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ミステリの祭典

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猫サーカスさんの登録情報
平均点:6.18点 書評数:429件

プロフィール| 書評

No.9 6点 悪魔の星
ジョー・ネスボ
(2017/07/09 21:13登録)
ノルウェーのオスロを舞台にした「刑事ハリー・ホーレ」シリーズの第5作。殺された女性の遺体から珍しいダイヤモンドが見つかる猟奇的殺人事件。だが、ハリーは捜査に関与せず、同僚の殉職の真相を追い続けていた。第3作から続く殉職の謎と、本書での2つの事件が重なり合う。有能だが自堕落なハリーという主役を得て、濃密なドラマが繰り広げられている。


No.8 7点 欺きの家
ロバート・ゴダード
(2017/07/05 19:50登録)
ある巨大企業の創業者一族の過去にまつわるミステリ。60歳を迎え退職間際のジョナサンは、社史編纂を命じられ、失われた記録を捜すことに。それは、彼が長年抱えてきた、創業者一族に関わる秘密を掘り起こす旅となる。過去の事件の回想から、意外な真相の解明へ。しかしその全容はなかなか見えてこないようになっている。40年を超える歳月が織りなす、重厚な風格を備えた作品。


No.7 6点 第三の銃弾
スティーヴン・ハンター
(2017/07/02 21:48登録)
ボブは、ひき逃げされた作家の妻から事故の調査を依頼される。作家はケネディ大統領暗殺に関する暴露本を出版する予定だった。ボブは暗殺に使われた銃を手がかりに暗殺事件を検証・分析し、真相にたどりつこうとする。その推理が緻密かつ意外性に富み、ぐいぐいと読ませる。臨場感にあふれ、息詰まる銃弾戦も満載。年をとっても卓越した狙撃手であり続けるボブの活躍を堪能できる。


No.6 5点 オン・ザ・ロード
樋口明雄
(2017/07/02 21:41登録)
東日本大震災で家族を失い絶望していた元刑事の主人公は、ヤクザに命を狙われている中国人女性と出会い、彼女を守るために必死に戦う。ある殺人事件の背景にある外国人研修制度という問題を追及しながら、疑似家族的な愛(脇役として犬も活躍する)と冒険を通して再生していく姿を力強く描いている。「悲喜こもごもの巡り合わせを人に投げかけながら、人生という道はどこまでも続いていく」というメッセージが胸に残る。悪役のヤクザたちのキャラクターも生き生きとしていて印象深い。


No.5 6点 スキン・コレクター
ジェフリー・ディーヴァー
(2017/06/28 19:36登録)
過去に倒した敵の影がちらつく、シリーズ物の利点を生かした物語。第1作に登場する犯罪者ボーン・コレクターの手口とライムの捜査法を研究したと思われる連続殺人犯との心理戦が描かれる。二重三重の逆転劇をはじめ、「いつもの面白さ」を堪能できる。なお、本書を読む前に「ボーン・コレクター」「ウォッチメイカー」の2作は読んでおいた方がより楽しめると思います。


No.4 6点 無実
ジョン・コラピント
(2017/06/28 19:27登録)
スキャンダラスなテーマゆえに出版が難航としたという、いわくつきの作品。近親相姦というテーマが目を引くものの、本書はあくまでも重厚な人物描写に支えられたサスペンス。小説家と、彼に罠を仕掛ける側の双方の視点から描かれ、息詰まる展開を楽しめる。


No.3 6点 ぼくは君を殺さない
グレアム・キャメロン
(2017/06/24 17:27登録)
主人公は女性を狙うシリアルキラー。冒頭から被害者の死体を切り刻み、さらにその友人の女性を自宅の地下室に監禁する。だが、彼女のために買い出しに行った彼は、スーパーのレジ係の女性に恋してしまった。恋する殺人鬼が、普通の人間になろうとする。奇異なユーモアに彩られた、忘れがたい個性を放つ小説。


No.2 5点 負け犬たち
ジョニー・ショー
(2017/06/24 15:10登録)
立場も年齢も異なる、しかし人生が崖っぷちにあることだけは共通している3人の男の物語。意気投合した彼らは、うわさを頼りに宝探しに乗り出す。富のため、そして生きる張り合いのために。愚かしくも愛すべき男たち(と女たち)の愉快ながらも哀感のにじむ冒険物語。


No.1 6点 背信の都
ジェイムズ・エルロイ
(2017/06/18 09:47登録)
1941年12月、真珠湾攻撃前日のロサンゼルスで幕を開ける物語。「新・暗黒LA4部作」の第1作となる作品。アシダを含む3人の刑事の視点と、1人の女の日記によって語られる、策略と欲望の渦巻く物語。政治と犯罪と情念を、複数の視点から重層的に描き出している。

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