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ミステリの祭典

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とみすけさんの登録情報
平均点:9.00点 書評数:1件

プロフィール| 書評

No.1 9点 三つの棺
ジョン・ディクスン・カー
(2015/06/01 20:00登録)
本作は乱歩の影響なのか密室講義や自身をフィクションの人物であると明言したフェル博士の言葉とともに語られることが多いが、私に言わせればそんなことはどうでもいいことである。したがってminiさんの書評はよくぞ言ってくれたと喝采を送りたい。この作品の本質は密室をメイントリックの目くらましとして使っている点にある。これは現実と非現実の差異はあれど火刑法廷にも通ずるものがあり、後に刺青殺人事件において(上手くいったか否かはともかく)高木彬光が主張するところの密室の利用法である。カーといえば密室というのは間違ってはいないし、実際に密室の謎を(しばしば強引に)解明して終わりという作品も少なくないが、本作はそれを逆手に取ったという点で他の多くの密室ものとは一線を画しており、文句なしにカーの代表作の一つであると考える。

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