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ミステリの祭典

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ザ・リッパー 切り裂きジャックの秘密           

作家 シェリー・ディクスン・カー
出版日2015年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2015/09/04 19:50登録)
ロンドンの祖母のもとで暮らす米国生まれの15歳の少女ケイティは、マダム・タッソー蝋人形館である展示物に触れたことで、切り裂きジャックが跋扈するヴィクトリア朝時代にタイムスリップする。祖先の女性が連続殺人鬼の最後の犠牲者だったことを知るケイティは、ジャックの正体を暴き、歴史の改変に挑むが----------。

巨匠ジョン・ディクスン・カーの孫娘(本名 ミシェル・メアリー・キャロル)のデビュー作。タイムスリップを扱った歴史冒険スリラーということで、「ビロードの悪魔」「火よ燃えろ!」「恐怖は同じ」という3冊のタイムスリップものを書いた祖父のDNAは確かに受け継がれていますねw
"ヤング・アダルト部門”の受賞作だけあって作風はライトで、1888年のロンドンを舞台に、ケイティと二人の少年達が繰り広げる探偵&冒険行が軽快に語られます。
本筋の物語と同じぐらい作者が力を入れて描いているのは、ヴィクトリア朝ロンドンの情景、文化、風俗です。現代と19世紀との違いと併せて、ヒロインがアメリカ生まれのため、英国と米国の文化、風習、言葉の言い回しの違いなどについて彼らの間で頻繁に言及されます。その都度ストーリー展開が停滞するので、文庫の上下巻で800ページを超える分量が、なお一層長く感じましたw
切り裂きジャックというテーマ自体は手垢が付いたものと言えますが、その”正体”は一応意外性があり、歴史改変に関わるタイム・パラドックスの”落としどころ”も上手く考えられており、楽しく読めました。

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