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ミステリの祭典

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誘拐
私立探偵スペンサー

作家 ロバート・B・パーカー
出版日1980年10月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2015/09/28 22:23登録)
このパーカーの第2作の原題は “God Save The Child” であり、「誘拐」にあたる言葉は使われていません。実際のところ、同じ邦題のプロンジーニや高木彬光作品と比べると、「誘拐」ものらしさに欠けるところがあります。まずスペンサーが依頼を受けるのは、失踪した息子の捜索です。で、いくらか情報を得て2回目に依頼人を訪問すると、脅迫状が届いているのですが、その脅迫状の奇妙さについては、スペンサーや警察もその場で議論しているのです。この時点で、誰でもある仮説を思いつくでしょう。さらに事件は変な方向に捩れていき、中盤では予想外の人物が殺されますが、その殺人も妙にあっさりした扱いです。
結局、作者が描きたかったのはある崩壊しかけた家庭の再構築の物語だったのだなと、誘拐事件解決シーンでは納得できるようになっています。その後の別犯罪の真相解明は、どうでもいいかなという気もしますが。

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