home

ミステリの祭典

login
上手なミステリの書き方教えます
松浦純菜・八木剛士シリーズ

作家 浦賀和宏
出版日2006年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2019/03/02 22:39登録)
友だちもいない、女にもまったくもてない。唯一仲よくしてくれていた大切な妹は、暴漢に撃たれ、意識不明の重態。心和むのは、自分の部屋でガンプラを作っているときくらい…。不幸の女神に愛された男。八木剛士の前人未到なほど前途多難な人生にやっと訪れた「青春」。結末圧倒的感動必読。
『BOOK』データベースより。

一体自分は何を読まされているのだろうか、というのが率直な感想でした、途中までは。シリーズ三作目にして早くもネタ切れなのか、とも思いました。
八木のパートでは相変わらず屈折したオタクの心情が描写されています。一方重要人物であるエロ小説家松本楽太郎のパートでは、ひたすら徹底してオタクを攻撃する記述が繰り広げられ、あたかもオタク論文の様相を呈しています。事件も一向に起こる気配がなく、先行き非常に不安に。

結局事件は起こり、お馴染みの刑事も登場し、やっとミステリらしさが出てきたと思いきや、またもや思いもよらない方向に向かおうとしています。何なのだろう、この小説は。ここで本作を勝手ながら『本格青春変態オタクメタミステリ』と命名させていただきます。決して人には勧められない、オタク、妹萌え、エロ、ガンダムをこよなく愛する方以外は読まないでいただきたい、とんでもない怪作ですね。ただ、ラストは意外にも清々しい後味で、気分は爽やかになったりします。
個人的には好きですが、とにかく人を選ぶ作品には違いないでしょう。良い子は読まないで。

1レコード表示中です 書評