| 空さんの登録情報 | |
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| 平均点:6.12点 | 書評数:1546件 |
| No.6 | 4点 | 迷路館の殺人 綾辻行人 |
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(2008/12/02 21:26登録) あまりに非現実的な(ゲーム的な)展開にも、ちょっと引きぎみになってしまいますが、それより気になったのが、作中作で一種の叙述トリックが使われる意義です。 この手の使用は外国の某有名作がたぶん最初で、鮎川哲也のある短編でも効果的に利用されていました。 ところが本作では、首切りの真の理由に読者が気づかない限り、この叙述トリックには何の意味もないのです。 できるだけ複雑な謎を、という意気込みもいいのですが、これでは無駄に複雑化しただけではないでしょうか。 |
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| No.5 | 8点 | ジェゼベルの死 クリスチアナ・ブランド |
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(2008/12/01 22:21登録) やってくれます、ブランド節まさに全開。 例によって、ラスト近くになって一気に事件を徹底的にもつれさせたあげく、本作では猟奇的なできごとにばっさりと合理的な説明をつけることで、やられた! という爽快感を味あわせてくれます。 |
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| No.4 | 8点 | 皇帝のかぎ煙草入れ ジョン・ディクスン・カー |
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(2008/12/01 19:47登録) クリスティーを脱帽させたというこのアイディアは推理パズルでもよく借用されているようですが、実は短いパズルには全く向いていないトリックだと思います。 いいかげんな扱いを見ると、最初から説明されている登場人物の性格設定と、問題の箇所前後20ページぐらいをもう1度じっくり味わってみてください、と言いたくなります。カーがいかに細心の注意をはらって問題の箇所を書いているか、それがわからない無神経な人には、カーには珍しくすっきりとまとまりすぎた本作は、つまらない小説かもしれません。 |
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| No.3 | 8点 | 帽子収集狂事件 ジョン・ディクスン・カー |
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(2008/12/01 19:39登録) ポーの未発表原稿がからんだ殺人事件という、マニア向けの趣向を凝らした作品です。 怪奇趣味も笑いもほどよい程度に抑えられたカーにしてはむしろ地味な展開ですが、不思議な雰囲気があり、ラストもシリアスに決めてくれます。最後の台詞を言うハドリー警視の表情が目に浮かぶようです。 原題は『不思議の国のアリス』(1865年)で一般的になった(バートン監督の映画ではジョニー・デップが演じた帽子屋)と言われるmad as a hatter(とても気の狂った)という英語の慣用句を基にしています。『Yの悲劇』の設定も出所は同じですね。 |
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| No.2 | 7点 | 死者はよみがえる ジョン・ディクスン・カー |
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(2008/11/30 19:35登録) カーのバカミスといえば『魔女が笑う夜』が有名ですが、個人的にはなんといってもこの作品。 真相のとんでもない掟破りには、もう笑って拍手するしかありません。出方のいんちきは当然ですが、入り方もたまたま痕跡を残さずに済んだだけですし、フェル博士の推理は循環論法に陥ってしまってるし、もうムチャクチャです。 乱歩先生が『皇帝のかぎ煙草入れ』や『帽子収集狂事件』と並べてベストの1つに挙げていたというのが信じられない珍品です。 なお、この創元版タイトルはゾンビをも連想させますが、原題の "To Wake the Dead" は「死人を目覚めさせるほど大きな音」のような場合に使う表現であり、ホラー・テイストはありません。 |
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| No.1 | 9点 | しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 泡坂妻夫 |
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(2008/11/30 16:29登録) いるんですよね、気がつかない人。私が所属していたマジック・サークルにも一人、買って読んだ後、人にあげてしまったというので、みんなから突っ込まれていました。 対効果比の労力ということでは、このメイン・トリックより優れたトリックを泡坂さんはいくつも考案しています。でも、この作品のすごさは実際にとてつもない労力でそのアイディアを小説にしてしまったということ。本作のメイン・トリックの扱いは、ミステリとは何か、小説本とは何か、という根本定義への挑戦とも言えるでしょう。 ただし、松田氏の解説は不満です。氏もマジック研究家なのですから、小説の企みを引き継いでもらいたかったですね。 |
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