつきの作品。近親相姦というテーマが目を引くものの、本書はあくまでも重厚な人物描写に支えられたサスペンス。小説家と、彼に罠を仕掛ける側の双方の視点から描かれ、息詰まる展開を楽しめる。


No.3 6点 ぼくは君を殺さない
グレアム・キャメロン
(2017/06/24 17:27登録)
主人公は女性を狙うシリアルキラー。冒頭から被害者の死体を切り刻み、さらにその友人の女性を自宅の地下室に監禁する。だが、彼女のために買い出しに行った彼は、スーパーのレジ係の女性に恋してしまった。恋する殺人鬼が、普通の人間になろうとする。奇異なユーモアに彩られた、忘れがたい個性を放つ小説。


No.2 5点 負け犬たち
ジョニー・ショー
(2017/06/24 15:10登録)
立場も年齢も異なる、しかし人生が崖っぷちにあることだけは共通している3人の男の物語。意気投合した彼らは、うわさを頼りに宝探しに乗り出す。富のため、そして生きる張り合いのために。愚かしくも愛すべき男たち(と女たち)の愉快ながらも哀感のにじむ冒険物語。

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