home

ミステリの祭典

login
海の碑

作家 斎藤栄
出版日1977年11月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2015/10/14 22:13登録)
随分前に読んだ時、かなりおもしろいと思った作品です。講談社文庫版解説で、権田萬治氏も、「この系列の氏の作品の中では…最も優れたものの一つ」と書いていますが、確かに再読してみると、2/3ぐらいまでは謎の提出の仕方、公害問題との絡め方など、なかなか感心させられる構成になっていることを確認できました。しかしその後にある「誘拐」の章はどう見ても不要に思われます。犯人側からしても全く無意味で、かえって馬脚をあらわす危険性があるだけです。また犯人側がどうやってその人物の行動を知ったのか、誘拐手順をどう計画したのかも疑問です。
環境破壊テーマの追及も、社会派作家に比べると最終的には今ひとつ手ぬるい感じでしたし、中心となるアリバイ・トリックの中で死体移動の方法が(十分可能ではあるとは言え)明確に示されていないので、誘拐部分は切り捨て、そのあたりを書き込んでもらいたかった作品でした。

1レコード表示中です 書評