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ミステリの祭典

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シャーロック・ホームズの推理学
内井惣七

作家 評論・エッセイ
出版日1988年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 tider-tiger
(2015/10/01 19:35登録)
著者は疑念を抱きました。ワトソン博士は「ホームズは哲学の知識はゼロだ」と断言したが、それは本当だろうか?
論理学は哲学の一分野である。
故に論理学を知る者は哲学について無知だとはいえない。
私(著者)にはホームズが論理学を知っていたように思える。
哲学の知識がゼロなのはホームズではなくて、むしろ……

著者はホームズの推理の実例を挙げて、論理学者の観点からその推理の構造を解き明かしていきます。
有名な『あなたはアフガニスタンへ行ってましたね』を検討するところからこの作業は始まります。
ホームズに論理学の素養があったのか否か?

作品からの引用が豊富にあり、ホームズファンはなかなか楽しめると思います。が、ホームズファンならずともミステリを読むうえで参考になる部分があるのではないかと思います。論理学の入門書として読んでみるのもいいかも。
ただ、著者はこんなことも言ってます。
「優れた推理ができることと、優れた論理学者であることは必ずしも=ではない」
論理学なんてものを知らなくたってミステリは楽しめるのです。
※ホームズに興味はあるけど、論理学なんぞにはまるで興味はないという方にはちょっと辛い本かもしれません。

以下、参考までに目次を。
1 ホームズは「論理学者」か 2 ホームズとワトスンの出会い 3 観察力 4 観察と推理 5 消去による推理 6 消去による帰納 7 余剰法 8 ミルにおける帰納、演繹、仮説 9 ホームズと確率論的方法 10 分析と綜合 11 逆方向の推理 12 確率論的科学観 13 仮説形成 14 仮説形成の論理 15 ヒューウェルの帰納論 16 部分から全体へ 17 ホームズの複合的推理 18 ホームズの論理的センス 19 結論 ※この後はホームズとは関係のないダーウィンの話なので割愛します。

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