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ミステリの祭典

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青い車さんの登録情報
平均点:6.93点 書評数:483件

プロフィール| 書評

No.3 10点 僧正殺人事件
S・S・ヴァン・ダイン
(2016/01/20 23:25登録)
プロットの巧みさはヴァン・ダイン全作のなかでも随一です。現場周辺の詳細な見取り図を多数取り込むことで不気味な連続殺人がリアリティを帯びており、犯罪実録を読んでいるような面白さがあります。ファイロ・ヴァンスの推理は他の作品でもそうであるように根拠に乏しく「粗いプロファイリング」に近いのですが、それを差し引いても終盤の二転三転する展開のスピーディーさは今でも十分通用するもので、本作を多くの作家が参考にしたのも納得です。館ものの王道パターンを確立した『グリーン家』も捨てがたいですが、僕は開放的な空間で独特なムードを創り上げた『僧正』を推します。


No.2 10点 ナイルに死す
アガサ・クリスティー
(2016/01/20 23:04登録)
 ストーリー運び、読者をミスリードするテクニック、どちらも非常に上質で、かつ「クリスティー的」であると思います。頭から200頁を超えても事件が起きませんが、読み返すとむしろこの小説の真の見どころはこの事件が起きるまでにあるとも分かりました。鮮やかな情景描写や船の上を舞台にした謎解きのムードも素晴らしく、個人的に作者のベストは何かと訊かれたら迷わず本作を挙げます。


No.1 10点 Xの悲劇
エラリイ・クイーン
(2016/01/20 20:59登録)
 一言で言ってパズラーのひとつの理想形である小説だと思います。第一、第二、第三すべての殺人に鮮やかな推理が用意されており、犯人が判明するさいの劇的な演出、タイトルの意味が明らかになる幕切れと見どころが満載で、純粋な謎解き興味だけで読ませるのは驚異的です。『Y』と並びクイーンに心酔するに至った思い出深い作品。
 余談ですが、第一の事件のロジックはあの推理漫画の短篇でも応用されていました(絶対に原作者は本作が念頭にあったはず)。それだけシンプルかつ魅力的な推理なのだと思います。

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